みんなのケータイ

 前回の記事が掲載された10月23日から順次、販売が開始されたiPad Air 2とiPad mini 3。これまでもこのコーナーで取り上げてきたように、個人的にはiPad Retinaディスプレイ(iPad 4)Verizon版、iPad mini Retinaディスプレイ(iPad mini 2)AT&T版、iPad Air Wi-Fi版(国内モデル)を持っている。「おまえ、何台iPad持ってんだよ!」と突っ込まれそうだけど、個人的に利用するだけでなく、書籍の執筆にも使うので、新しいモデルは必ず購入している。今回の新しいiPadの2モデルも何らかの形で調達しないといけない。

 まず、iPad Air 2は国内向けの販売が開始された直後、オンラインのApple StoreでSIMロックフリー版を注文。普段、仕事のときはパソコンを持ち歩いているので、iPad Air 2をいっしょに持ち歩くことはほとんどないという判断もあり、容量は中間の64GBをチョイス。注文したiPad Air 2は10月23日に到着し、仕事が落ち着いた数日後にセットアップをはじめた。

 新しいiPadとして設定するか、他のiPadのバックアップを書き戻すかを悩んだけど、世代がもっとも近いiPad Airのバックアップを書き戻すことにした。移行作業としてはiPad Air 2の初期設定をはじめ、途中でiTunesがインストールされたMac miniに接続して、書き戻すという流れになるんだけど、これがなぜか失敗の連続。

 先日、スタパ氏が本誌のスタパブログで、「最新型iPad両機……復元失敗しまくり」というエントリーを書いていたけど、まさにこれと同じ症状。iTunesで復元中にエラーで停止したり、復元後にネットワークの設定を変更したら、ハングアップしてしまうなど、どうも動作がおかしい。他の環境での復元やDFUモードなども試したけど、問題は解決できなかったため、最終的にはバックアップの復元を諦め、新しいiPadとして初期設定をすることにした。手間はかかったけど、初期設定の完了後、従来のiPad Airと同じアプリをインストールして、何とか「手動で復元」することができた。どうも今回のiPad Air 2はiTunesのバックアップからの復元にトラブルが多いようだ。

 一方、iPad mini 3をどうするか。今回のiPad mini 3は従来のiPad mini 2と比較して、違いがあるのはTouch IDくらいだけど、仕事的には1台あった方がベターなので、国内向けモデルを買うことにした。悩みどころはキャリア版するか、SIMフリー版にするかという問題。

結局、iPad Air 2もiPad mini 3も何となくゴールドを選んでしまった。iPhoneはともかく、iPadではちょっと目立ちすぎかも
共に、指紋認証センサー「Touch ID」を搭載。上段のiPad mini 3はガラスタイプの保護シートを貼ったが、下段のiPad Air 2はまだそのまま

 SIMフリー版のメリットは、やはり、MVNO各社のSIMカードが使えること。MVNO各社のSIMカードをiPadで使うリスクも前回の「SIMフリー版iPadにはSMS対応SIMカード?」で説明したように、とりあえず、SMS対応SIMカードを選んでおけば、大きな問題になさそうだ。ただ、Wi-Fi+Cellular版の価格は128GBモデルが8万9800円(税別)と、なかなかお高い。月々の通信料はMVNO各社のプラン次第だけど、今までiPad mini 2で利用してきたIIJmioの「IIJmio高速モバイル/Dサービス」のSMS機能付きデータ通信SIMであれば、2GBで月額1040円と安い。

 一方、キャリア版は2年間の継続契約による「月々サポート」などの月額割引サービスに加え、各社スマートフォンとのセット割引が利用できるのがメリット。キャリア間の差は、iPhoneなどと同じように、ネットワーク対応がポイントだけど、iPad Air 2が新たにWiMAX 2+やAXGP(SoftBank 4G)対応の違いがあるのに対し、iPad mini 3はiPad AirやiPad mini 2同じなので、WiMAX 2+やAXGP(SoftBank 4G)には非対応。つまり、各社の3GとFDD-LTEのネットワークのエリアを気にするだけ。ちなみに、キャリア版はSIMロックがかかっているけど、iPhoneと違い、基本的には国内の他キャリアに対するSIMロックなので、海外渡航時に現地のSIMカードを購入して利用することは可能なはず。

 スマートフォンとのセット割引については、各社ともWebページに情報を掲載しているんだけど、正直なところ、この仕事をしているボクでもイヤになるくらい、わかりにくい。NTTドコモの「『カケホーダイ&パケあえる』かんたんシミュレーション」が辛うじて及第点というのが本音。各社ともキャンペーンや割引を声高に叫ぶのはいいけど、もう少し、このあたりの見せ方を考えないと、2台目需要は掘り起こせないと思いますよ。

 これらの要素を検討した結果、最終的に今回はNTTドコモでiPad mini 3を機種変更で購入することにした。本体の値段は128GBモデルで8万1000円(税別)なので、SIMフリー版よりも少しお安いけど、NTTドコモの月々サポート割引で、2375円×24回(5万7000円)の割引が受けられる。そのため、実質負担額は2万4000円となり、SIMフリー版との差額は約6万5000円という計算。

iPad mini 3にNTTドコモがiPad向けに提供するアプリをひと通りインストールすると、こんな感じ。実際は必要なものを入れるだけでいいけど……

 月々の料金はすでに利用中のiPhone 6 Plusの2台目プラスとして組み合わせたため、基本プランがデータプランで1700円、プロバイダー料金がspモードで300円、パケットパックがシェアオプションで500円となり、合計2500円で済む。利用できるデータ通信量はiPhone 6 Plusで選んでいる「データSパック(2GB/月額3500円)」とのシェア(共用)なので、利用できるのは2GBまでだけど、NTTドコモの「iPadボーナスパケットキャンペーン」「iPhoneボーナスパケットキャンペーン」のおかげで、最大13カ月はiPadとiPhoneで1GBずつが追加されるため、実質的にはシェアできるデータ通信量の上限は4GBになる計算。月額料金で比較すると、NTTドコモ版の方が1460円、高いんだけど、2年間の差額は3万5040円なので、本体のSIMフリー版との差額を埋められるほどではない。

 今回の新しいiPadは、MVNOの格安SIMが増え、AppleがSIMフリー版を最初から売り出したこともあって、SIMフリー版が注目を集めているけど、国内でいろんなキャリアのSIMカードを差し替えたりしない限り、価格面ではキャリア版の方が負担が少なく、2台目プラスのような契約が利用できるときは、意外に買いやすいという印象だ。なかなか一概に比較できない面もあるけど、新しいiPadが気になっている人は、ちょっとキャリア版にも目を向けてみると、いいかもしれません。