みんなのケータイ

 今年1月、International CES 2014取材時に購入したiPad mini Retinaディスプレイ。帰国後、IIJmioのSIMカードを挿し、NTTドコモのLTEネットワークに接続したり、タイやシンガポール、ドイツなどに出向いたとき、現地のプリペイドSIMカードを購入し、SIMロックフリー環境の良さを十分に体験することができた。

 しかし、その一方で、6月からNTTドコモでもiPad Air/iPad mini Retinaディスプレイの取り扱いが始まったうえ、7月からはアップルのオンラインストアでもSIMロックフリー版の販売が開始され、個人輸入のような形で入手したiPad mini Retinaディスプレイも存在価値が少し下がってしまった印象だ。

 これに加え、以前、掲載した「SIMロックフリー版iPadの憂鬱」でも説明したように、NTTドコモの回線を利用するMVNO事業者のSIMカードではアップルから配信される「キャリア設定(キャリアプロファイル)のアップデート」を適用すると、テザリングが利用できなくなったり、場合によっては3Gでしか接続できなくなるなど、運用が難しい面も出てきた。

今年1月、米国でiPad mini Retinaディスプレイを購入したときに装着されていたAT&TのSIMカードを使い、もう一度、オンラインサインアップ

 とは言うものの、米国で購入したiPadには、元々、米国の通信事業者のSIMカードが装着されており、購入時はそのままオンラインサインアップで契約することが可能だ。今回、ニューヨークに出かけることがあったので、もう一度、同じSIMカードを使い、AT&Tにオンラインサインアップしてみた。なぜ、わざわざ「同じSIMカードで〜」と書いたかというと、米国に限らず、一般的に海外で購入したプリペイドSIMカードは契約に有効期限があり、期限が切れれば、使えなくなってしまうからだ。これまでも米国で購入したiPadで再サインアップができなかったというケースがインターネット上でも何度か報告されており、現状がどうなっているのかを確認したいという考えもあった。

 手順としては、当初、購入したときと同じで、AT&TのSIMカードを挿した状態で、iPadの設定画面を表示し、[アカウントを表示]をタップする。ちなみに、未契約の状態ではモバイルデータ通信が利用できないので、Wi-Fiでの接続が必要になる。今回は別途、PC用に利用していたモバイルWi-Fiルーター経由で接続したが、滞在先のホテルのWi-Fi、渡航先のアップルストアのWi-Fiなどを利用しても構わない。ただし、Wi-Fiの暗号化など、セキュリティ面は十分に注意が必要だ。

 名前やメールアドレス、パスワードなどを入力した後、クレジットカード番号の入力になるが、今回はBilling Infoの欄にホテルの住所を入力したところ、そのまま登録することができた。クレジットカードによっては、日本の住所が必要なケースもあるようだが、その場合はZipコードと州名は滞在地のものを入力すると、通りやすい。

 料金プランも従来同様だが、旅行などの場合、一週間程度の滞在になるため、250MBのプランはどちらも使いにくく、今回も結局、1GBで3カ月間、25ドルのプランを選んだ。日本のユーザーがAT&Tに要望するのもヘンな話だが、バイト単価が少し割高でも1週間、1GB、20ドルくらいのプランがあると、使いやすいかもしれない。

AT&TのSIMカードを挿した状態で、設定画面を表示し、[アカウントを表示]をタップ
名前や電話番号、メールアドレス、パスワードを入力。電話番号は米国のものが必要。筆者は携帯電話の番号を入力したが、ホテルの電話番号などでも大丈夫なはず
料金プランは1月に契約したときと同じ。旅行者は一週間程度の滞在になるので、やはり、1GBくらいのプランを選ぶのがベター
入力したクレジットカードの情報などの確認画面。今回は日本で発行されたMasterCardで登録することができた

 契約が完了すると、登録したメールアドレスにメールが届き、すぐにiPad mini Retinaディスプレイを使いはじめられる……と言いたいところなんだけど、恥ずかしながら、今回はちょっとつまずいてしまった。設定画面のアカウント表示ではきちんと契約が完了していることになっているが、ホーム画面に戻ると、画面左上のピクト表示が消えてしまい、モバイルデータ通信ができないのだ。最初はちょっと焦ったが、冷静になってみれば、何のことはない。IIJmioの「iOS APN構成プロファイル」がインストールされたままで、これを削除することで、AT&Tのネットワークに接続できるようになった。

IIJmioのプロファイルを消すのを忘れていて、最初は接続に失敗したが、プロファイルを削除して、無事に接続完了

 こうしたAPN関連の設定は、Androidプラットフォームが複数のAPN(接続先)を登録しておき、切り替えながら利用できるのに対し、先般の「キャリア設定(キャリアプロファイル)のアップデート」のトラブルからもわかるように、iOSはあまり自由度が高くない。キャリアプロファイルの件もアップルとNTTドコモに経緯や対応状況を確認したところ、いずれも「ノーコメント」とのことで、ユーザーにも十分に情報が提供されていない印象は否めない。

 ただ、米国でプリペイドSIMカードを挿して利用するという環境を考えると、基本的に各国共通モデルとして販売されている現行のiPad Air/mini Retinaディスプレイ、iPhone 5s/5cは、国内で正規に販売されている他のSIMロックフリー端末よりも扱いやすいと言えそうだ。というのも米国で比較的、プリペイドSIMカードを入手しやすいAT&TやT-Mobileは、1.7GHzと2.1GHzを上り下りで組み合わせて利用するBand4(AWS)でLTEサービスを提供しはじめており、国内で販売されている多くのSIMロックフリー端末はこのバンドをサポートしていないからだ。Google Playおよびワイモバイル(旧イー・モバイル)で販売されているNexus 5が日本版と北米版で対応する周波数が異なっているのもこうした事情を反映してのことだ。このあたりの話は石野氏の「北米で活躍したSIMフリー版iPhone 5s」を読んでもらうとわかりやすい。

 冒頭で説明したように、国内におけるiPad Air/mini Retinaディスプレイの販売環境が変わってきたため、海外でこれらの製品を購入するシチュエーションは少ないかもしれないが、逆に、基本的には各国共通モデルで販売されているiPad Air/mini Retinaディスプレイの特長を考えれば、国内の各携帯電話事業者から購入したモデルも渡航先でプリペイドSIMカードを購入すれば、利用しやすいうえ、米国についてはAT&TのショップなどでSIMカードを入手できれば、自力でオンラインサインアップすることもできるわけだ。この夏、米国に旅行するiPad Air/mini RetinaディスプレイのWi-Fi+Cellularモデルユーザーは、一度、現地でのオンラインサインアップにチャレンジしてみると、面白いかもしれない。