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第717回:USB Type-Cとは

 USB Type-Cは、2014年8月、USB 3.1規格によって新しく追加されたケーブルとコネクタの種類です。ほかの種類のUSBコネクタと同じく、USB(Universal Serial Bus)規格を標準化している非営利団体「USB Implementers Forum」によって規格化されました。

 2015年7月現在、Nokia製タブレット「N1」に採用されているほか、日本で発売されている製品としてはアップルのMacBookで採用され、電源供給用および本体と周辺機器の接続用コネクタとして使われています。

 他のUSB規格と同様に、USB Type-Cコネクタやケーブルも規格が一般に公開されています。これからさまざまなメーカーが、このUSB Type-Cコネクタを搭載した機器を製造・販売するでしょう。

複数の規格をサポート

 USB Type-Cコネクタは、横幅8.34×縦2.40mmの楕円形です。USBコネクタとしては現在スマートフォンに使われているmicroUSBのように、非常に小さなものなのですが、この中にA1×A12、B1×B12の計24個の電気的接点が用意されています。パソコンなどで使われているUSB 3.0コネクタや、microUSBコネクタなどで使われているUSB 2.0規格の信号をそれぞれ2本分同時に配線できるような構造になっています。

 これにより、従来からあるUSB 2.0規格のほか、最新のUSB 3.1規格、さらにはUSB Power DeliveryやUSB Billboard(USB BB)、USB Battery Charging(USB BC)といった、さまざまな規格をサポートできます。

 ちなみに、USB 3.1は、USB 3.0からさらに高速データ伝送を可能にした規格で10Gbpsという伝送速度でのデータ伝送が規格上可能となっています。

 また、USB Power Deliveryでは最大で20V×5Aと、これまでのUSB 2.0の5V×0.5Aや、USB 3.0の5V×0.9Aから比較すると非常に大きな電力を供給することが可能になっています。

 USB Type-CコネクタはiPhoneなどで採用されているLightning同様、リバーシブル構造となっており、ケーブルの表裏、どちらの面を刺しても動作するコネクタとなっていることも特徴のひとつです。上下方向の間違いでケーブルをコネクタにさせないといったことがなくなり、よりユーザーにとって使いやすくなります。

USB Type-Cケーブルの例。大きさはスマートフォンに一般的に使われているmicroUSBとほとんど代わらないが、電気的接点は24個も内蔵されており、これにUSB 3.0、USB2.0用の信号それぞれ2本分を同時に配線できるようになっている

USB 3.1対応可能で、最大20V×5Aの電力供給や10Gbpsのデータ伝送も

 USB Type-Cは、MacBookなどで電源供給コネクタとして、また周辺機器の接続用として兼用されていることからもわかるとおり、規格としては、電源供給、通信どちらも可能です。

 従来のUSBケーブルのようにType-A、Type-Bを1本のケーブルに備えて、ホスト(母艦)側・端末(子機)側と決めるのではなく、ケーブルをつないだ機器同士で「設定チャネル」による通信を行い、これによって電源供給をする側・受ける側、あるいはオーディオなどのアクセサリモードやオルタネートモードに切り替え、最大でどれだけの電力をUSBバスに流すか、どちらに接続された機器が端末として振舞うか、あるいはアナログオーディオの出力端子として振舞うか……というような制御を切り替えるようになっています。

 なお、USB Type-Cコネクタは、USB 3.1、USB Power Deliveryとはそれぞれ別の規格(正確には、USB 3.1という規格に附則として、USB Power Delivery、USB Type-C、On-The-Goなどがある)となっています。つまりType-Cコネクタだからといって、必ずこれらの規格にフル対応しているかといえばそういうわけではありません。

 たとえば、Type-CだがUSB PDによる電源供給には対応しない、あるいはType-CだがUSB 3.1準拠ではなくUSB 3.0や2.0相当の機能しかない、たとえばデータ転送スピードが3.1の10Gbpsフルスピードではなく、3.0の5.0Gbpsまでしか対応していないというコネクタを作ることも可能というわけです。

オルタネートモード

 USB Type-Cコネクタの動作モードには「オルタネートモード」という制御モードがあります。これを使うとコネクタ内部の接続のうち、USB 3.0互換のデータ信号線1本分〜2本分までの範囲内で、別の規格のポートとして使えるようになっています。

 このオルタネートモードを使ったデータ伝送規格としては、インテルが提唱している「Thunderbolt 3」、MHLが提唱している「MHL Alternative Mode」、VESAの提唱している「DisplayPort Alternate Mode」などが現在発表されています。

 たとえば「Thunderbolt 3」は、Macのディスプレイなどの表示に使われる「Thunderbolt」の高速化バージョンで、ケーブルにUSB Type-Cのものを利用することになります。Thunderbolt 3では最大40Gbpsという超高速な速度でのデータ伝送が可能になります。この40Gbpsのスピードモードでは、ケーブルの信号損失が大きくなるため、内蔵したレピーターによって信号を増幅する機能を持つ「アクティブケーブル」を使用することになります。このアクティブケーブルの規格もUSB Type-Cで定められている規格のひとつです。

 「MHL Alternative Mode」では、従来の携帯電話からディスプレイへの接続に使われていたMHLインターフェイスがUSB Type-Cを利用したものに代わります。一方がUSB Type-Cコネクタ、一方がテレビのデジタル信号用コネクタであるHDMI Type-AになっているMHLケーブルなどで携帯電話とテレビをつなぐことができるようになるでしょう。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)