iPhone 4+ステディカムでブレないHD動画撮影を

2010年8月23日 06:00
(白根雅彦)

 「iPhone 4」で強化されたポイントの1つに、HD動画の撮影機能がある。1280×720ドット、いわゆる720pの動画を撮影できるようになったのだ。SD動画(640×480)に比べると解像度は3倍となり、かなり綺麗に撮れるように進化している。

 しかし、デバイスの性能だけで良い動画が撮れるわけではない。もともとiPhone 4はカメラとして「構える」ためにデザインされていないので、手ブレしないように撮るのはけっこう難しい。止めた状態で見ると綺麗でも、手ブレしまくってはダメ動画だ。

 カメラを固定するだけならば、三脚で済む。そのネタは以前の本連載でやった。しかし、散歩や旅行で撮影するとなると、動き回りながら撮ることが多いので、三脚は使いづらい。別の手ブレ対策が必要だ。そこでわたしは、カメラ用スタビライザー、英HAGUE社の「MINI MOTION-CAM」という製品を輸入してみた。

 MINI MOTION-CAMの原理は、簡単に言うとヤジロベーだ。カメラとカウンターウェイトでバランスを採り、グリップについているボールジョイントのを中心に平衡させることで、グリップが傾いたり平行移動したときにも、レンズは常に同じ方向を向き続けるようになっている。

 この手のカメラ用スタビライザー(代表的な商品名からステディカムとも呼ばれる)は、本来は映画やスポーツ中継で使われるプロ向けの機器だ。しかしこのMINI MOTION-CAMは家庭用ビデオカメラ向けの機器で、価格は国際送料込みで88.67英ポンド(1万2000円ほど)と、そこそこ安く買うことができる。適応できるカメラの重量は300~800g。iPhone 4にはオーバースペックだが、iPhone 4を三脚ネジに取り付ける器具(これは以前に自作した)を含めれば、だいたい安定させられる。

 使い方は、正直言って簡単ではない。本来はプロ向けの機器なので、バランスの調整やカメラの回転などは技術・コツが必要だ。わたしもまだ慣れていないため、撮りたいものにレンズを向けることすらおぼつかない。重たくはないが、アームが長いので、撮っている最中も目立つし、カバンに入れるのも難しい。

 しかしそれでも、もともと手ブレ補正機能のないiPhone 4では、驚くほどの効果を発揮する。たとえば歩きながら撮影すると、普通の手持ち撮影ではひどいブレブレ映像になってしまうが、このMINI MOTION-CAMを使えば、無造作に撮っただけでも、そこそこ安定した映像になる。いちいち立ち止まって撮る必要がないので、静止画撮影よりも気軽なくらいだ。

 ここまで手ブレに強くなると、iPhone 4のHD動画も、俄然実用性が高まった印象だ。「iPhone 4持ってきているから動画を撮ろうかなぁ」ではなく、「動画を撮るためにiPhone 4とMINI MOTION-CAMを持っていく」とすら思えてくる。機動力と安定性を兼ね備えたUstream中継なんかもできるかもしれない。

 ちなみにこのMINI MOTION-CAM、iPhone 3GS用の製品もあり、近日中にiPhone 4用のモデルも出るらしい。決して万人にはオススメできないが、ハイアマチュアの人には、ちょっと試して欲しい製品だ。