みんなのケータイ

 AppleからiPadの新モデル「iPad Air 2」と「iPad mini 3」が発表され、そろそろ発売のタイミング。今回は主要3事業者から同時に発売される一方、iPhone 6/6 Plus同様、初日からSIMロックフリー版がAppleStoreやAppleのオンラインショップで販売される。タブレットが着実に支持を拡げ、MVNO各社が格安SIMカードのサービスを拡充している状況で、どんな感じの売れ行きになるのかが注目される。

 新モデルは新モデルで気になるわけだけど、すでにいずれかのiPadを持っているユーザー、なかでもSIMロックフリー版を持っているユーザーにとっては、iOS8にアップデートして、ちゃんと継続的に使えるかどうかが気になるところ。そのあたりの話は、前回、「SIMロックフリー版iPad mini Retinaディスプレイモデルに予期せぬ朗報」で解説したとおり。その後、iPad mini Retinaディスプレイモデル AT&T版(今回の新モデル発表に伴い、「iPad mini 2」に改名)をiOS 8.1にアップデートしたが、今のところ、何の問題もなく、利用できている。

 ただ、筆者の手元には、前回の記事の発端となった「SIMロックフリー版iPadの憂鬱」で取り上げたiPad Retinaディスプレイモデル Verizon版(iPad 4)がある。このモデルもSIMロックフリーなのだが、前回の記事を執筆した時点では、iOS 8にアップデートすると、APN構成プロファイルをインストールしてもLTEネットワークをつかまないという情報があり、当面はiOS 7.1.2のまま、キャリアプロファイルもアップデートせずに使うしかないと考えていた。

 ところが、iPhone 6/6 Plusの発売騒動が落ち着き、おなじみの「てくろぐ」(IIJのエンジニアの方によるブログ)をチェックしていたら、iPad Retinaディスプレイモデル Verizon版もSMS対応のSIMカードを挿すことで、NTTドコモのLTEネットワークをつかむという情報が掲載されていた。

 現在、IIJmioなど、NTTドコモの設備を利用したMVNO各社の格安SIMカードには、音声通話対応、データ通信専用、SMS対応データ通信用がラインアップされている。過去にもiPadやiPhoneでSMS対応のSIMカードじゃないと、アンテナピクトが正しく表示されないといったことが起きていたが、今回もそれと似た状況のようだ。

 ただ、残念ながら、筆者の手元にはIIJmioのSMS対応のSIMカードがなく、音声通話用SIMカードもnanoSIMカードだったため、microSIMカードを採用するiPad Retinaディスプレイモデル Verizon版には挿すことができない。結局、別件で契約してあったBIGLOBEの「LTE・3GデータSIM」で、SMSオプションを付けたSIMカードを持っていたので、それで試してみることにした。

 まずはiTunesにiPadを接続し、バックアップ。続いて、SIMカードをBIGLOBEのSMS対応のものに交換し、Wi-Fiに接続した状態で、BIGLOBEが会員サポートのWebページで配布しているiPhone向けの「BIGLOBE APN 設定プロファイル」(APN構成ファイルの)をダウンロードして、インストール。本来はiPhone用のものだけど、APNの設定情報はiPhoneでもiPadでも変わらないので、大丈夫のはず。

 ちなみに、BIGLOBEでは「「BIGLOBE LTE・3G」動作確認端末一覧/設定方法」というWebページを公開しているんだけど、iPadは「iPad mini with Retina display(モデルA1490)」のみ。ボクが使っているような並行輸入版のiPadの情報は不要だとしても国内ではSIMロックフリー版のiPad Airも正式に販売されているんだし、気にしているユーザーも多いんだから、ちゃんと情報を掲載して欲しいところ。すべてを網羅する必要はないけど、情報を提供する勘どころみたいなのが間違ってる気がします。>BIGLOBEさん

 iPadでSMS対応SIMカードの動作が確認できたら、続いて、iOSをiOS 8にアップデート……と言いつつ、このアップデート画面の[インストール]をタップするのには、ちょっと躊躇(笑)。もし、情報が間違っていたり、環境によって、違いがあったりしたら、せっかくLTEで接続できているiOS 7.1.2の環境を失ってしまい、3Gでしか通信ができなくなってしまうかもしれないのだ。

 とまあ、グダグダ考えていてもしかたないので、「えいっ!」とばかりにインストール開始。iOS 8.0.2からiOS 8.1にアップデートしたiPhone 6 Plusなどと違い、インストール完了までは10分近くかかった気がするけど、程なく、無事にiPadに「こんにちは」の画面が表示され、インストール完了。こういうときのドキドキ感が何とも……(笑)。

まずはSMS対応SIMカードを挿し、「BIGLOBE LTE・3G」のプロファイル(APN構成プロファイル)をダウンロードして、インストール
続いて、iOS 8.1をインストール。これまでアップデートしなかったので、iOS 7.1.2から一気にジャンプアップ
iOS 8へのアップデートが完了すると、初期設定画面が表示される。よく見たら、左上のアンテナピクトの隣に「docomo」「LTE」の文字が表示されている

 初期設定をひと通り完了し、iPad Retinaディスプレイモデル Verizon版の画面左上を見ると、アンテナピクトの隣にはすでに「docomo」と「LTE」の文字が表示され、無事にLTEネットワークへの接続が完了。ブラウザを起動して、インターネット接続も無事に確認できました。ちなみに、再起動後は「docomo」と「3G」の文字が表示され、表示が「3G」から「LTE」に切り替わるには、ちょっと時間がかかることがあるけど、iPadの設定画面の[モバイルデータ通信]-[LTE回線を使用]を一度、オフにしてからオンに切り替えると、接続されることもあるようだ。環境によっては数分以上、かかることもあるようなので、とにかく、焦らずに待つしかない(笑)。

ちゃんと画面左上のアンテナピクトの隣も「LTE」が表示される。この状態になるのに10分近くかかることもあるという
アンテナピクトの隣「3G」の状態。APN構成プロファイルがインストール済みなら、切り替わるのをじっくり待つしかない。もちろん、LTEの圏内じゃないと、切り替わらないけど

 ということで、冷や冷やしながらもSMS対応のSIMカードを使うことで、無事にiPad Retinaディスプレイ Verizon版をiOS 8にアップデートしつつ、NTTドコモのLTEネットワークに接続することができた。もし、同様の環境で躊躇している人は、SMS対応のSIMカードを試してみると、いいかもしれません。もちろん、「At Your Own Risk」ですけど(笑)。ちなみに、ボクは今回の件を機に、手元にあるMVNO各社のSIMカードを順次、SMS対応のものに切り替えていくことにしました。今回はiOSの話題だったけど、いろんな情報をチェックしていると、iOS以外のプラットフォームでも音声対応やSMS対応のSIMカードの方がうまく動作することが多いようなのです。なかなかSIMロックフリーは一筋縄で行きませんな。

 思い返してみれば、最初にiPad Retinaディスプレイモデル Verizon版を購入して、オンラインサインアップでVerizonと契約する話題を取り上げたのが2013年2月。仕事柄なのか、飽きっぽいのか、わりとすぐに端末を手放してしまうボクにしては珍しく、1年半近く、アップデートしながら、使い続けている。もちろん、iPadの完成度の高さによるところも大きいけど、同じようにちょっと苦労しながら、冷や冷やしながら使っている人がそれなり多く、そういう人たちからの情報だったり、おなじみの「てくろぐ」に掲載される情報などが役立っているのが大きい。そんなドタバタも楽しいと思えてしまうところがSIMロックフリー環境の醍醐味なのかもしれません。