biblioで読書、使ってみてわかったこと

2010年1月8日 11:00
(橋本保)

 商品発表会などで披露された専用カバーが付いた使用イメージが強烈だったためか、KDDIのPRが上手だからなのか、「biblio」=電子書籍なケータイの印象が強いんです。なので、早速電子書籍を読んでみることに。

 その前に正直に告白すると、ケータイの電子書籍を本格的に読んでみようと試みたのは今回が初めて。「biblio」ならば電子書籍をアクティブに読むかな、と思って手に入れたものの、面白がれるか心配でした。

 というのも、私は印刷された文章のほうが好きなのです。メールや地図はもちろん、Webページなんかも印刷しちゃうほうだからです。「印刷物のほうが取り出しやすいし、書き込みができるから便利」「ディスプレイは発光体なので、長時間眺めていると目が疲れる」などといったことを考えているタイプだし。

 あと、もう1つ。「ニンテンドーDS」で「源氏物語」を読んだことがあるんですけれど、あのディスプレイ、あのフォント、あの操作感で読むのがどうしても好きになれなかったんです。そのうえ、“電池がなくなっちゃうかも”と駆り立てられるように読まなきゃいけないことに違和感を覚え、「とくに小説などは印刷物のほうがいい」と実感した経験があるからです。

 こうした先入観を持つ私でも使ってみたいと思わせる雰囲気を醸しているのが「biblio」。期待と、不安(だってまた「源氏物語」の時のようなことが起こったら悲しいですから)を胸に秘めながらタイトルをダウンロードしました。

 まず、読んでみたのは山崎豊子の「沈まぬ太陽」。いまテレビで「不毛地帯」をやっていたり、それを機会に「白い巨塔」を再放送したりと、ちょっとした山崎豊子ブーム(大ブーム?)です。どちらのドラマも欠かさず見ていたので、「沈まぬ太陽」はどうなんだろうと興味があったこと。そして「沈まぬ太陽」の舞台となっている国民航空は、いま話題のJALを取材して書かれていることも選んだ理由。もうひとつ付け加えると、少し前に御巣鷹山の日航機墜落事故を題材にした映画「クライマーズ・ハイ」をDVDで観る機会があったのも選んだ理由だったりします。

 で、いきなり結論ですが、とても面白かったです。全5巻を、1週間くらいで読みきってしまいましたから。

 まず、移動中の細切れの時間に読みやすいんです。ページスクロールはタッチ操作よりも十字キーを使うほうが自然だったので、本体を開いた状態で使うことが多かったんですけれど、閉じると自動的にボタン操作ができないロック状態になる。そして開くと、すぐ読める。文庫本に比べると小さいので、持ち運べる場面が多いんです。たとえばトイレとか(すいません、汚い話で)。ほら、わざわざ本を持ってトイレに入るのって恥ずかしかったりするじゃないですか。そういう感覚から解放されます。

 あと、ちょっとした暗がりでは灯り要らず。たとえば夜のタクシーでの移動、就寝前ななどでも作品が読めるんです。これは使ってみて改めて気がつきました。このほかエレベーターや電車の待ち時間など、これまでは本を広げなかった空き時間でも読めるのも新しい発見。「『biblio』ってすげぇじゃん!」と、“電子書籍なケータイ”の世界に引き込まれていきました。