みんなのケータイ

 ASUSから新発売された「ZenFone Zoom」を片手に香港・深セン・マカオを周遊。ZenFone Zoomの最大のウリは、製品名にもあるようにカメラのズーム機能。本来であればZenFone Zoomの光学ズームを活用して「海外でこんなに良い写真が撮れた!」と紹介するのが美しいとは思いますが、海外でZenFone Zoomを使ってみると、カメラの光学3倍ズーム以外の機能に助けられるシーンが多々ありました。

 まず1つめは、LTEで対応している周波数帯が広く、さまざまなエリアで4G LTEデータ通信が利用可能なこと。国内向けのZenFone Zoomでは、LTEで合計14の周波数帯をサポートしています。

 これまでASUSが国内向けに販売する「ZenFone」シリーズのスマートフォンではTD-LTE方式に非対応となっていたほか、FDD-LTEでも2600MHz帯(Band 7)に非対応となっていました。アジアでは香港・マレーシア・シンガポールなどが同周波数帯を利用しており、これらの地域の通信事業者で利用する場合に、本来よりも速度が出なかったり高速通信可能なエリアが本来よりも狭くなってしまうなどの不便がありました。

 しかし、対応周波数が広くなったZenFone Zoomでは、今回訪問をした香港・深セン(中国)・マカオではいずれの地域でも4G LTEのデータ通信を利用することができました。特に中国では、TD-LTE方式にて4G LTEサービスが始まったこともあり、快適にデータ通信を利用するためにはTD-LTE方式に対応した端末が欠かせません。

中国・深センでZenFone Zoomを使う(4G LTEローミング)
マカオでZenFone Zoomを使う

 2つめは、意外かもしれませんが音声通話機能です。ZenFone Zoomは「スマートフォン」ですので、当然ながら音声通話にも対応しています。SNSでのコミュニケーションが容易になった今、音声通話の利用機会や重要度は以前と比べて低下していますが、それでも使い方次第で音声通話は便利です。

香港の「CSL」のプリペイドSIMカード。ダイヤルアプリの操作でプラン購入

 マカオで宿泊するホテルのレビューに「場所がわかりにくい」という趣旨のレビューが多数投稿されていたため、マカオに到着してからホテルに電話をかけて、最寄りのバス停の名前や停車するバスの番号を教えてもらうことができました(もっとも、あらかじめメールなどで問い合わせする方がベターですが……)。

 また、香港やマカオで利用した通信事業者のインターネット接続パッケージの登録・購入は、ダイヤルアプリから登録操作を行う通信事業者も多かったため、ここでも間接的に音声通話機能が役に立ちました。

 一方で、期待が大きかった分だけ不便を感じたのはカメラ機能です。光学3倍ズームは写真だけでなく、動画撮影中に使うととても楽しい機能ではあるのですが、ZenFone Zoomは明るい屋外以外では「撮りたいように撮れない写真」となってしまうことも多く、筆者のように「細かいことを考えずにスマホで写真を撮りたい」というニーズにはあまり適していないように思います。

ZenFone Zoomで撮る香港・旺角の繁華街。オートで撮影すると画像がやや暗くなってしまう
マカオ 聖ポール天主堂跡からマカオ市内を撮影。左下の電灯がつぶれてしまっている

 ほかにも、シャッターボタンを押してから撮影が完了するまでの「シャッターラグ」が、標準的なスマートフォンと比べるとやや長いなどの細かな不満もあり、カメラ機能に関しては過度に期待してしまうと期待値を下回ってしまうこともあるかもしれません。