みんなのケータイ

 最近、海外で日本利用可能なSIMカードが少しずつ増えている。もちろん海外で通信事業者と契約していれば日本でも1日単位の定額ローミングが可能だ。だが利用頻度の少ない場合は割高なのがちょっと難点なところ。これに対して最近見かけるようになってきたのは、プリペイドで一定のデータ量が含まれているタイプのもの。使い過ぎの心配も無いので安心して日本で利用できる。

成田についてLumiaに香港のSIMカードを装着。すぐにデータ通信できる

 筆者が香港で入手したのは香港のMVNO事業者であるチャイナユニコム香港の日本専用プリペイドSIMカード。299香港ドル、約4000円で1週間5GB利用できる。通常の旅行での利用ならばこれだけの容量があればまずは事足りるだろう。日本ではソフトバンクの回線を利用、もちろん香港の事業者のSIMカードなので日本ではローミング扱いとなる。すなわち筆者のように海外で普段使っているスマートフォンにそのままこのSIMカードを入れ、日本でのローミング利用ができる。

 使い方は簡単で、日本到着後にSIMをスマートフォンに入れてAPNを設定(3gnet)、あとはソフトバンクの電波を掴めば即座にデータ通信が可能になる。なお香港のSIMカードなのでデータローミングをONにしなくてはならない。ただし回線は3Gのみで、LTEには入れない。通信速度は実質1Mbps前後に留まってしまうものの、ユーザー登録も不要で即座に使える点は非常に便利だ。

 さて実は香港ではこの他にも台湾や韓国、ヨーロッパそしてもちろん陸続きの隣国の中国など、各国向けのプリペイドSIMが売られている。音声通話がローミング利用できるプリペイドSIMカードはそれこそ10年以上も前から売っているが、スマートフォン時代に適したデータパッケージのプリペイドSIMカードも増えているのである。

香港では各国用のデータプリペイドSIMカードの種類が増えている

 このようなSIMが売られているのは、香港の携帯電話市場が完全にSIMフリーだからだ。香港では事業者の店で2年契約でiPhoneを実質無料で買ってもSIMロックはかかっていないし、量販店ではSIMフリースマートフォンを自由に購入できる。そのため、SIMフリー端末用に海外用のプリペイドSIMカードというものが商品として成り立つのである。

 もちろん自分の携帯電話番号を海外でもそのまま使いたい人はローミング利用するケースもあるが、重要なのは「どちらが便利」ではなく「自分のSIMでのローミング」、「海外用SIMカードで安価に利用」という選択肢が香港の消費者に与えられていることだ。旅行慣れしている香港人なら、自分のSIMを入れた端末と、海外現地用の端末、のように2台持ちする場合も珍しくない。その2台目は中古スマートフォンや使い古しを使うなどして費用を抑えている人もいる。

 日本でも来年には販売される端末のSIMフリー化が義務付けられるようになる。そうなれば香港のように海外用プリペイドSIMが売られる日が来るかもしれない。また海外旅行用に中古スマートフォンをもう1台持っていく、なんて人が増えれば中古市場もより活性化するかもしれない。SIMフリー化は日本の旅行者のスマートフォンの使い方に変化をもたらすものになるだろう。