みんなのケータイ

 「さらっとスマチェン!」を合い言葉に、ケータイからスマートフォンにはじめて移行するユーザーを狙った「ELUGA P P-03E」。ツートップ戦略の影響で、発売当初は今ひとつ注目されなかった感があったけど、着実にコンセプトが浸透しつつあるようで、街中の販売店でもいい感じで扱われているのを何度となく見かけた。パナソニックが積極的に取り組んでいる「さらっとスマチェン!塾」をはじめ、全国のドコモショップなどで展開しているタッチ&トライのイベント効果もあるのかな。やっぱり、買うかどうか、移行するかどうかを決める前に、十分に触っておきたい、話を聞いておきたいってのは、はじめてのユーザーはもちろん、買い換えのユーザーも考えるところ。携帯電話会社やメーカー、販売店は大変かもしれないけど、各社ともこういう取り組みをもっと積極的にやるべきでしょうね。

docomo Palette UI
ELUGA P P-03Eにプリセットされた3つのホームアプリ

 そんなはじめてのユーザーにもやさしいELUGA P P-03Eなんだけど、いろいろと試しているうちに、気になるポイントもいくつか出てきた。たとえば、初期状態もその一つ。

 これまでNTTドコモのスマートフォンには、各メーカー製やAndroid標準のホームアプリのほかに、「docomo Palette UI」がプリインストールされてきたけど、ELUGA P P-03Eには「docomoシンプルUI」が追加された。docomoシンプルUIはケータイからの移行ユーザーでも簡単に使えるように作られたホームアプリで、なかなかいい出来映えなんだけど、端末には従来のdocomo Palette UI、パナソニックオリジナルの「フィットホーム」というホームアプリがプリインストールされている。つまり、出荷時には都合3種類のホームアプリが用意されているわけだ。

 選択肢があることはいいことかもしれないけど、正直なところ、docomoシンプルUIをプリインストールするんなら、docomo Palette UIはいらなかったかもしれないし、3つも選択肢があることは、逆にはじめてのユーザーを惑わせることになるんじゃないかと……。

 また、パナソニックオリジナルのフィットホームには、ケータイライクに使える「ケータイモード」という画面モードが用意されている。docomoシンプルUIとどちらがいいという話ではないけど、実はこちらもケータイからの移行ユーザーが意識されていて、中央下のメニューボタンをタップすると、ケータイのメニュー画面と同じように、必要な機能がマトリクス、もしくはリスト形式で表示される。使われている言葉もケータイに準じていて、考えようによっちゃ、これだけの画面モードがあるんだったら、敢えてdocomoシンプルUIをプリインストールしなくても良かったかも……という気もする。

docomoシンプルUI
フィットホーム
タッチアシスト

 そして、ホーム周りでもう一つツッコミどころなのがELUGA P P-03Eの売りの機能の一つである「タッチアシスト」。ホバーとも呼ばれるけど、サムネイルの画面で画像に指先を近づけると、画面がポップアップで拡大表示されたり、アプリケーション画面ではアプリのアイコンに指を近づけると、そのアプリの内容を解説するポップアップが表示されるなど、スマートフォンに「触れずに操作できる」という機能。すでに慣れている人には不要かもしれないけど、はじめて使う人にはそれなりに便利だし、スマートフォンを楽しむ方法論のひとつとしても面白い。ただ、これが使えるのはホームアプリをフィットホームか、docomo Palette UIに設定したときで、docomoシンプルUIに設定したときには、ウンともスンとも言わない……じゃなくて、何も表示されない。

 こう考えると、せっかくメーカーが考えた世界観で各機能がうまく構成されているのに、言い方は良くないけど、NTTドコモが似て非なる世界観のものを持ち込んで、かえってゴチャゴチャになり、ユーザーを惑わせる結果になってしまったように見える。docomoシンプルUIの完成度が高いだけに、ちょっと惜しい気がする。

 でも、パナソニックにもいくつかツッコミどころがあって、たとえば、ホーム画面中央に表示される「ELUGA CLIP」のウィジェットもその一つ。ELUGA CLIPのウィジェットはフィットホームに設定したときに表示されるもので、カメラで撮影した画像をFacebook、Twitter、mixiに簡単に投稿し、連携できるというもの。

 取り組みとしては面白いんだけど、はじめてスマートフォンを手にするユーザーを対象としているのに、SNSのアカウントなどを設定しない限り、常に同じサンプル表示のままになってしまうウィジェットがいきなりホーム画面の中央という一等地を陣取ってしまうってのはどうなんでしょ。そもそもスマートフォンがはじめてのユーザーは、まだSNSのアカウントを持っていない人も多いんじゃないですか? 仮にアカウントを持っていたとしても各サービスの純正アプリ以外にアカウントを設定したとき、どういう動きになるのかが今ひとつユーザーにはすぐにわからないのに、設定する勇気を持てるのかなぁ。「機能を使って欲しい!」という作り手の意気込みは理解するけど、ユーザーが「使ってみようかな?」というキモチを持てるような仕掛けや説明も欲しいところです。

ELUGA CLIP