ケータイ用語の基礎知識

第608回:小型家電リサイクル法 とは

 2013年4月1日から「小型家電リサイクル法」という法律が施行されました。

 正式には「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」という名前のこの法律は、環境省の説明によると

 デジタルカメラやゲーム機等の使用済小型電子機器等の再資源化を促進するため、主務大臣による基本方針の策定及び再資源化事業計画の認定、当該認定を受けた再資源化事業計画に従って行う事業についての廃棄物処理業の許可等に関する特例等について定めた法律

というものです。

 これにより、携帯電話をはじめとした、使用済み小型家電の回収が、準備の整った自治体から順次スタートすることになります。

「都市鉱山」を活かすために

 「小型家電リサイクル法」は、家庭から出る使用済の小型電子機器などのリサイクルを進めるための法律です。リサイクルされず廃棄されてしまう金属、たとえば電子機器に含まれているレアメタルなどを回収することで、再び資源として利用できるようにする、ということ目的としています。

 政府によれば、現在、日本全体で年間に廃棄される小型家電は約65.1万トンと推定されています。その中に含まれている金属のうち、活用できる金属などの量は約27.9万トン、金額にして約844億円分にも上るといわれます。そのため、使用済み小型家電は、都市にある鉱山という意味で、「都市鉱山」といわれているのです。

 こうした日本国内の「都市鉱山」には、現在使用中の製品も含めると、金は6800トン(世界の埋蔵量の約16%)、銀は6万トン(世界の埋蔵量の約22%)、リチウムは15万トン、プラチナは2500トンが眠っていると言われています。

 これまでこうした資源を含め、使用済み小型家電の半数が埋め立て処分となっていました。この貴重な資源を有効に活用する――そのために「小型家電リサイクル法」が施行されたのです。

 他にも、この使用済み小型家電の適切なリサイクルには「有害物質(鉛など)を含む小型家電の適正処理ができる」「廃棄物の量が削減され、ごみの埋立地である最終処分場を延命できる」といったメリットもあります。

携帯電話のリサイクルも

 「小型家電リサイクル法」の対象となる「制度対象品目」としては、28種類(品目)の製品が指定されています。家庭で使われる機器で、“電気、電池で動く機械、小型の家電製品”のほとんどが含まれています。あわせて回収しやすく資源性が高い、特にリサイクルすべき製品を「特定対象品目」として指定しています。

 携帯電話やPHSも、「特定対象品目」です。「特定対象品目」には、

  • タブレットを含むパソコン(モニター含む)
  • 電話機、FAX
  • デジタルカメラ、ビデオカメラ、フィルムカメラ
  • 映像用機器(DVDプレーヤー、HDDレコーダー、BDレコーダー、STBなど)
  • 音響機器(デジタルオーディオプレイヤー、MD/CDプレイヤー、補聴器など)
  • パソコンなどに使う補助記憶装置(ハードディスク、USBメモリなど)
  • 電子書籍端末
  • 電子辞書
  • 電卓
  • 電子血圧計
  • 電子体温計
  • 理容用機器(ヘアドライヤー、ヘアアイロン、電気かみそり、バリカンなど)、
  • 懐中電灯
  • 時計
  • ゲーム機(据置型/携帯型ゲーム機、ハイテク系トレンドトイなど)
  • カー用品(カーナビ、カーステレオ、VICSユニット、ETC車載ユニットなど)

が対象となっています。これらに付属するリモコンや、ACアダプター、ケーブル、充電器なども含まれます。

 回収は、主に自治体が行います。回収方法としては、たとえば、専用回収ボックスが設置されたり、資源ごみとして新たな区分が設けられたり、イベントなどで回収が行われたりする、ということが想定されています。これまで通り、不燃物として家庭から出されたゴミからから、自治体側でピックアップして回収するといった方法もあり得ます。

 ちなみに、どの品目について回収を実施するか、また、どのように回収するかは、それぞれの市町村や小売店が決めることとなっています。ユーザーは、居住する街などで定められた回収方法に従って、小型家電を排出する必要があります。

 こうした自治体の取り組みのほかに、スーパーや家電小売店でも使用済み小型家電の回収に協力している場合があります。なお、使用済みの携帯電話やPHSの場合は、以前から携帯電話販売店でも回収を行っています。自治体、販売店どちらのルートで排出するかを選ぶことになるでしょう。

 まだ小型家電の回収が始まっていない自治体では、従来どおりのごみの排出ルールに従って出すことになります。

 なお、小型家電リサイクル法では、リサイクル料金についての定めがありません。自治体によっては、処理に手間がかかる品物については、手数料をかける場合がある、とされています。ただし、処理料金を支払わなくても済む範囲で、できるだけ多くの種類の製品をリサイクルすることが望ましい、とされており、先に述べた「特定対象品目」については、処理料金がかからない品目として試算されたことが前提となっています。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)