みんなのケータイ

単にプリンターで印刷するだけじゃない!

 2011年初頭にリリースされた「Google クラウド プリント」。名前くらいは見たり聞いたりしたことがあっても、一体何に、どうやって使えるのかはっきり理解していない、という人も多いのではないだろうか。サービス自体がいまだに“beta”のままだったりして、一般に浸透しているとも思えないし、筆者もまだ正確に全てを把握しているわけではないとはいえ、Android 4.0端末を持っていると結構便利に使えるんだな、ということだけはつい最近わかった。

 どういうサービスなのかあまり知らない人のために軽く説明しておくと、Google クラウド プリントは、インターネット経由でプリンターにデータを送って印刷するための仕組みだ。“インターネット経由”ということは、つまりPCなどにインストールした従来型のドライバを使わない、ということ。今までOSごとにドライバをしこしこ書いてきたプリンターメーカーは、とりあえずGoogle クラウド プリントに対応するためのプロトコルをプリンターに実装するだけで、数多くのOSや端末に対応できるようになる、というのがGoogleの主張するメリットだ。

スマートフォンのWebブラウザー上のGmailから印刷するときは、右上の上矢印アイコンからプルダウン内の“Print”を選ぶ

 印刷データを送る端末側のOSは、Windows、Mac、Android、iOSなど、どれでもOKだが、現在はアプリケーションごとにGoogle クラウド プリントに対応していなければならないのが難点。代表的なところでは、PCだとGoogle Chrome、スマートフォンだとWebブラウザー上のGmailやGoogle ドライブなどが対応している。対応アプリが少ない上に、スマートフォンからプリンターで印刷するには、多くの場合PCにインストールしているGoogle Chromeを経由する必要があったりする。Google クラウド プリント対応を明確にうたっているプリンターであれば、スマートフォンから直接印刷、ということも可能らしいのだが、そうではないプリンターなら、プリンターとケーブルや無線LANで接続されているPCが常に立ち上がっていなければならない。

 といったような面倒さがあるだけでなく、自分のPCのOSが対応しているかどうか確認してからプリンターを買うのが当たり前だし、PCとプリンターが繋がっているならたいていはドライバがインストール済みのはずなので、PCからGoogle クラウド プリントで印刷する必要性がそもそも感じられないのが、普及が進まない(ように見える)原因の1つなのだろう。どうやらGoogleのChrome OS搭載ノートブックであるChromebookで利用することを前提に開発された仕組みらしいから、既存のWindowsやMacなどではメリットが少ないのは仕方ないのだけれど。

次に印刷するプリンターを選択する画面が表示
印刷先を決めたら“Print”を押せばプリンターで印刷が始まる

 しかしながら、Google クラウド プリントは、“PC(スマートフォン)→プリンター”だけでなく、“PC→スマートフォン”や、“スマートフォン→スマートフォン”という印刷もできるのがポイントなのだ。スマートフォンにChrome(Android 4.0以降に対応)をインストールしてGoogle アカウントでログインしておけば、手元や遠くにあるスマートフォンをプリンターに見立てて印刷することで、文書などをPDFファイルの状態で送信できる。PCやスマートフォンが同一のLAN内にある必要はなく、スマートフォンが3G/LTEで接続している状態でも問題ない。双方の端末で設定するGoogle アカウントを同一にしておかなければならないので、友達のスマートフォンに勝手に印刷、なんてことはちょっと無理なのだが、やり方によっては結構面白く使えそう。

 近頃は、外出前に目的地周辺の地図や電車の乗り換えルートをPCで印刷してARROWS Xに送信するのによく使っている。あと、出張時の宿泊先の情報とかもポチッと印刷していたりもする。ARROWS Xに送られてくるデータがPDFなので、電波圏外でも問題なく閲覧できるのが最大の利点だ。PCからスマートフォンに簡単にデータを送るツールとしては「Google Chrome to Phone」などもあるが、こちらは主にURLなどのテキスト情報を送るためのもの。受信したスマートフォン側では、当然そのURLにアクセスするために通信しなければならず、電波の届かない場所では役に立たない。

PCのGoogle Chromeで印刷ダイアログを表示
左上の“変更”ボタンをクリックすると、印刷先を選択できる
印刷先をスマートフォンにすると、そのスマートフォン上でPDFのダウンロードが開始
ダウンロードが完了したPDFはすぐにビューワーアプリで開ける

 それに対して、Google クラウド プリントを使って印刷したPDFデータなら、電波の弱い地下鉄駅構内や車両内などでも地図や順路をサクサク再確認できるので、効率的で安心感も抜群。なんだそんなシンプルな話か、なんて思われるかもしれないけれども、今のところこれ以上に手軽で汎用的で安心、確実な端末間のデータ共有方法が見当たらない気がする。みなさんもぜひ一度お試しを。