みんなのケータイ

 各社からさまざまな新製品が発表された今年のCES 2016。モバイル関係では目立った動きは無く、フラッグシップモデルの発表は2月のMobile World Congressとなるようだ。だが、Windows 10スマートフォンにはちょっとした面白い動きがあった。Alcatel(TCL)から新製品が2モデル発表されたのである。

 実はWindows 10スマートフォンは海外ではまだMicrosoftのLumiaしか無く、他のメーカーもいくつか製品アナウンスは行っているものの発売時期は未定。2015年の年末に立て続けにWindows 10スマートフォンが発売・発表された日本が世界の先を走っているという面白い状況になっている。

 AlcatelのWindows 10スマートフォンの1モデル「Alcatel Fierce XL」はチップセットにQualcommのSnapdragon 210を採用していることからわかるようにエントリークラスのモデルだ。しかし、ディスプレイは5.5インチと大きく(解像度はHD)、メモリもRAM2GB+ROM16GBとがんばった仕様になっている。価格は100ドル台でアメリカのT-Mobileから発売される予定だという。

エントリー向けのWindows 10スマートフォン、Alcatel Fierce XL
背面はLumiaを彷彿させる色合い

 操作感は若干もたつくことがあるものの、アプリの数がまだ少ないことからブラウザをメインで使うことを考えるとこのクラスの製品でもそこそこ使えると感じた。それよりも気になったのは背面のボディーカラー。このライトブルーは旧NokiaとMicrosoftのLumiaシリーズの色合いを彷彿させる。

 MicrosoftのLumia最新モデルは黒と白のボディーカラーを採用しビジネス向けの製品というイメージを強くしている。一方AlcatelのAndroidスマートフォンは10色以上の背面カバーのカラーバリエーションが用意されたモデルもある。ここはぜひFierce XLのカラーバリエーションも増やしてもらい、旧Nokia時代の華やかなスマートフォンの再現をAlcatelに期待したいものだ。

8インチでWindows 10 Mobileを採用するPixi 3(8)

 また、もう1つのWindows 10製品はタブレットなのに中身はスマートフォン、という不思議な製品だ。8インチの「Pixi 3(8)」はこちらもSnapdragon 210を採用、そのためタブレットながら通話もできる。すでに世の中には8インチでWindows 10を搭載するタブレットが多数販売されているが、Pixi 3(8)はフルのWindowsではなくスマートフォンと同じWindows 10 Mobileを採用している。そのため利用できるアプリはユニバーサルアプリのみとなるものの、簡単操作できてハンズフリー通話も可能な「ちょっと大きいスマートフォン」として使うことができるわけだ。

 スマートフォンメーカーであるTCLとしても、いきなりWindows 10タブレットを出すことはサポートの面も含め難しいところもあるだろう。Windows 10 Mobile搭載のタブレットは今後「スマートフォンとフルWindowsタブレットの中間的な存在」として一定の市場を作っていくかもしれない。AndroidのタブレットはUIが大きい画面に最適化されているとは言いにくく、Pixi 3(8)を触ってみるとWindows 10 Mobileの8インチタブレットは意外にも使いやすかった。スマートフォンでAndroidの牙城を崩すのはなかなか難しいだろうが、タブレット市場ならばWindows 10 MobileとフルのWindows 10の2つ製品ラインでシェアを奪っていく可能性は十分ありそう。製品化されたらぜひ使ってみたいと思う。