みんなのケータイ

ワイキキビーチからIP電話

 12月中旬の欧米はホリデーシーズン真っ盛り。筆者もそれに乗じて、たくさんの観光客でにぎわうクリスマス直前のハワイに行ってきた。ただし、プライベートでそんなリッチでゴージャスな過ごし方ができる余裕などあるはずもなく、これも仕事のうち。そんな中で半日ほど自由になる時間ができたので、暮れなずむワイキキビーチの美しさを言葉で伝えようと、真冬の日本で仕事に励む人たちに嫌がらせのごとくIP電話で連絡を取ってみた。

夕日が沈みゆくワイキキビーチ
泳ぐ時間はなかったけれど、膝下まで浸かることはできた

 試したIP電話はNTTコミュニケーションズの「050 plus」、フュージョンコミュニケーションズの「SMARTalk」、ケイ・オプティコムの「LaLa Call」の3種類。いずれも国内同士の通話で使ったことはあるが、海外から日本にかけるのは初めて。IP電話はデータ通信を用いるため、ホテルや街中にあるWi-Fiスポットを利用するのでない限り、ドコモの国際ローミングサービス「WORLD WING」によるデータ通信を利用することになる。

IP電話は海外からでも格安で通話できる。仕事で長電話する必要があってもそれほど料金を気にしなくて済むのはありがたい

 通常の電話回線経由で発信すると、米国内宛ては1分125円、日本宛ては1分140円。一方、IP電話の場合は回線使用料は不要になるものの、パケット通信は必要になるので、最近スタートした「海外1dayパケ」(ハワイは1日あたり1580円)か、従来からある「海外パケ・ホーダイ」(1日あたり2980円)のいずれかを合わせて利用しなければならない。なので、短時間だけ通話する用途にはIP電話の“通話料が安価”であるという点はあまりメリットにならないわけだ。でも、友人らにSNSで自慢することも考えてデータ通信できるようにしておき、ついでにIP電話を使うということであれば、通話料については費用を抑えられることは間違いない。

 というわけで、ハワイのローミング先であるAT&Tの3G(850MHz)環境下でIP電話を使って日本国内の固定電話にかけてみた。感覚としては、3種類とも音質は国内でかける時と変わらず、音声の遅延も気にならないレベルで、想像以上にスムーズに会話できた。IP電話使用時にまれに耳にする機械的なノイズも目立たなかったし、音が途切れることもほとんどなし。ただ、どうやら受け側となる日本の固定電話の方では時々音が途切れることがあるようだった。

 筆者自身は確認できなかったのだが、固定電話側の感想としては、最も通話品質が高かったのは「050 plus」。途切れる頻度が一番少なく、かなり安定して通話できたようだ。その次が「LaLa Call」、「SMARTalk」という順番で、途切れる回数やノイズのような音が入り込むことが若干多かった、とのこと。しかし、全体的な品質の差はごくわずかで、どのIP電話でも会話に支障が出るようなレベルではなく、相手の話を聞き返すようなことすら一度もなかった。

 今回、「海外でもIP電話は十分使える」ことが実感できたのだが、IP電話を使う際に1点注意しておきたいのは、端末の“モバイルネットワーク設定”内にある“ネットワークモード”の設定。これを“LTE/3G/GSM(自動)”にしていると2Gネットワーク(GSM)に接続してしまい、IP電話に必要な通信速度を確保できないことがある。3GやLTEを利用できる国であれば、“自動”ではなく“LTE/3G”を選択しておいた方が、確実に高速なネットワークをつかめるようになるはずだ。

電波アイコンの左側に「G」と表示されている時は2G接続されていることを表す
“自動”ではなく“LTE/3G”を選択すると、高速なネットワークに接続してくれる
ちなみにローミング中はデータ通信量抑制のためか「マイマガジン」を利用できなかった

 ちなみにLINEのビデオチャットも同時に試してみたところでは、さすがに動画はコマ送りだし、遅延も発生してコミュニケーションが取りにくい状態になってしまった。音声通話だけであれば他のIP電話と同じように少ない遅延でしっかりやりとりできるので、LINEと連絡を取り合える友人相手であれば通話料を一切支払うことなく日本国内と同じようにコミュニケーションできるだろう。とはいえ、ハワイのような南国の島にプライベートで来るなら、スマートフォンでわざわざ通話するようなことなんか考えず、電源を切って、砂浜で寝そべったり泳いだりして徹底的にのんびり過ごしたい、と思った。