みんなのケータイ

 何の因果か、このみんなのケータイで私が嬉々としてMEDIAS Wについて語っていたその当日、NECカシオのスマートフォン事業撤退が発表されてしまいました。かねてから噂されていた話だっただけに大きな驚きはないものの、事実として発表されるとユーザーとしては悲しいものがあります。

 2画面のAndroid端末としてはソニーがタブレットとして「Sony Tablet P」を国内で発売しましたし、海外では京セラが「Kyocera Echo」という2画面タイプのスマートフォンを発売しています。ただし、そうした今までの2画面端末と一線を画すのは、MEDIAS Wが2画面の魅力をとことん追求している点だと思います。

 1画面でも2画面でも使えるという点はKyocera Echoも共通ですが、Kyocera Echoでは特定アプリの利用時のみ2画面に異なるアプリを表示できるのに対し、サブディスプレイ専用のアプリ「Utility Apps」を用意することで、通常の画面とは別のアプリを常に起動できる、というのはMEDIAS Wならでは。また、サブディスプレイが背面に搭載されているMEDIAS Wなら、2画面それぞれに同じ動画を映し出して2人で視聴する「Wムービー」という機能も使えます。

 先日発表された2画面アプリのコンテストも、2画面はまだまだ面白い使い方ができそうだ、という可能性を感じるものばかりでしたが、今回の撤退によりMEDIAS Wの後継機はもはや期待できず。国内の2画面スマートフォンとしては、どうやらMEDIAS Wが現状最初にして最後の端末になりそうです。

 フィーチャーフォンの時代も最初の頃はストレート型の端末が中心ばかりでしたが、NECを代表とした折りたたみ型はもちろん、成熟期にはソニーの小型携帯「premini」、端末が横方向にスライド回転する「A5305K」、画面が縦にも横にも開く折りたたみ型の「W44S」、画面が縦と横に90度回転する「F905i」など、非常にユニークな形状の携帯電話が多く登場しました。ユニークな形状が必ずしも魅力につながるわけではありませんが、すべてのスマートフォンが同じようなデザインで均一化している昨今、フィーチャーフォン時代のように愛すべき個性的な端末として登場したMEDIAS Wに改めて敬意を表しつつ、MEDIAS Wの意志を継ぐユニークな端末の登場を期待する次第です。