みんなのケータイ

 3月の「Google Reader」のサービス終了宣言からはや数カ月、7月1日の終了日に向けて、落ち着いていたかに見えたRSS界隈が再び慌ただしくなってきたようだ。各社が自社サービスにユーザーを呼び込もうとアピールを繰り広げる中、序盤から存在感を見せているのが「Feedly」だろう。Googleのサービス終了の発表から1日と経たずにユーザー向けの救済策を発表、Google Readerの終了を予見していたという同社は「プロジェクト・ノルマンディー」なる企画を水面下で進行させていたというのだから、Google Reader難民が確定していた自分はむしろ、突如上陸してきたずぶ濡れの白馬の騎士の笑顔に戸惑いすら覚えたのだ。「あんた、準備良すぎでは……」と。

 Feedlyの作戦は、最終的に「Google Reader」のクローンに近いプラットフォームまで作り出し、サードパーティ製アプリからの接続も受け入れるというもの。6月20日時点ではいよいよクラウド上で救済作戦の本格稼働が始まっており、少なくとも仕様の面では「Google Reader」の購読環境をそっくりそのまま引き継げるようになっている。もっとも、エンドユーザーの立場からすれば、これまでの購読サイトの情報を引き継げて、マルチデバイスで閲覧できる、スマートフォンアプリが提供されている、というあたりが満たされていれば、あまりその先のプラットフォームの体制までは気にしなくていいのかもしれないが……。

 こうした枝葉・仕様の部分では、「Feedly」に限らずさまざまなサービスが“救済”に名乗りを上げており、注意深く選んでいけば、好みのUIやアプリ、サービスに行き当たることだろう。

 しかし、個人的に「Google Reader」終了で改めて痛感させられたのは、無料サービスとユーザーの関係だ。無料のITニュースサービスを提供する会社で働いている筆者が言うのは複雑な心境ではあるが、少なくとも一ユーザーとしては、無料サービスにおけるユーザーの無力さを思い知らされた気がしたのだ。

 そんな訳で、「Google Reader」の後継としてなんとなく、「Feedly」(無料)をパソコンのWebブラウザとスマートフォンアプリで使っていたが、上記のようなさまざまなサービスの拡張や開発力の高さには眼を見張るものがあるものの、肝心の使い勝手にはいまひとつ馴染めなかった、というのが数カ月使ってみた結論だ。馴染めない理由のほとんどは、スッキリしすぎな印象のフラットデザインや、ニュルッとしたアニメーション、フォルダ内を既読にする方法、などの細かい部分の話なので、将来的には自分にとって好ましいものに変更される可能性はあるが、現時点では、特にFeedlyのスマートフォンアプリの動きやページ遷移の考え方に慣れることができなかった。

 そこで、僚誌「窓の杜」の編集長がオススメしていた「NewsBlur」を試し、気に入ったので年間24ドルのプレミアムコースに登録した。無料コースは64サイトまで登録できるため、購読サイトの数が64以下の場合は無料コースでも大丈夫なはず。筆者はすでに購読サイトが100を超えていたこともあるが、使いこなす代わりに対価を払いたいという考えも強かったのだ。

 パソコンのWebブラウザで使う「NewsBlur」は、見た目は「Feedly」ほどおしゃれではなく、どちらかというと開発者向けツールのようなUIだが、フィード一覧のロードに平均して2~3秒の時間がかかる以外、動作は軽快。タイトルのみを表示したペインがあるのも、使ってみたら便利だった。自分で作成したフォルダ(左ペイン)ごとに、タイトルを確認するだけで済むもの(右下ペイン)、もう少し詳しく知りたいもの(右上ペイン)、という段階までは1画面で確認できるのだ。キーボードショートカットも多く、マウスよりキーボードの操作のほうが多い筆者にはありがたい。多数のニュースや情報を効率よく、素早く捌きたいという、筆者がRSSリーダーに本来求めていたニーズには、非常によく合致していると感じている。

 「NewsBlur」のモバイルアプリも軽快に動作し、自分で作成したフォルダ→フォルダ内の記事一覧→記事詳細と遷移していく常識的なもの。引っ張り動作やアニメーションに焦らされることもない。もう年間コースを支払ってしまったという点はあるが、じっくりと腰をすえて使い込んでいきたい。