みんなのケータイ

 「Xperia Z1」には、「アルバム」や「Walkman」「ムービー」といったソニー製のアプリが内蔵されている。これらはソニーの得意とする分野を強化するために開発されたもの。レスポンスがよく、デザインもXperia用にデザインされているだけあって、統一感もある。ホーム画面とギャラリーや音楽プレーヤーなどの雰囲気が合っていないというは、Android端末ではありがちなことだが、こうした細かな点まで作り込まれているのはXperiaならではだ。

写真や動画が時系列に並べられる「アルバム」アプリ
音楽再生アプリはWalkmanの名を冠している

 使い勝手もいい。たとえば、アルバムアプリは写真や動画のサムネールを、ピンチインやピンチアウトで拡大・縮小できる。iPhoneの「iOS 7」でも似たような機能が搭載されたが、近い使い勝手を先取りしていたというわけだ。画像が多くてもスムーズに動き、写真が非常に見やすく、他の端末よりも写真を見る頻度が上がった気がする。初期設定時などにまとめて大量の写真を読み込ませるとサムネールの表示が間に合わないこともあるが、これは使っているうちに解消される。同様に、Walkmanアプリも楽曲を扱いやすく、楽曲の音質を最適化する「ClearAudio+」も設定が楽でいい。

ピンチイン、ピンチアウトでサムネールのサイズがスムーズに切り替わる
「ClearAudio+」搭載で、設定の手間をかけずにキレイなサウンドを楽しめる

 それ以上にこれらのアプリがおもしろいのは、ソニーの各種サービスが統合されていることだ。たとえば、アルバムアプリであれば、「オールシンク」で同期した「PlayMemories Onelin」の写真と端末内(やmicroSDカード内)にある画像をまとめて閲覧できる。Walkmanアプリには「Music Unlimited」が統合されていて、端末内に保存した楽曲と区別することなく再生できる。クラウドとローカルをつなぐことで、ソニーのコンテンツやサービスを、フルに楽しめるアプリになっているというわけだ。

アルバムアプリは、アップデートがかかって「オールシンク」に対応した
「Music Unlimited」とローカルの楽曲をシームレスに再生することが可能だ

 筆者の場合、アルバムを開くと過去に撮った写真までズラリと並んでいる。その数は数千枚で、学生時代にまでさかのぼれる。昔はそれほど写真を撮る習慣がなかった(そもそも、学生時代はデジカメがまだ一般的ではなかった)が、それなりの枚数になってしまった。こうした写真に、PCを開く必要なくアクセスできるのは本当に便利だ。また、Walkmanアプリ用に、Music Unlimitedで400曲近いラインナップのプレイリストを作ってみた。楽曲はローカルに保存しておけば、圏外や機内モード設定時にも再生できる。Music Unlimitedでは、何かちょっとでも気になったあったら、すぐに楽曲をプレイリストに保存している。そのため、再生しているとまったく知らない楽曲に出会うこともある。よく知っている楽曲の間にこうした楽曲が再生されるのは、想像していた以上に新鮮な体験だ。

プレイリストをダウンロードしておけば、通信不能な場所でも音楽を聞くことができ、通信量の節約にもつながる。残念ながらローカルの楽曲が混ざったプレイリストは作れない

 こうしたサービスは、アカウントを作り、アプリをインストールすればほかのAndroid端末でも利用できる。ただ、それらがローカルのデータときちんと統合され、ここまでスムーズに動くというのはXperia内蔵アプリだけのメリットと言えるだろう。サービス自体の間口は広くし、ユーザーとの接点であるアプリで差別化するというのは興味深いアプローチだ。今のところXperiaシリーズにとってはいい形で作用している気がするし、ここまでの“ユーザー体験”を総合的に作り込めているAndroid端末もほかにはあまりないように思える。スペックような数値には出ない機能だが、少なくとも、筆者がXperiaを選ぶ理由の1つにはなっている。

 一方で、ムービーアプリの使いどころがそこまでなかったり、「Xperia Play」発売時に鳴り物入りで始まった「PlayStation Mobile」には全然ゲームがなかったりと、まだまだな点もある。また、細かな点では、Walkmanアプリを開くとMusic Unlimitedへのログインが始まり、少しの間待たされてしまうのが少々気になる部分だ。PlayMemories Onlineも、Xperia Z1では特に問題なく動くが、Windows用アプリの挙動がイマイチ不安定なため、撮った写真をPCで見ようとすると残念な気持ちになることがある。

ソニーモバイル製のアプリだけをアップデートする機能が搭載されている

 Xperia Z1には、純正アプリを単体でアップデートする機能が搭載されているため、これからも改善は続けてほしい。実際、以前のWalkmanアプリは、アプリを開いてログインする前だと、Music Unlimitedの楽曲をウィジェットから再生できなかったが、こうしたバグがアップデートによって解消された。このようなアップデートのスケジュールがある程度前もって分かっていれば、その間は不満をがまんできるような気がする。告知の仕方のような運用面の改善も、今後はぜひ検討してほしい。

ドコモ版の場合は、優先アプリで「Xperia」を指定しておかなければならない

 ちなみに、ドコモ版の「SO-01F」の場合は、ホーム画面や使用するアプリが設定によって異なる。「個人設定」の「優先アプリ設定」で「Xperia」にしておかなければ、これらのアプリはあまり見かけないかもしれない。再三、このコーナーでも述べていることだが、ドコモのアプリはもう少し端末側のUIに寄り添ってもいいと思う。せっかくXperiaを使うなら、ぜひアルバムアプリやWalkmanアプリは体験してみてほしいというのが、筆者の率直な意見だ。