ケータイ用語の基礎知識

第729回:CTE とは

中国製造の安価なWindowsタブレット・スマートフォンを世界へ

 CTEとは、チャイナ・テクノロジー・エコシステム(China Technology Ecosystem)のことです。米国マイクロソフトが、Windowsタブレット・スマートフォンを製造するODMメーカー、EMSメーカーへ投資し、Windowsタブレット・スマートフォンを販売する会社と、Windowsタブレット・スマートフォンを製造するODM・EMSメーカーの関係を支援、世界中に中国製造の安価なWindowsタブレット・スマートフォンを提供することを目的としています。1年以上前の2014年6月、台湾で開催された展示会「COMPUTEX Taipei 2014」で紹介されました。

 2015年10月現在、このプログラムが適用されたODM・EMSメーカー製造のWindowsタブレットが既に世界各国の企業のブランドで販売されているほか、今後は日本を始めとする各国でやはりWindows 10搭載タブレット、Windows 10 Mobile搭載スマートフォンが販売される予定です。

 CTEプログラムを使って製造・販売されたWindowsタブレットは、販売価格が1~2万円台程度と、手頃な価格帯となっていることが特徴です。スマートフォンでは、低価格のエントリーモデル~ミドルレンジのモデルを中心に、これから提供が開始されるとみられています。

 CTEプログラムを使って製造・調達されるWindows機は、特に、これからパソコンの普及が見込まれる途上国や、大量のタブレットを安価に調達する必要がある教育分野などで、強力な競争力を持つことになると考えられています。日本のようにこれまでWindowsスマートフォンのシェアがほとんどなかった市場でも、Windows 10 Mobileのリリースを好機として、CTEを使ってEMSメーカーからWindowsスマートフォンをODM調達・販売し、市場を獲得しようというブランドも出てきているようです。

 また中国や台湾のメーカーが、大手メーカーにとっての強力な競争相手となる可能性があるでしょう。

米マイクロソフト契約のEMSメーカーに設計・製造を依頼できる

 以前から、タブレットやスマートフォンを調達する方法として、自社で設計・製造をするだけではなく、OEM/ODMというような手法がありました。

 「OEM」とは、オリジナル装備製造を意味する英語「Original Equipment Manufacturing」の略です。簡単にいうと、あるメーカーが販売している製品と同じ仕様のものを、異なるブランドをつけて販売する、といったものです。もう一方の「ODM」は、オリジナルデザイン製造を意味する英語「Original Design Manufacturing」の略です。設計・開発からメーカーに任せるのですが、OEMと同様に、販売する会社がメーカーに作ってもらうことを言います。ちなみに、このODM製造請け負うメーカーのことを「ODMメーカー」といいます。また、特に電子機器の製造を受託するメーカーに関しては「EMSメーカー」と呼ぶこともあります。EMSとは、電子機器製造受託サービスを意味する英語「Electronics Manufacturing Service」の略です。

 いずれの方法でも、販売する会社がOEM/ODM/EMSメーカーに生産を個別に依頼するという形になるため、台数が少ないWindowsタブレットやWindowsスマートフォンを依頼する場合は生産コストが高くなりがちでした。そしてさらに致命的なことには、Windowsの場合、オープンソースのAndroidと違って、販売価格にはWindowsのライセンス料が上乗せされることになり、十分な競争力が販売価格にするのが難しい状況になっていました。

 そこで、これらを解消すべく米マイクロソフトが始めたのが、このCTEという仕組みです。

 マイクロソフトは、中国・台湾で、たとえばFIH Mobile(富智康)、Gigabyte Communications、GioNee(金立)など、40を超えるメーカーと直接、契約し、またベースとなるリファレンスモデルも準備しています。これらODM・EMSメーカーに、販売会社に依頼された仕様で端末の設計・製造を行わせることを可能にしました。

 これにより、ハードウェアの製造コストをAndroid機と同様、あるいはそれ以下にし、Windowsのライセンスやオフィスアプリも手頃な形でODM・EMSメーカーへ提供することで、トータルの販売価格も競争力のあるものとしています。

 販売側の会社からは難しい、ODM・EMSメーカーへの注文内容も「リファレンスモデルからここを変えたい」というように簡単に済ますこともできます。端末開発にかかる費用がある程度浮けば、外観のデザインといった付加価値に注ぐこともできます。

 日本などの米国以外の企業の場合、世界各地の現地マイクロソフト法人を介して、米マイクロソフト本社の仕組みを利用する、というワンクッションはありますが、割安な価格でWindowsスマートフォンを調達できる仕組みです。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)