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「Syn.」のホームページ

 10月16日にスタートした、スマートフォン向けのさまざまなサービスを横断的に利用できるようにするプラットフォーム「Syn.」。現在(2014年10月22日時点)は11社の計12サービスが参画し、それぞれのWebやアプリ上で各サービスのリンクを共通サイドメニューにまとめ、アクセスしやすくしている。将来的には各サービス間での機能連携も強めるとされているものだ。

 KDDIが主導するプロジェクトだが、au端末だけに対応している、というわけではない。キャリアの違いを問わず利用できるとしていて、筆者のドコモ端末ARROWS NX F-05Fでも利用可能だ。実際のところSyn.はどんな風に使えるのか、各サービス・アプリでの対応状況を見てみることにした。

 手始めにSyn.に参画しているサービスの1つ、「ウェザーニュース」のWebサイトにアクセスしてみた。画面左下にメニューボタンが表れ、タップすると画面左側にサイドメニューが出現。サイドメニューの最上部には大きな広告バナーが、その下にサービス独自の機能メニューが、続いて“おすすめサービス”として各社サービスのリンクが並ぶ。

ウェザーニュースでは左下のボタンからサイドメニューを表示
ウェザーニュースのサイドメニューはメインコンテンツの長さに合わせてスクロールしてしまう

 サイドメニュー上のこういった大まかなレイアウトは、全サービスで共通。サービスの表示順序も変わらない。サイドメニューの大きな違いを挙げるとすれば、全体のカラーリングが各サービスのテイストに合わせたものになっている、といったあたりだ。

 ただ、サイドメニューを出現させるボタンの位置、出現する方向はサービスによって異なる。細かく見ていくと、サイドメニューの幅、メニュー項目の大きさ、スクロール範囲などにも違いがあったりする。共通メニューではあるけれど、実際の表示のさせ方はある程度各サービスに裁量があるようだ。

 全12サービスのうちいくつかは、Webサービスではなくアプリだ。たとえばスケジューラーの「ジョルテ」、なんでもランキング化する「Qrank」、ファッションコーディネートの「iQON」は、アプリをダウンロードしていない状況でメニューを選ぶとGoogle Play Storeのダウンロードページにジャンプする。アプリ上では、他のWebサービスと同じようにアプリ内の1機能として共通サイドメニューを表示する仕様となっている。

報道ヘッドラインも同じく左下のボタンから
NAVITIMEは右上のボタンから
LUXAは右下のボタンから
iQONは左上
はてなブックマークは左上で、メニュー幅がかなり広い
アプリの場合はGoogle Play Storeのダウンロードページにジャンプ
ジョルテはアプリ画面の左下からサイドメニュー表示
iPhone(Chrome)でジョルテなどのリンクを選ぶと真っ白のWebページに遷移してしまう(※この事象は現時点では解消されています)
nanapiは個別の記事ページの左上からサイドメニューを表示できるが……

 気になったのは、これら3つのアプリが全てAndroidのみ対応であり、iPhone上でサイドメニューからアクセスしようとすると正しくリダイレクトされず、真っ白のWebページしか表示されないこと(※2014年10月22日の時点では、Chrome利用時にこのような状態になっていましたが、10月末までにこの事象は解消されています)。キャリアを問わず対応してはいるけれど、OSの違いについては考慮されておらず、ユーザーの混乱を招きそうな状態だ。実質的にAndroid端末専用の機能であると言っても良いだろう。

 また、Webサービスでも「nanapi」だけはトップページでサイドメニューを表示する手段が今のところない(2014年10月22日時点)。スタートしたばかりだし、サイドメニューの表示方法には裁量があるように見えるとはいえ、全てのサービスで公平にユーザーを誘導できている状況ではまだないようだ。

 ユーザーにさまざまなスマートフォン向けサービスを利用する機会を与え、サービスの組み合わせでシナジーを生み出す、というコンセプトは面白いし、ぜひうまくいって市場が盛り上がってほしいとは思う。でも、まだ12サービスしかない時点ですでにサイドメニューの統一が各サービス間で完全に守られていないうえに、時代とともに変化するUIトレンドや、サービスごとに異なるであろう適切なUIに、共通メニューという形で将来に渡って対応させられるのか、ちょっぴり不安が残るなあ、と思った。

トップページにはそれらしきボタンがない
しかもウェザーニュースと同様にメインコンテンツの高さに合わせたメニューになっていて長々とスクロールする