ケータイ用語の基礎知識

第725回:7000番台アルミ合金とは

 「7000番台アルミ合金」とは、主に亜鉛とマグネシウムを添加し熱処理を行って作られたアルミニウムの合金のことです。物によっては、ここに銅なども含みます。

 アルミニウムは、鉄や銅に比べて非常に軽い金属です。比重で言うと、鉄7.87、銅8.93に対してアルミニウムは2.71と同じ量なら約3分の1の重さです。そして錆びにくい、融点が低いため柔らかく加工がしやすいといった特徴があります。

 純粋なアルミニウム(純アルミニウム)、たとえば一円玉などは純アルミニウムでできているのですが、もっと強度を強くしたい、腐食に強くしたい、あるいは溶接性をよくしたいといったニーズがあります。それを実現するのが、純アルミニウムに他の金属を混ぜ合わせたもの、つまりアルミ合金です。

 今回紹介する、7000番台のアルミ合金として代表的なものとしては、戦時中の戦闘機の部材として開発された「超々ジュラルミン」などがあります。現在でも7000番台アルミ合金は、航空機材、車軸、それに野球の金属バットなど、軽量かつ強度が求められる用途によく使われています。

 また、スマートフォン関係ではアップルの「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」、そして「Apple Watch Sport」のボディ7000番台のアルミ合金が使われています。

iPhone 6s

アルミ合金の種類を示す番号

 7000番台アルミ合金の「7000番台」という数字はどういった意味なのでしょうか。この4桁の数字は、国際合金記号化制度によって定められた「国際アルミニウム合金名」です。世界共通で使われている番号となっています。

 日本のJIS規格では、アルミ合金の呼称として基本的に、A-(国際アルミニウム合金名)「形状」「製造条件」「寸法許容度など示す記号」−「熱処理状態などの記号」で呼んでおり、たとえば「A-7075-T-6」などという名前がついています。欧州統一規格でも同じように「AW-7075」と、アルミ合金の呼称はAW-(国際アルミニウム合金名)となっています。JISのA-7075とENのAW-7075は同じ素材です。この国際アルミニウム合金名が「7×××」と“7”で始まるものを「7000番台アルミ合金」と呼ぶのです。

1000〜6000番台のアルミ合金

 アルミ材料を加熱し、複数のロールの間に通して伸ばす圧延、ハンマーで打って伸ばす鍛造などの方法で使われる展伸材アルミ合金では、どんな元素を添加したかによって、この番号が付けられます。

 1000番台は、99.0パーセント以上がアルミニウムで構成されている、純アルミニウム系の合金です。強度は低くてもいい家庭用品、装飾品などに用いられます。

 2000番台は、銅が主に添加されているものです。ジュラルミン、超ジュラルミンと言われる系統がこれにあたります。銅を含むため、耐食性には劣り、防食処理が必要ですが、純アルミニウム系に比べると強度が高い合金です。ロボット部品など、野外や酸にさらされる心配はない環境で、なおかつ、ある程度強度が必要な場面に使われます。

 3000番台は、マンガンが主に添加されたアルミ合金です。成形性に優れ、耐食性も良好で、アルミ缶などの容器や電球の口金に利用されています。カラーアルミもこの系統がよく使われます。

 4000番台は、シリコンが主に添加されています。これにより熱膨張率を抑え、対磨耗性がよくなっています。シリンダーヘッドやピストンといったガソリンエンジンやディーゼルエンジンの部品によく使われています。

 5000番台は、マグネシウムが主に添加されたアルミ合金で、非熱処理型のアルミ合金では強度が高い材料となっています。マグネシウムの添加量が多いと強度が上がる反面、経年劣化(応力腐食割れ)に弱くなるので、添加量の少ないものか多いものか、用途によって分かれます。添加量が少ないものでは、加工のしやすさ、溶接のしやすさ、耐食性がよく、また「アルマイト」と呼ばれる陽極酸化皮膜処理したときの仕上がりがいいため車両や船舶、建築の外装によく使われます。マグネシウム添加量の多いアルミ合金は、その強度から構造材などに使われます。

 6000番台は、主にマグネシウムとシリコンが添付されたアルミ合金です。強度、耐食性とも良く、アルミサッシなどの建築材料によく使われます。ただし、溶接に弱いという弱点もあります。

引っ張りや折り曲げ強度に優れる7000番台

 そして、7000番台は、先に述べたように、主に亜鉛とマグネシウムを添加して作られたアルミ合金です。7000番台のアルミ合金は大きくアルミニウム・亜鉛・マグネシウム・銅系合金と、銅を含まないアルミニウム・亜鉛・マグネシウム系合金に分けることができます。

 アルミニウム・亜鉛・マグネシウム・銅系合金の特徴はその強度です。熱処理を行うことでアルミ合金中では最も高い強度となり、非常に引っ張りや折り曲げに対して強くなります。軽く作らなければならないものの、簡単におり曲がってしまっては困るスマートフォンの筐体にはピッタリの材料であると言えるでしょう。

 代表的な7000番台のアルミ合金としては、先に挙げたA7075 超々ジュラルミンや同じく耐応力腐食割れ性を強化したA7050 超々ジュラルミンがあります。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)