ケータイ用語の基礎知識

第687回:ハッカソン とは

1日から数日でサービス・ガジェットを作り上げる

 「ハッカソン」とは、プログラマやエンジニア、デザイナーなどがアイデアや技能を競い合うイベントの一種です。米国で生まれたこの用語は、「変わったアイデアからくるちょっとした工夫」を意味するハック(hack)と「長距離走」のマラソン(marathon)をあわせた造語から来ています。

 多くの場合、ある課題や制約条件の下で、課題を解決する、といったテーマがあり、そのテーマに沿って1日〜数日の時間を使って、実際にサービスやガジェットのプロトタイプを作ります。ハッカソンは単なる開発コンテストではなく、参加者たちがチームとなり、制限時間内でひとつの成果を作り上げ、そして参加者や審査員にプレゼンし、優劣を競います。

 典型的な例では、1泊2日で、1日目に“アイデアソン”としてサービスのアイデアの候補をいくつも挙げていき、そこから1つに絞り込んで、2日目の終了までサービスを作り上げていく、というようなやり方があります。ハックという単語には、ちょっとした工夫というようなニュアンスがあるのですが、この着想から完成までを、場合によっては徹夜しても、延々とハッキングを続けていくようなイメージからこの「ハッカソン」という言葉は生まれました。

 世界で最初に「ハッカソン」という言葉が使われたのは、OpenBSDというOSのコミュニティや開発言語のJavaコミュニティなどで、1999年ごろからであるとされています。2014年現在、IT分野を中心に、この言葉は普及し、世界の多くのIT企業や、メーカー、あるいはコンピュータやモバイルガジェットのユーザーグループがハッカソンを開催しています。

 たとえば、KDDIでは、この8月から「au未来研究所ハッカソン」を何度か開催しています。テーマは「“スマホの次”の発明を目指して」で、衣食住に関するガジェットつくりを行っています。

 またNTTドコモは、NTTドコモベンチャーズと共催で、docomo Developer supportで提供を開始したAPI、さまざまなデバイスを利用したアプリ開発ハッカソンを2013年末から何度か開催しています。

 あるいはソフトバンクでは、人型ロボット「Pepper」に関するハッカソンを何度か開催しています。Pepperは、プログラムを作ることで、体や手の動きをコントロールし、言葉を喋らせたりできます。そうした動作を組み合わせてコミカルな話し相手ロボットにしたり、あるいは自動作詞して歌わせる、といったことも可能になっています。

 Pepperのような特定のプラットフォームの開発イベントとしては、ハッカソンは参加者にとって、出会った仲間同士での知識を共有したり、自分の腕を披露したりできる場ともなっています。

企業のオープンイノベーションの一手段として注目されている

 ハッカソンには、さまざまnバリエーションがありますが、一般的には主催する企業やユーザーグループによって、特定のプラットフォームに焦点をしぼって開催されるのが普通です。

 たとえば、本誌での記事を見ると、11月22日〜24日の3日間、Mozilla Japanが主催した「Mozilla Factory」というハッカソンにおいて、KDDIが開発しているドングル型端末「Open Web Board」と開発ツール「Gluin」を利用する、というテーマでハッカソンが開催されました。

 プラットフォームは、Mozilla Factoryのようにハードウェアであったり、ドコモのハッカソンのようにAPIであったりします。

 ハッカソンといえば参加者はオープンに募り、対象のプラットフォームに興味があるか、経験者であれば誰でも、というケースが多い一方、学生、女性だけなど性別で限定しているケースもあります。

 企業がハッカソンを主催する目的はいくつかあります。たとえばユーザーグループの活性化や、企業活動のため新しい発想を得ることなどです。最近では、オープンイノベーションといって、自社だけでなく、外部からのアイデアや技術を持ち込んで革新的なビジネスモデルの創造や製品開発を行うことが注目されていますが、ハッカソンはそのための一手法と考えられているのです。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)