ケータイ用語の基礎知識

第719回:myThings とは

 ヤフーが2015年7月、スマートフォンアプリ「myThings」と「myThingsプラットフォーム」を発表しました。

 myThingsは、一般ユーザー向けに提供されるサービスで、自分が使用しているIoT製品やWebサービスを組み合わせて、新しく便利な使い方ができるようにします。IoT製品やWebサービス、スマートフォンの機能などがmyThingsに対応していれば利用できます。myThingsのアプリは、iOS、Android向けに提供されています。

チャンネルの組み合わせの例。トリガーとなるチャンネルと、そのトリガーを受けてのアクションとなるチャンネルを指定する。アプリ内にはオススメの組み合わせも掲載されており、これを選ぶとワンタッチで利用できる

 たとえば「Yahoo! 天気・災害」「プッシュ通知」を組み合わせると、「ユーザーの現在地周辺の天気予報が雨であれば、プッシュ通知で知らせる」といったことが可能になります。

 myThingsプラットフォームは、企業などに向けて提供されます。さまざまなIoT製品やWebサービスのAPI(アプリケーションプログラムインターフェイス。他のプログラムから、その製品やサービスの機能を呼び出す手順のこと)が集められています。myThingsを利用する事業者は、プラットフォーム上のAPIを利用したり、あるいは逆にプラットフォーム上に自社製品・自社サービスのAPIを公開したりといったことが可能になります。その特徴はWebサービスだけでなく、IoT機器からの情報をトリガーにしたり、あるいはIoT機器へのアクションを指定できること、オープンなことです。

 myThingsアプリは、「myThingsプラットフォーム」を活用して開発されたもので、このプラットフォームの応用例のひとつです。myThingsプラットフォームには、2015年7月の提供開始時点で10程度のハードウェア、30程度のサービスが対応していて、これらを「チャンネル」と呼びます。myThingsアプリでもこれらのチャンネルを組み合わせてスマートフォン上で、さまざまな機能を実現できるようにしています。

 海外では以前より、「IFTTT」など、Webサービス同士を連携させて連携させることができるAPIプラットフォームはありました。ヤフーの「myThings」は、日本のユーザー向けに、同社のサービスのほか、はてななど他社を含めた日本のWebサービスが最初から提供されていること、また、家電などのIoT機器を利用できるAPIなども整えられていることが違いになります。

 IDCフロンティアが提供する「IDCF」チャンネルを利用すれば、自作したIoTデバイスをmyThingsアプリで扱えます。既存のWebサービスと自作デバイスを組み合わせるなど、これまでは、開発に手間がかかった部分も、手軽に利用できるようにしています。

ワンタッチで手軽に

 これまでWebサービスといえば、そのサービスの提供する機能の範囲内で使うのが主流となっていました。数のサービスの提供するAPIを組み合わせて「マッシュアップ」する、というトレンドもありましたが、こうしたことを実現するには、ある程度、プログラミングの知識が必要となっていました。

 一方、myThingsでは、マッシュアップほどの自由度はありませんが、その代わり、スマートフォン上で使いたいチャンネルを選ぶだけで利用できます。アプリ内にはオススメの組み合わせも用意されており、ワンタッチでWebサービスの組み合わせを利用でき、手軽さもウリの1つになっています。

 2015年7月現在、チャンネルとして「Yahoo!ショッピング」「Yahoo! 天気・災害」といったヤフーのサービスのほか、「Gmail」や「Twitter」、「Dropbox」といった大手サービスの外部用API、「Fitbit」や「Jawbone UP」「netatmo」といったIoT機器、それにスマートフォンの「プッシュ通知」、自作IoT機器と連携できる「IDCF」などが登録されています。myThingsプラットフォームに自社のAPIを登録する事業者が増えれば、このmyThingsアプリで利用できるチャンネルも増えていくことになるでしょう。

myThingsアプリで使えるチャンネル一覧(2015年7月現在)。たとえば、YouTubeの登録チャンネルに新規の動画がアップロードされたら、スマートフォンの通知で知らせる、といったことが可能だ

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)