ケータイ用語の基礎知識

第644回:モノのインターネットとは

全ての“モノ”がインターネットに

 「モノのインターネット」とは、Internet of Thingsという英語の訳で、身の回りにある、あらゆる物がインターネットへ接続することを言います。「IoT」と記されることもあります。

 インターネットは、パソコンやワークステーション、サーバーといったコンピューターが繋がっています。今では、スマートフォンなど携帯電話のような、誰もが持っている機器もインターネットに繋がっています。

 「モノのインターネット」の“モノ”とは、コンピューターを埋め込むことのできるありとあらゆる全ての機器を指します。たとえば、テレビやレコーダーなどのAV機器、冷蔵庫やエアコンといった家電、体重計や血圧計などのヘルスケア機器、腕時計、さまざまなセンサーなど、多種多様な機器がネットワークにつながり、それぞれがサーバーや他の機器とデータをやり取りするのです。

 こうした道具が広まると、どうなるのでしょうか。たとえば、自宅の電気使用量を制御して、エネルギー消費量の最小化を実現できるでしょう。また遠く離れた場所から機械の様子をチェックすることで故障を未然に防止したり、ユーザー健康管理データを取ったりすることもできますし、オフィスのセキュリティの強化や、店舗や倉庫の在庫管理……といったことも従来より手軽にできるようになるといったメリットが生まれます。

コンピューターや無線通信の発達で実現性を帯びるコンセプト

 先述した「モノのインターネットでできること」、あるいはメリットは、ある程度、既に実現しているところがあります。また、たとえば“ユビキタスコンピューティング”など、「ありとあらゆるモノがコンピューターになる」「ネットワークに接続される」というような構想は、かねてより存在していて、まったく新しい概念というわけではありません。たとえば「M2M」と呼ばれる機器間通信は、自動販売機の在庫管理、遠隔での監視カメラの運用など、ビジネスとして成立している市場もあります。ただ、2013年現在、「モノのインターネット」のようなコンセプトが用いられつつあるのは、その幅広さと実現性にあります。

 5年前、10年前と比較すると、コンピューター自体が高性能になり、小型になりました。超小型の組み込み用コンピューターも手ごろな価格で入手できるようになっています。

 そして「モノのインターネット」を実現する上で絶対に必要不可欠なのが通信機能です。これも携帯電話の普及で、世界中、どこでもモバイルインターネット接続が広まり、世界中どこででもつながるようになりましたが、以前は考えられないことでした。

 有線ネットワークが選択されるケースもありますが、基本的にこれらの「モノ」は無線を使ったネットワークで接続されます。「モノ」はさまざまな形状をしており、いろいろな場所に設置されたり持ち運ばれたりするため、インターネット接続には無線の方が有利です。

 この無線通信にも、さまざまな技術があります。920MHz帯(サブGHz帯)を利用できる「IEEE802.15.4g」という規格はその代表的な規格のひとつです。サブGHz帯とは1GHzよりやや低い周波数帯のことで、Wi-Fiなどで使われている2.4GHz帯や5GHz帯に比べて屋内や見通しの悪い場所にも回りこみ、信号が伝わりやすいという特性があります。日本では、2012年から915〜928MHzの13MHz幅が、RFIDなど機械〜機械間(M2M)のネットワーク用に利用が可能となっています。この「IEEE802.15.4g」は、米国電気電子学会のIEEEにより策定された標準規格で、いわゆるスマートメーターでの活用が見込まれています。

 Bluetooth SIGによって先日発表された、Bluetooth通信の最新バージョン「Bluetooth 4.1」なども「モノのインターネット」に利用できる通信規格のひとつでしょう。Bluetooth 4.1では、他の機器からデータを受けながら、そのデータを他に流す“ハブ機能”や、一度ペアリングした機器が切断されても距離が近づけば自動的に再接続する再接続機能、IPv6への対応といった特徴があります。

 このように、小型かつ省電力で、少ないデータを効率よく伝えることができる無線規格が次々表れ、さまざまな機器で利用できる形で、通信モジュールなどとして登場しているのです。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)