ケータイ用語の基礎知識

第718回:Eddystone とは

オープンなBLEビーコン規格

 2015年7月、Googleは「Eddystone」という規格を発表しました。これは、Bluetooth Low Energy(BLE)を用いたビーコンの規格です。

 同じように、BLEを使ったビーコンの規格としては「第660回:iBeaconとは」で解説した、アップルの「iBeacon」などがあります。iBeaconは、iOS専用でブラックボックス化されたものでした。一方、Eddystoneは、iOSだけでなくAndroidなどBLEを使うあらゆるプラットフォームで利用できる、オープンな規格である点が特徴です。

 Eddystoneに関するプログラムコードなどはGitHubで公開されており、誰でもアクセスが可能です。Apache 2.0ライセンスにより再配布も可能となっています。

 GitHubには、EddystoneのAndroid 5.0以降用に書かれたサンプルプログラムなども存在していて、現行のスマートフォン用のアプリを作ることも可能です。

 サンプルを使ってアプリケーションを開発すると、近くにあるビーコンの検知や通信を行ったり、あるいは緯度・経度といった位置情報とクラウドに保存されているビーコンのデータを関連付けたりする、といったことが可能になっています。

Eddystoneの3つのモード「UID」「URL」「TLM」

 BLE Beaconは、Bluetoothがペアリングの際などに使う、「さまざまな機器に、自分がここにいることを伝える」信号を一定間隔で発信することで、通信を行います。

 この「いることを伝える」信号は、アドバタイジングパケットと呼ばれます。アドバタイジングパケットの中にどのようなデータを入れるのか、というフォーマットを決めているのがEddystoneやiBeaconといった規格です。

 Eddystoneでは、「Eddystone-UID」「Eddystone-URL」「Eddystone-TLM」という3種類のデータの送信方法が規定されています。アドバタイジングパケットを使ってスマートフォンなどにデータを送ることができるようになっています。

 Eddystone-UIDは、信号を発する機械のIDを送るモードです。iBeaconでは「UUID」と呼ばれる16バイトのIDを送りますが、それとほぼ同じことをするモードと考えればいいでしょう。

 Eddystoneの場合、この送出するIDは「名前空間ID」と呼ばれ、ドメイン名をSHA-1ハッシュ化した最初の10バイトを使用することが推奨されています。

 Eddystone-UIDは、iBeaconと同様にアプリケーションが動作して、この通信に対応することが想定されています。

 一方、Eddystone-URLは、その名前のとおりURLを送るというものです。ただし、「http://」「https://」「http://www.」「https://〜」というURLスキーマを除いて最大17バイトまでしか送ることができませんので、基本的には「http://goo.gl」や「http://t.co」といった短縮URLサービスを利用して縮めたURLを送ることになります。Eddystone-URLは、Googleが昨年10月に発表した新プロジェクト「Physical Web」の応用のひとつです。Eddystone-UIDとは異なり、ビーコン信号を受信するためにアプリが必要なく、BLE機器とブラウザだけの簡単な実装で利用できることが特徴です。

 3つめのEddystone-TLMは、バッテリー残量、温度、起動からの経過時間といった情報を送信するためのモードです。

 ちなみに、Eddystone-UIDモードは、基本的にiBeaconでのビーコンと仕組みがほぼ同じであることから、既存のBLEビーコンは、多くが簡単なファームウェアアップデートでEddystoneにも対応可能とされています。

 また、2015年7月現在、Eddystone-UID、Eddystone-URL、Eddystone-TLMを切り替えて信号発信が可能なビーコンモジュールも販売され始めています。

Eddystone-URLと密接な関係にあるPhysical Web

 Eddystone-UIDモードはアプリケーションでの対応が必要となりますが、Eddystone-URLモードは基本的にはブラウザが対応していれば、利用が可能です。

 iOS向けのChromeブラウザでは、Chrome 44 for iOSからEddystone-URLに対応しており、「Physical Web」を利用できます。

 Physical Webは、アプリを介さずIoT(モノのインターネット)機器とインターネットを連携する規格です。ビーコンの電波を受信すると、ビーコンに関連付けられたWebサイトのURLとタイトル、概略などが表示されており、そのサイトのコンテンツを表示することができます。

 Googleのデモビデオでは、たとえば街のパーキングメーターにビーコンを内蔵させ、料金収納サイトのURLを発信させるといった応用例を示しています。利用者は、このURLが示すWebページをスマートフォンのブラウザで表示させて、そこから駐車料金を払うといったことが可能になるのです。

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大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)