みんなのケータイ

 以前もこの連載やレビュー記事で指摘したとおり、率直に言ってXiの通話料は高い。30秒辺りの通話料は21円もし、無料通話もない。また、auやソフトバンクのように通話料を半額にするオプションも用意されていない。自分がLTE対応スマートフォンに機種変更したのは「GALAXY SIII SC-06D」からで、現在使用中の「GALAXY S4 SC-04E」でも同じ問題に頭を悩ませている。仕事で利用するため、固定電話に発信することも多く、通話料がかさんでしまうからだ。さまざまな対策も取ってはきたが、どれも決定打に欠けていた。

GALAXY S4と「だれとでも定額パス」を組み合わせて利用している

 このような状況の中、通信業界のLCCを標榜するウィルコムから、スマートフォンと組み合わせて利用できる「だれとでも定額パス WX01TJ」が発売された。だれとでも定額パスには専用の料金プランが設定されており、基本使用料はたったの490円。だれとでも定額をつけても、トータルの支払いは1470円で済む。筆者はこの端末を発売日に購入。月々980円のW-VALUE割引がつくため、毎月の料金も490円になる。大事なことなのでもう一度言うが、毎月の料金はたったの「490円」だ。

 端末代は差し引きでちょうど実質価格が0円になるよう、2万3520円に設定されていた(ただし、筆者の利用したビックカメラでは、オプションに入らないと2000円程度の頭金がつく。分割にしたわけでもないのに「頭金」がつくというのは、日本語として整合性が取れていないと思うのだが……)。GALAXY S4を購入したときのポイントもたまっていたため、筆者は一括払いを選択。出費は、1万5000円程度となった。最初にこの金額を支払っておけば、2年間は490円で、1回10分、月500回までの通話がし放題になるというわけだ。

だれとでも定額パス用アプリから、電池残量や電波状況の確認が可能だ

 だれとでも定額パスは、スマートフォンをBluetoothのヘッドセット代わりに使うPHS端末だ。スマートフォンにはGoogle Playから、専用のアプリをダウンロードしておく。最初のペアリングには若干手間取ったが、1度つながるとあとは特に難しいことを考える必要はない。Bluetoothをオンにすると自動的に接続され、利用が可能になる。アプリからは、PHSの電波状態や、だれとでも定額パスの電池残量、Bluetoothの接続状況を確認可能だ。

 電話帳データも、スマートフォン側に入ったものをそのまま使える。今までウィルコムの端末を2台持ちする際は、わざわざ電話帳データをコピーしていたため、これは便利だ。ただ、UIはもう少しこなれてほしいと感じている。個人的な印象だが、GALAXY S4標準の電話帳の方が好みに近い。そのままでもいいが、たとえば、Androidのインテントを使い、標準の電話帳からダイヤラーにデータを渡す仕組みはあってもよさそうだ。実際、一部のIP電話アプリはそのような作りになっており、電話帳は端末のものを使い、発信時にのみアプリが起動することもある。

電話帳を備えているほか、発着信履歴も参照できる。発着信履歴は、PHSと3G、どちらのものかまで表示される
もう一点、感心しなかったのが通知の仕様。アプリをインストールすると、電話と電話帳、2つの通知が常に表示される。個人的には、通知はシンプルにして届いた情報がすぐ分かるようにしたいため、これはいただけない。端末の設定でアプリ一覧を開き、アプリの通知をオフにできるが、もう少し簡単にできる工夫をしてほしかった

 利用前はGALAXY S4側の電池のもちを気にしていたが、特に大きな問題はなかった。体感レベルでの電池のもちは、ほとんど変わらない。音質についてはまずまずといったところ。通常のPHS端末から直接発信するより、Bluetoothを介している分、音質はやや劣化する。特に部屋の中など、2.4GHz帯の無線LANが飛び交っているところでは、どうしても干渉が避けられない。Bluetoothには無線LANとの干渉を防ぐ仕様も盛りこまれているが、限界はあるようだ。ただ、今のところ、通話が途中で切断されるようなトラブルは起こっていない。PHSとして、きちんと使えているというのが現時点での正直な評価だ。

 実際使ってみると、PHSがそのままスマートフォンの中に入っているような感覚になる。確かに2台持ち歩いているのだが、だれとでも定額パスをカバンの中に入れたままにしておくと、それを忘れてしまう。まるで、GALAXY S4がウィルコムのデュアル回線対応スマートフォンになったかのようだ。Xiの通話料が気になる人は、試してみてもいいだろう。