みんなのケータイ

 今年の業界のトピックのひとつと言えば、「LTE」。イー・モバイル、au、ソフトバンクもサービスを開始したことで、国内の携帯電話事業者4社が揃って、サービスを提供することになった。

 この4社のうち、もっとも早くからLTEサービスを提供していたのが言うまでもなく、NTTドコモ。2010年12月に「Xi(クロッシィ)」というネーミングでLTE方式を採用したデータ通信サービスの提供を開始し、昨年12月からはXi対応スマートフォンの販売を開始。今年の冬モデルでは、いよいよ全機種Xi対応スマートフォンをラインアップしている。ただ、他社の追い上げが厳しいのも事実で、これまで「Xi」というネーミングのみでサービスを展開してきたのに、他社がしきりに「LTE」というキーワードを使うため、最近ではNTTドコモも「docomo LTE Xi」なんていうネーミングも使いはじめている。

 そんな業界ネタはともかく、NTTドコモでは11月16日から一部のエリアで、Xiの受信時最大100Mbpsのサービスの提供を開始している。これも他社が100Mbps前後のサービスを提供してきたことへの対抗策なんだけど、記事を見てもわかるように、対応エリアは限られている。というか、ボクらのように、東京を中心に活動している人たちにとっては、なかなか出向かないエリアなので、取材に行くことにでもしない限り、100Mbpsを体験できないわけ。

買ったばかりのAQUOS PHONE ZETA SH-02Eで計測。あいにくの雨だけど、とりあえず、こういうときにも防水は安心

 ところが、幸いなことに、ボク自身は11月16日のサービス開始以降、石川県金沢市に仕事で出向く機会があり、端末もNTTドコモのメイン端末をAQUOS PHONE ZETA SH-02Eに機種変更したし、Xperia AX SO-01Eも手元にあったので、100Mbpsがどれくらいのもんなのかを体験してみようと考えた。ただ、NTTドコモのサービスエリアのWebページを見る限り、どこが100Mbps対応のエリアなのかはまったく掲載されていない。

 そこで、NTTドコモの広報に問い合わせ、金沢市内にある100Mbps対応のピンポイントの場所をナイショ(?)で教えていただき、体験してみることにした。場所は金沢市内の武蔵ヶ辻にある「めいてつエムザ」前の「むさし」という交差点付近(Googleマップ)だという。

 当日は残念ながら雨で、帰りの飛行機までの1時間ほどしかなかったけど、とりあえず、トライしてみた。早速、測り始めると、表示される速度は10Mbps程度。「こんなはずでは……」と面食らったけど、そう言えば、NTTドコモの広報担当が「先に2GHzの電波をつかんでしまうと、1.5GHz帯がつかめないので、速度が出ないことがあります」と話していたのを思い出し、ちょっと作戦変更。ほかのNTTドコモのスマートフォンでYouTubeを再生して、トラフィックを発生させつつ(いったい何台持ち歩いてるんだ)、AQUOS PHONE ZETA SH-02EとXperia AX SO-01Eで測ったところ、何度か40Mbps前後の速度を出すことができた。

 この結果をどう評価するかだけど、100Mbps対応Xiの片鱗は見えたかなっていうのが正直な感想。確かに、速いことは速い。でも、100Mbpsは所詮、理論値でしかないし、電波は水物とも言われ、刻一刻と電波状況は変わる。計測したタイミングで1.5GHz帯をうまく占有できていたかもしれないし、100Mbps対応Xiを持つ金沢のユーザーがバリバリに使って、それでも叩き出せた結果かもしれない。残念ながら、ユーザー側ではそれを知ることはできないけど、まあ、見た目にも体感速度でも速いのは事実。

何回か測っているうち、もっとも良かったのがこの速度。100Mbps対応Xiのポテンシャルの片鱗が見えた?
Xperia AX SO-01Eも持っていたので、こちらでも計測。40Mbpsにちょっと届かないが、実用面で考えれば、これもなかなかの速さ

 ただ、せっかくなので、本音も書いてしまうと、ここのところの各社の最大通信速度の競争は、正直なところ、ちょっとどうかなって感じる部分もある。くり返しになるけど、そもそもこの通信速度って理論値だし、ボクらも受信時の最大速度を測るためにスマートフォンを使っているわけじゃない。もちろん、速ければ、速いに越したことはないけど、どうも目先の速度というか、その瞬間に得られた通信速度ばかりが注目されてしまっているのが残念だ。「調査会社によれば、LTEの通信速度は○○が優勢」なんて話題も1つのニュースとしては理解できるけど、そんな調査結果より、何千、何万というユーザーが使うことで、積み上げられていく評価の方がよっぽど意味があるんじゃないかと……。

 まあ、その意味でも各社のエリアマップ担当の方々には、ぜひ最大速度をアピールするなら、それを体験できるエリアの情報をきちんと開示し、場合によってはピンポイントの場所の情報も付け加えるなど、もう少しユーザーがちゃんと裏付けを取れるような環境を作って欲しいところです。さて、次回はどこに測りに行きましょうか。