ケータイ用語の基礎知識

第636回:NEXUSシリーズ とは

 「NEXUSシリーズは、Androidの“リードデバイス”として開発されたモデルで、米Googleが発売しているスマートフォンおよびタブレット端末のブランド名です。ちなみにリードデバイスとは、実装参照デバイス(リファレンスモデル)とも呼ばれ、開発時のお手本となるモデルのことです。

 Googleでは、NEXUSシリーズを、通信キャリアや端末メーカーの影響を受けない純粋なAndroid環境の提供するためのデバイスと位置づけて販売しており、キャリア独自のアプリなどは一部を除いて、基本的にほとんど搭載されません。

 多くの機種が最新のバージョンのOSを使えるようになっており、Androidの新しいバージョンが発表されると、真っ先にバージョンアップ対象となるのが、このNEXUSシリーズです。

NEXUSシリーズスマートフォン・タブレットのバリエーション

 機種名に“NEXUS”と名付けられたモデルは、スマートフォンやタブレットなど、2010年以来、たびたび発表されています。具体的には以下のモデルがあります。

Nexus One(日本未発売)

 シリーズ最初のスマートフォンです。日本では未発売。2010年1月発売。ハードウェア設計と製造は台湾のHTCが担当しています。3.7インチ、800×480ピクセルのアクティブマトリックスOLEDディスプレイを搭載しています。Android 2.xのリードデバイスとして提供されました。

Nexus S(日本未発売)

 2010年12月に発売されたスマートフォンです。ハードウェア製造は韓国のサムスン電子が担当しました。800×480ピクセルの4インチSuper AMOLEDディスプレイを搭載しています。発売当初はAndroid 2.3が搭載されていましたが、2011年12月に4.0への、2012年7月には4.1へのアップデートが実施されました。

GALAXY NEXUS

 2011年11月に発表されたNEXUSスマートフォンです。名前からもわかるように、GALAXYシリーズのサムスン電子が製造しています。日本でもNTTドコモから「GALAXY NEXUS SC-04D」として発売されました。4.65インチ、1280×720ピクセルのHD Super AMOLEDディスプレイを搭載しています。発売当初、OSにはAndroid 4.0が搭載されていましたが、日本国内では、2012年11月に4.1へのアップデート、2013年5月には4.2にアップデート対象となりました。

Nexus 4

 2012年10月29日に発表されたNEXUSスマートフォンです。製造は韓国LG電子が担当しています。1280×768ピクセルの4.7インチディスプレイ、Snapdragnon S4 pro(クアッドコアCPU)、Android 4.2などを搭載しており、最新のAndroidであるAndroid 4.3にアップデート可能です。日本国内では、2013年8月に発売が開始されました。

Nexus 7(2012)

 2012年6月に発表された、800×1280ピクセル、7インチ液晶ディスプレイ搭載するタブレットです。台湾のASUSによってハードウェアが製造されています。2012年6月27日に開催されたGoogle I/O 2012の基調講演で披露されました。Android 4.1搭載で発売された最初の機種で、更に2012年11月には4.2へのバージョンアップが、2013年7月には4.3のバージョンアップがそれぞれ可能になっています。通信ネットワークはWi-Fiのほか、3G通信に対応したモデルも用意されています。日本でも発売されました。

Nexus 7(2013)

 2013年に発表された新しいタブレットです。1920×1200ピクセル、7インチ液晶ディスプレイ、最新のAndroid 4.3を搭載しています。初代と同じくASUS製です。日本では、2013年8月に発売されました。Googleの販売サイト「Google Play」などから販売されているほか、日本ではauでもWi-Fi版に限る形で、取り扱われています。NEXUSシリーズのタブレットとしては初めてLTEに対応したモデルが発表されました。

Nexus 10

 2012年10月に発表された、2560×1600ピクセル、300ppiの高解像度10インチディスプレイ搭載するタブレットです。ハードウェアは、サムスン電子によって製造されています。OSにはAndroid 4.2が搭載されていて、アップデートで4.3にすることが可能です。無線通信ネットワークはWi-Fiのみに対応しています。日本国内では、2013年2月に発売が開始されました。

Nexus Q

日本テキサス・インスツルメンツの説明会で披露されたNexus Q

 他のNEXUSシリーズと異なり、スマートフォンやタブレットではなく、メディアストリーミングデバイスです。外観は球形のフォルムをしていて、テレビと接続して内蔵ストレージに蓄積されたコンテンツの再生や、ネットワークからストリーミング再生ができるという製品でした。このハードウェアはGoogleによって開発され、2012年6月に発表されましたが、その後、機能強化のため発売は無期限延期されました。

 リードデバイスとされることもあり、NEXUSシリーズは、基本的に最新のAndroidを搭載します。そして最新OSでも快適に操作できるハードウェアが採用される傾向にあります。グーグル自身が販売することも特徴の1つと言えますが、機種によって販売の形にバリエーションがあります。モバイル通信が可能な機種は基本的にSIMロックフリーです。またボディカラーのバリエーションが少なく、たとえば日本で発売されることがあっても日本特有のFeliCa(おサイフケータイ)、ワンセグといった機能は、これまでのところサポートされていません。どちらかと言えば、アプリ開発者や先端的なユーザーに向けた機種と言えますが、比較的安価なこと、タブレットテレビ通販などで取り扱われていることなどから、さらに多くのユーザーに利用されつつある機種とも言えます。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)