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米ラスベガスで開催されたCES。現地でのメイン端末にしたのが、SIMフリーのiPhone 6

 まず、タイトルでビックリした方へ。ごめんなさい。これは日本での話ではなく、北米での話だ。1月6日から開催された、CESを取材するため、今年も年始から米ラスベガスに出張してきた。米国用の回線として、ずっと使い続けてきたのがT-Mobile。今もその回線が生きているため、CES会期中はSIMフリーのiPhone 6に挿して使うことにした。

 ちなみに、昨年のCESでも同じT-MobileのSIMを、iPhone 5sで使っている。キャリアの運用する周波数が大きく異なる日本とアメリカだが、iPhoneは1台でどちらもカバーしているのが便利。SIMカードを挿すだけで、設定不要で通信できるようになるのもうれしい。この辺は、少ないモデル数で世界各国に展開しているiPhoneの強みと言えるだろう。

T-MobileのSIMカードを挿すと、VoLTEをオンにするための項目が現れる

 iPhone 5sからiPhone 6に替えて、T-Mobileのネットワークで利用できるサービスも変化した。冒頭に挙げたVoLTEへの対応も、その1つ。T-MobileのSIMカードをiPhone 6に挿すと、日本のSIMカードでは表示されない設定メニューが現れる。LTEに接続するかどうかを決定する項目で、選択肢は3つ。「オフ」「音声通話およびデータ」「データ通信」だ。この中の「音声通話およびデータ」を選ぶと、VoLTEが利用可能になる。

 試しに、同じくT-Mobileを利用しているプレス仲間に電話してみたが、やはりVoLTEらしく音声は非常にクリアだった。発信が非常に速く、通話中もずっとLTE接続が維持されたままというのも、日本で体験しているVoLTEと同じだ。残念ながら、auの「シンクコール」のような独自サービスはないが、音声がクリアなだけでも十分価値がある気がする。特に、英語での会話になると、母国語ではないだけにクリアな方が断然聞き取りやすくなる。

 残念なのは、VoLTE同士でないと、高音質の効果が出ない点。固定電話でOKなら、レストランや現地ツアー会社への連絡の際などにも、役に立つはずだ。日本と同様、米国でもVoLTEの相互接続はまだこれからの段階で、今後に期待したいところと言える。

 iPhone 6とT-Mobileの組み合わせで、もう1つ、ネットワーク的におもしろいと感じたのが、「Wi-Fi Calling」への対応だ。こちらは、端末に依存しているわけではなく、「iOS 8」のiPhone 5s、5cでも利用できる。日本ではなじみがないが、これはWi-Fiのネットワーク経由で音声通話やSMSの送受信を行える機能のこと。IP電話サービスと似ていると言えば似ているが、SIMカードに紐づいた電話番号をそのまま使えるのが大きな違いだ。

 米国滞在中は、LTEの方が速度が高く安定もしていたため、あまりメリットを感じなかったが、電波が弱く、かつWi-Fiがあるような場所では便利だ。また、この機能はどちらかというと日本で役に立つ。T-MobileのSIMカードを挿したままなら日本のWi-Fiにつないでも利用でき、しかも米国の番号で発信可能だ。どうしても米国に電話しなければならないようなときでも、国内通話の料金が適用される。T-Mobileならほとんどのプランで、通話料は無料だ。そこまで米国に電話するようなこともないが、もしもの時に役に立つので、使えるようにしておいて損はない。

ちなみに、宿泊したモーテルでの速度は下りで5Mbps前後。これでもWi-Fiよりは速く、原稿や写真を送るのに役立った
T-MobileとiPhone 6の組み合わせだと、「Wi-Fi Calling」も設定に現れる。日本にいても、米国の電話番号で発着信できるのが魅力

 このように、iPhone 6は挿すSIMカードによって、使える機能が変化することがある。特に米国はアップルにとってのホームであり、キャリアとの連携は日本以上に進んでいる印象だ。一方で、日本ではVoLTEへの対応がまだできていない。各社とも今後の可能性に含みを残している状況だが、各社ともVoLTEのサービスを開始する中で、数の多いiPhoneが非対応なのは普及の足かせにもなる。対応するかどうかの予定をアナウンスすることだけでも、早くしてほしいものだ。