iPhoneユーザーにはいろいろあった10月

2011年10月26日 06:00
(白根雅彦)

 iPhone 4Sが発売され、iOS 5がリリースされ、iCloudがスタートし、そしてアップル会長のスティーブ・ジョブズ氏が亡くなった。前回のみんなのケータイからほんの3週間しか経っていないが、本当にいろいろなことがあった。とくにジョブズ氏の死去は、アップルのファンでもある筆者にとっては、非常に悲しいことだった。しかしもちろん、ほかの新製品の登場も、アップルのファンにとっては大きな出来事だ。

iPhone 4S

 筆者はau版のiPhone 4Sを購入し、そのほかに所有する対応デバイスすべてにiOS 5を導入した。MobileMeもiCloudに移行している。いずれも、多数の新機能が追加され、着実に使いやすく進化しているが、しかし正直に言えば、「スゲー新しい!」と感じるものでもなかった。

 といっても、失望することもなかった。この「むやみに変わらないこと」は、iOSプラットフォームの良いところなのだと、筆者は考えているからだ。

 iOS 5もiCloudも、新機能はいくつか追加されたものの、使い勝手は従来からほとんど変わっていない。iPhone 4Sも、デザインや画面サイズは同じままだ。そのおかげで、指が覚えている操作感がそのまま通用する。もし画面サイズが4インチ以上に大型化していたら、画面を見ながらでも操作感の違いに戸惑ってしまうはずだ。使い勝手に関係する要素というものは、頻繁に変更されるようでは、たとえそれが改良であったとしても、トータルでの使い勝手は悪く感じることがある。

 もちろん、ずっと変わらないままで良いとは思わない。技術的に大きな躍進が可能になり、変化によるデメリットをメリットが上回れば、過去の資産を断ち切ってでも、進化するべきだろう。

 アップルは、こうした進化のコントロールが上手だとも感じる。たとえばMac OS Xは、ときに過激な取捨選択をして、それでいて使い勝手を大きくは変更せず、しかし常に新しい要素は取り入れてきた。iOSプラットフォームについても、いまのところは非常に心地よい進化をしてきたし、これからもそうであろうと信じるに足りると思う。

 iOSプラットフォームがライバルと比較されるとき、比較しやすい面だけがクローズアップされがちだが、iOSプラットフォームは、そのような単純な比較のできないところにも優位性があると思う。ジョブズ氏には、100万本の哀悼の花に代えて、このような製品たちを世に送り出してくれたことへの感謝の言葉を贈りたい。ありがとう。