iPad片手に鈴鹿でF1観戦

2010年10月29日 06:00
(石川温)

 10月10日に三重県鈴鹿で開催された2010F1日本グランプリ。土曜日は大雨となり、予選が延期。日曜日の午前に予選、午後に決勝という慌ただしいスケジュールとなった。

 今年、購入したシートはE席(ダンロップコーナー)だ。マシンがS字の出口から逆バンクから抜けていき、マシンからかなり近い位置でレースを観戦できる場所。

 F1では、多くの指定席にサーキットビジョンと呼ばれる巨大なモニターが設置される。全長6キロ弱のサーキットでは、どこでどんな展開が繰り広げられているかが分からない。場内の実況放送もエンジン音でかき消されてしまうため、とにかく、サーキットビジョンでレースの展開知ることはとても重要なのだ。

 日曜の朝、天気も良くなって購入したE席に行ってみると、なんと目の前にサーキットビジョンがない。ちょっと離れた場所にあるのだが、角度的にほとんど見えないのだ。しかも、日光が強すぎてさらに見えない。サーキットビジョンはあきらめざるを得なかった。

 しかし、今年の自分はちょっと違う。サーキットには当然のことながら、iPadを持ち込んでいる。もちろん、前々回に紹介したF1公式タイミングアプリ「F1 2010 Timing App Championship Pass」を試すためだ。

 実際に予選を見ながらアプリもチェックしてみると、実に面白い。アプリではマシンの居場所が分かるようになっているのだが、その位置がかなり正確なのだ。「2コーナーを抜けたから、小林可夢偉がそろそろ目の前を通過する」とアプリで確認して、コースを見ると遠くのほうから可夢偉がやってくる。まさに手に取るように場所が分かって、応援にも熱が入ってくる。

 決勝では、予選でミスをし、14番手スタートだった可夢偉はピットストップを遅らせる作戦で徐々に順位をアップ。44周目、48周目、49周目にヘアピンで豪快にオーバーテイクをしてさらに順位を上げていった。残念ながら、その様子は自分が座ったE席からはサーキットビジョンがまともに見えないので確認できないが、手元にあるアプリではきっちりと順位を上げる様子がわかった。iPadのおかげで、可夢偉の力走を追うことができたのは本当にありがたかった。

 順位を上げてE席の前を通る可夢偉に対しては、精一杯の声援を送る。そうこうしているうちにレースはフィニッシュとなり、可夢偉はなんと7位入賞を果たした。非力なマシンにもかかわらず、日本のファンの前できっちりと成績を残す可夢偉。来シーズン以降の活躍にも期待したいところだ。

 iPadは決勝レースの前など時間をもて余している時には、ちょっとしたニュースのチェックなどもできてかなり役立った。太陽光の下だとなかなか画面が見づらかったりもするが、日陰に逃げれば問題ない。バッテリー寿命が長いというのが、とにかくサーキットでは重宝する。

 これからのF1観戦にiPadは必需品になりそうだ。