みんなのケータイ

 8月は「Samsung Galaxy Unpacked 2015」の取材で米国・ニューヨークへ、8月末からは「IFA 2015」の取材でドイツ・ベルリンに出かけた。今年はWindows 10のリリースなどがあったため、夏休みをまったく取れなかったけど、こういう海外取材はちょっとした気分転換にもなる。

 海外取材に出かけるとき、ちょっと大変なのが飛行機の移動。欧米どちらに飛んでも10時間前後のフライトになる。ボクはいつも機内エンターテインメントシステムで新作映画を見て、あとはiPad mini 3やiPhoneなどに保存されている音楽をイヤホンで聴きながら、アイマスクをして寝るというのが定番。

 そんな飛行機での過ごし方で、最近、増えてきたのが飛行中にインターネットを使える「機内Wi-Fiサービス」。たまにFacebookやTwitterを見ていると、「今、太平洋上空!」なんていう投稿を見かけることもある。今回のニューヨークとベルリンの往復では、いずれもANAの機内Wi-Fiサービスが提供されていて、短時間ながらも体験することができた。

 まず、ニューヨーク便は「ANA Wi-Fi Service」が利用できた。このサービスはJSAT MOBILE CommunicationsとOnAirが提供するサービスで、ボーイング777-300ERおよびボーイング767-300ER(202席仕様)で運航する一部の便に搭載されているそうだ。

ANA Wi-Fi Serviceでは「OnAir」というSSIDに接続。パスワードはない。このときはAQUOS ZETA SH-03Gで接続してみた
ブラウザを起動すると、ポータルサイトが表示される
ポータルサイトではニュースなども読むことができる
サインアップして、接続すれば、インターネットを利用可能

 利用するときはスマートフォンやタブレットのWi-FiをONに切り替え、「OnAir」というSSIDのネットワークに接続し、ブラウザを起動すると、ポータルサイトが表示される。ポータルサイトにはいくつかニュースなどが掲載されていて、とりあえず、無料で読むことができる。インターネットに接続したいときは、オンラインサインアップでOnAirアカウントを作成し、プランを選んで利用する。プランは別表の通りで、時間制と言いつつ、データ通信量が制限されているのが気になるところ。

【ANA Wi-Fi Service利用料金(USドル)】
プラン料金データ通信量制限
30分プラン4.95ドル15MB上限
1時間プラン8.95ドル30MB上限
フルフライトプラン19.95ドル100MB上限

 次に、ベルリンに行くときに利用したミュンヘン便は、「ANA Wi-Fi Service 2」が利用できた。同じANAの機内Wi-Fiサービスなのに、なぜ、わざわざサービス名も違うのかというと、こちらはパナソニックアビオニクスが提供するサービスで、機内エンターテインメントシステムもかなり違う。機材としては、ボーイング787-9(215席仕様)及び B787-8(240席仕様)で運航する一部の便に搭載されているそうだ。

ミュンヘン便で試した「ANA Wi-Fi Service2」はパナソニック・アビオニクスのシステムを利用したサービス
こちらは「ANA WiFi Service」というSSIDに接続。同じくパスワードはないので、要注意
ブラウザを起動すると、ポータルサイトが表示され、ニュースなどが読める
「ANA Wi-Fi Service2」では時間制で3つのプランが提供される。データ通信量の制限がないので、安心して使える
支払いはクレジットカード。ミュンヘンからの帰国便では眠かったので、30分だけのプランをチョイス
通信速度を測ってみると、約3Mbps程度。体感速度はもっと遅いけど、ブラウザやメールのチェックであれば、十分

 ANA Wi-Fi Service 2では「ANA WiFi Service」というSSIDに接続し、ブラウザを起動すれば、ANA Wi-Fi Serviceと同じようにポータルサイトが表示され、いくつかのニュースなどを読むことができる。インターネットに接続したいときは、機内インターネットのサインアップページから登録する。料金プランは以下の通りだが、前述のANA Wi-Fi Service(ニューヨーク便)と違って、データ通信量は特に制限されていない。

【ANA Wi-Fi Service利用料金(USドル)】
プラン料金
30分プラン6.95ドル
3時間プラン16.95ドル
フルフライトプラン(最大24時間)21.95ドル

 実際の通信速度は衛星を利用したインターネットなので、どちらのサービスも正直なところ、遅い。ベンチマークテストでは受信時3Mbpsを超えたけど、体感速度としては通信制限がかけられたときよりも少し速い程度かな。ブラウザでのWebページの表示をはじめ、メールの送受信、FacebookやTwitterへのメッセージ投稿くらいがちょうどいい感じ。まかり間違って、動画なんか見ようと思わないことです(笑)。そういうときは機内エンターテインメントシステムへ。とりあえず、上空や機内の写真でも撮って、友だちや家族に「今、○○あたりを飛んでるよ」とメッセージを送って、驚いてもらうのが王道でしょうか。

新しい機内エンターテインメントシステムでは映画やドラマだけでなく、ライブTVや電子書籍(e-book)なども利用可能
ライブTVは3つの番組を楽しめる

 ちなみに、ANA Wi-Fi Service 2を利用した機材の機内エンターテインメントシステムは、映画やドラマのオンデマンド再生だけでなく、NHK World Premium、CNN、Sport24のリアルタイム放送が楽しめる「ANA SKY LIVE TV」、電子書籍も利用できたりして、かなり高機能。今回は疲れて寝ちゃったけど、次回はこのあたりもじっくり楽しみたい。

 ところで、機内Wi-Fiサービスを利用してみて、気になったのがスマートフォンやタブレットの動作だ。というのもスマートフォンやタブレットの場合、Wi-Fiに接続されると、何か動作をするという設定のアプリが多い。たとえば、写真をバックアップしたり、大容量のアプリを更新したりするケースだ。時間制を謳いつつ、データ通信量でも制限されているANA Wi-Fi Service(ニューヨーク便)の場合、サインインして、インターネットに接続してもバックグラウンドでいろんなアプリが動作して、あっという間にデータ通信量を消費してしまうわけだ。実は、前回、サンフランシスコからの帰国便に搭乗したとき、はじめて機内Wi-Fiサービスを体験したんだけど、当時の20MBプラン(24ドル)をあっという間に消費してしまって、ほとんど何もできなかったのでした。

 ミュンヘン便で試したANA Wi-Fi Service2のように、データ通信量に制限がなければ、気にしなくてもいいだろうという考えもあるけど、機内Wi-Fiモードのように、通信速度が速くない環境での利用を考えると、ユーザーが操作中のフォアグラウンドのアプリのみを動作させるモードが欲しいところ。たとえば、Wi-Fiに接続しても余計な通信を発生させない「機内Wi-Fiモード」や「データ通信量節約モード」が用意されていたり、データ通信を極力制限する常駐アプリがあってもいいような気がします。便利なサービスだけに、もう少し上手に使える環境が欲しいですね。。さて、次はどこへ飛びましょうか。