DATAで見るケータイ業界

MNPを含む他社への乗り換え実態

 今や純増数の7割以上を占めるMNP(Mobile Number Portability)だが、その動きが活発化してきたのは2011年のKDDI(au)によるiPhone取り扱いからだった。それまでiPhoneはソフトバンクの独占状態だったが、それが崩壊するや各社の販促の重点はMNPによる顧客争奪戦へとシフト。2013年10月にNTTドコモがiPhone取り扱いを始めるや、さらにキャンペーンはヒートアップし、今年3月に1台10万円前後というキャッシュバック狂乱を引き起こした。

 今回のスナップショットでは、携帯各社の競争力の指標として注目される純増数に注目し、なかでもMNPを含む携帯各社への乗り換え実態について、明らかにしていきたい。

携帯会社の変更(のりかえ)経験

 MCAでは、2013年末に「2011年以降で、携帯会社を乗り換えた」かについて聞いたところ、全体の12.9%(約1600万)の人がMNPを含む他社への乗り換えを経験したことが明らかとなった。その年齢層を見て行くと、30代未満の若年層の割合が高い一方で、年齢が高いほど乗り換え経験が少なかった。この中には、MNP以外の契約していた番号を解約し、新たに別の携帯会社と契約する解約・新規と呼ばれる契約形態も含まれているが、MNPの利用者数が増加している点から考えると、その多くはMNPと推測される。

 先に述べたように、2011年以降、携帯各社は積極的なキャンペーンを展開しており、乗り換えした利用者のなかには、そうした施策の内容を魅力的と感じ行動した人も多いと思われる。その一方で、結果的には、それに反応した人たちは移り気な若年層が中心で、今後他社で更に魅力的な施策が出てくれば、そちらへ移る可能性のある層を抱えたという見方もできるのではないだろうか。

変更(乗り換え)後の携帯電話会社

 では、他社へ乗り換えた人たちは、どこの携帯会社へ行ったのか? それを調べたのが、上記のグラフである。MNP純増数でトップとなっているKDDI(au)が当然だが最も多く、なかでも男性の実に42.9%が同社へ移っている。また、それ以外では男性の支持が高いNTTドコモと女性に人気のソフトバンクという違いもユニークである。

 2014年3月まで毎月発表されてきた携帯各社の携帯契約者数だが、「市場が成長期から成熟期に移行したことで、一定の役割を終えた」として2014年度からは四半期ベースへと変更となった。しかし、実際にはメディアなどによって発表される毎月の契約数が、熾烈な獲得競争を助長している側面が影響していることは明らかだろう。

 間もなく迎える4半期ベースの契約者発表を前に、果たして一喜一憂する業界の体質は沈静化するのか。獲得数という結果の裏で、関係者が注目している点でもある。

MCA

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」などクオリティの高いサービス提供を行う。