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虹彩認証対応の「ARROWS NX F-04G」

 ドコモの夏モデルとして5月28日に発売された「ARROWS NX F-04G」は、指紋に続く次世代の生体認証技術として、世界で初めて虹彩認証機能「Iris Passport」を搭載した。虹彩認証は、指紋と同じように一人ひとり異なるとされる瞳の中の模様を認識して、端末のロック解除時などに使える機能だが、虹彩認証搭載スマートフォンの試作品が発表されたのが3月で、それからたったの3カ月弱。まさかこんなに早く製品として登場するとは……。

 というわけでこの虹彩認証、実際にどんな風に使えるのか、従来の指紋認証と比較してどう違うのか、筆者のような“ちっちゃい目”でも問題ないのか、気になるところをチェックしてみた。

端末のロック解除以外にも使える!
これが赤外線カメラのレンズ

 F-04Gの虹彩認証機能は、端末の上部にインカメラのように内蔵された専用の赤外線カメラと、赤外線LED照明の組み合わせによって実現されている。アニメーションによる手順説明に沿って、自分の虹彩を映して認識させることで、端末のロック解除時や、従来からある「パスワードマネージャー」と連携したパスワード自動入力、アプリの起動をパスワードロックできる「アプリケーションロック」の解除、さらにはdocomo IDによるログインが必要な場面で虹彩認証を利用可能だ。

お姉さんが虹彩認証の手順を教えてくれる
「パスワードマネージャー」は進化してID・パスワードの自動入力が可能に
「アプリケーションロック」でアプリ起動に施したロックを虹彩認証で解除できる
docomo IDを使ったサービスのログインにも虹彩認証が使える

 前モデルのF-02Gまでに搭載されていた指紋認証は端末のロック解除にしか使えなかったけれど、F-04Fの虹彩認証ではこのように応用範囲が広がって、端末自体のセキュリティ保護に加え、ネットワークサービスの利用時もより安全を保ちながら使えるようになったわけだ。

お風呂スマホがはかどる! カバーも選ばない!
水に濡れた状態だと指紋を正しく読み取れない

 虹彩認証の利点は、“映すだけで使える”というところ。従来の指紋認証だと、物理的に指を接触させて使うセンサーを用いていたので、指とセンサーの間に何か遮るようなもの、水や汚れがあるとうまく認識してくれなかった。せっかくのお風呂対応スマホだったF-02Gだが、濡れた指では指紋認証がうまく動作してくれず、筆者の場合、予備の認証機能として設定していたパターン認証を使ってロックを解除していた。

 虹彩認証なら、赤外線カメラ部が曇ったり、水滴が付いたりしない限り、お風呂場でも問題なく認証してくれる。もしくは料理中にレシピを見ようとして、油でぎっとぎとになったニンニク臭のむせかえるような指をスマートフォンにすりつけることもない。ディスプレイをワンタッチするだけでスリープから復帰する「タッチでON」機能も組み合わせれば、端末をほとんど汚すことなくロックを解除して料理の手順を確認できる。

「タッチでON」を使う時は反応する範囲を少し小さめに設定しておくのがコツ。画面全体に設定すると端末を置く時などにもうっかり画面に触れて反応し、画面が点灯してしまう
こういうカバーをしていると、指紋認証が難しい

 もう1つ、指紋認証と比べた際の虹彩認証の利点は、カバーを選ばないこと。F-02G以前のスマートフォンにカバーなどを装着した時、指紋認証を使いにくくなった経験はないだろうか。もちろん個別の機種ごとに最適な形状で作られているカバーなら、指紋センサー部分は隠されることはないのだけれど、多少厚みのあるカバーになってくると、うまくセンサーに指の腹を押しつけられず実用できない場合もある。ところが虹彩認証ならこんなトラブルも発生しない。

無理に目を見開く必要はなし!
なんとなく姿勢を正して使い始めたくなる

 ここまでメリットばかりを挙げてきたけれど、虹彩認証を使う際にちょっとだけ気を付けておきたいのは、認証時の姿勢。指紋認証だと、どんな姿勢でも指でセンサーをサッとなぞるだけで端末のロックを解除できる手軽さがあったのだけれど、虹彩認証は赤外線カメラをしっかり自分の目に向けないとならない。ただ、これはメリットでもある。なぜなら、認証時の姿勢が端末を使う際の姿勢と全く一緒だから。認証から端末利用までの流れが違和感なく、スムーズに感じられる、気がする。

 さて、そうはいっても虹彩認証の処理に時間がかかってしまうようだと、スムーズに使い始めることはできない。開いてるんだか開いてないんだかよく分からない筆者のような小さい目の持ち主だと、ここぞとばかりにカッと目を見開かないと認識してくれないのではないか……。

 と思ったのだが、結論から言えば、大丈夫だった。最初の虹彩登録時はまぶたに虹彩が隠れないよう、全体がしっかり認識される状態にした方が順調に処理が完了するけれど、認証時はある程度眠たい感じの目でもサクッと認識してくれる。端末のロック解除時などに虹彩認証の処理を行うたび、虹彩データを補完登録するような仕組みになっているおかげかもしれない。最初はやや認識しにくいことがあっても、使い続けるうちにどんどん虹彩認証の精度が高まり、認証時のサクサクさが増していく。

カッと見開くしかないのか……?
実際のところは、こんなふてくされた感じの目&メガネ装着状態でもちゃんとロック解除できる
前モデルからわずかにコンパクトになったF-04G

 前モデルのF-02Gと比べ、ディスプレイサイズは同じながら、わずかに薄く、細くなり、ハイパーダイヤモンドタフコートで外装の耐久性がアップするなど、筐体自体の品質がアップし、クアッドコアCPUで性能も向上したF-04G。まだまだたくさん紹介したいところはあるのだけれど、もしF-04Gを手に入れたなら、何よりもまず虹彩認証を使ってみてほしい。筆者のミニマムおめめでもしっかり認識してくれたF-04Gの良さをますます実感してくれるはずだ。