ケータイ用語の基礎知識

第709回:LTEバンド とは

 今回紹介する「LTEバンド」とは、LTEで利用できる周波数帯(電波)という意味の言葉です。

 携帯電話などの通信方法の規格標準化を行う団体「3GPP」によって、LTE通信で使う電波の周波数帯も定められています。3GPPの技術仕様「TS 36.101」には、「E-UTRA operating bands」という名前でその周波数帯の表が記載されています。

 LTEバンドは、「バンド1」「バンド2」というように数字をつけて表記します。そしてバンドによって、それぞれ周波数が決まっています。2015年5月現在、「TS 36.101」ではLTEバンド1〜44までを定めており、それぞれの国の事業者が事情に応じてその一部を使用しています。

日本国内のLTE通信で使われる周波数帯
LTEバンド 上り通信使用周波数 下り通信使用周波数 二重化モード 備考
1 1920MHz - 1980MHz 2110 MHz - 2170 MHz FDD
3 1710MHz - 1785MHz 1805 MHz - 1880 MHz FDD
6 830MHz - 840MHz 875MHz - 885MHz FDD バンド19に吸収され現在は使用しない
8 880MHz - 915MHz 925MHz - 960MHz FDD ソフトバンクが使用
11 1427.9MHz - 1447.9MHz 1475.9MHz - 1495.9MHz FDD au
18 815MHz - 830MHz 860MHz - 875MHz FDD au
19 830MHz - 845MHz 875MHz - 890MHz FDD NTTドコモが使用。
21 1447.9MHz - 1462.9MHz 1495.9MHz - 1510.9MHz FDD NTTドコモが使用。
26 814MHz - 849MHz 859MHz - 894MHz FDD auが使用
28 703 MHz - 748MHz 758 MHz - 803MHz FDD アジア太平洋共通バンド。NTTドコモ、au、ソフトバンク(旧ワイモバイル)が使用。
41 2496 MHz 2690MHz 2496 MHz 2690MHz TDD Wireless City Planning、UQコミュニケーションズが使用。
42 3400 MHz - 3600MHz 3400 MHz - 3600MHz TDD NTTドコモ、au、ソフトバンクが使用予定。

 また、これらのバンドではそれぞれ、一度に割り当て可能な最低の周波数帯や最大の周波数帯、どのバンドとどのバンドをキャリアアグリゲーションできるかなども仕様として定められています。

対応LTEバンドが記載されている

 SIMロックフリーのLTE対応スマートフォンでは、製品情報を紹介するメーカーサイトに対応するLTEバンドが記載されていることが多くあります。たとえば、ASUS製の「ZenFone 2」の場合、Webサイトには対応周波数として「2100MHz(1)/1900MHz(2)/1800MHz(3)/1700/2100MHz(4)/850MHz(5)/800MHz(6)/900MHz(8)/1700MHz(9)/800MHz(18)/800MHz(19)/700MHz(28)」と記載されています。このカッコの中の数字が対応するLTEバンドです。

 日本国内では、LTEバンドは「NTTドコモ:1/3/19/21/28」、「au(沖縄セルラー、UQ WiMAX含む):1/11/18/26/28/41」、「ソフトバンク(旧ワイモバイル、WCP含む):1/3/8/41(※WCP)」でサービスを提供しています。つまり先述した「ZenFone 2」はドコモに関してはバンド21以外全て、auでは11/26以外の全て、ソフトバンクに関しては41以外は対応できることになります。たとえばドコモのSIMを入れても、あるいはソフトバンクのSIMを入れても、APNなどの設定さえできればLTE通信が可能であるということになります。なお、LTEバンドの仕様上はバンド1に対応しているので、auでも利用可能なように見えるのですが、日本国内では隣接するPHSの利用周波数帯との干渉防止策が必要となり、実際には使用不可となっています。

総務省がまとめた各キャリアのバンド

 同じく日本向けに販売されている、iPhone 6のSIMロックフリー版では「1/2/3/4/5/7/8/13/17/18/19/20/25/26/28/29/38/39/40/41」となっているので、ドコモのバンド21、auのバンド11を除いて、どのバンドにも対応していることがわかります。

 あるいは、あるSIMロックフリーな機種のカタログではLTE対応バンドの表記が「LTEバンド1/3/19」となっています。この場合はSIMロックフリースマートフォンでも、国内ではほぼNTTドコモ専用に作られた端末であると考えたほうがよいでしょう。

 ちなみにドコモや、そのドコモの設備を使ったMVNOの場合、大雑把に言って2GHz帯の「バンド1」がある程度人口密度の高い地域、1.7GHz帯が東名阪、そして800MHz帯で人口密度の低い場所をカバーする「バンド19」というエリア展開を基本としているため、たとえばバンド19に対応していない端末を購入すると、地方に行った場合に電波を掴みにくいというようなことになる場合があります。

 また、2015年5月から各携帯電話キャリアから販売されるスマートフォンもSIMロックの解除が義務化されました。これにより、auやソフトバンクの携帯電話として発売された機種でも、購入から180日後には、ドコモのSIMカードを利用できるようになりますが、実際には、他社の周波数に対応していなければなりません。ですが、2015年5月現在、各社の端末は、対応バンドではなく周波数帯でしか仕様を公開していないことがほとんど。周波数帯とバンドを照らし合わせなければなりません。

 ソフトバンクの端末で、仕様に「4G方式:FDD-LTE(900MHz/1.7GHz/2.1GHz)」が利用可能と書かれていた場合、それぞれLTEバンド8/3/1に対応していることになります。

LTEバンド1,3は全世界共通、バンド28がアジア太平洋地域共通

 LTEバンドは、3GPPで定められていることからもわかる通り、世界共通の規格となっています。たとえば、海外のスマートフォンの利用者が「LTEバンド1/3/19」に対応する端末を持ち込んだ場合、バンド1でサービス提供しているドコモ、au、ソフトバンクにローミングできるほか、バンド3ではドコモ・ソフトバンク、バンド19でのドコモのサービスを受けることが可能なわけです。

 LTEバンド1と3は、ほぼ全世界で使用される周波数帯(バンド)です。海外のユーザーがスマートフォンを他の国へ持ち込んだ場合でも、大抵の場合、LTEでデータ通信ができるようになっています。

 LTEバンド28は、かつて各国で地上アナログテレビ放送で割り当てられていた周波数帯でした。しかしデジタル移行後にLTE通信に割り当てられるようになりました。今では、「アジア太平洋バンド(あるいはAPT700)」などと呼ばれ、「ITUリージョン3」と呼ばれるアジア太平洋の各国向け端末が、お互いの国で利用可能になる予定です。2015年5月現在、台湾での商用サービスが開始されているほか、日本国内でも新潟県や長野県、三重県など一部の地域での基地局が整備されてきています。

 なお、LTEではなく音声通話などに使われる3G通信についても、ドコモ、ソフトバンクが用いているW-CDMAに関しては、3GPPが定めた「3GPP周波数帯」があり3GPPの技術仕様書TS 25.101で定められています。こちらは、全部で26のバンドに分かれていて、バンドIからバンドXXVIまでバンド名をローマ数字で表します。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)