みんなのケータイ

 昨年末に欧州を旅行した際、ローミングSIMとモバイルWi-Fiルーターが便利に使えたという話題を本コーナーで書き、国内ではその他にもローミングSIMが販売されていることにも触れた。今回、MWC 2016の取材で、スペイン・バルセロナに向かったが、往復ともドイツ経由で移動する予定だったこともあり、ローミングSIMの一つである「mineo海外用プリペイドSIM」を試してみることにした。

 mineo海外用プリペイドSIMは昨年の発売直後、システム上の仕様変更やトラブルなどがあり、しばらく販売が停止されていたが、2月下旬から順次、販売が再開されるとのこと。筆者はひと足早くパッケージを手に入れていたため、今回の出張で利用することができた。

mineo海外用プリペイドSIMの設定ページからプロファイルをダウンロードして、インストールする
[設定]-[モバイルデータ通信]に[APN]の項目が追加され、必要な情報が自動的に入力される

 mineo海外用プリペイドSIMは簡単に言ってしまえば、1枚のSIMカードでさまざまな地域で利用できるデータ通信専用のプリペイドSIMカード。利用できるチャージの方法は「データパックチャージ」と「従量チャージ」の2つが用意されている。データパックチャージはあらかじめ利用する地域を中国、香港、台湾、韓国、タイ、アメリカ、ヨーロッパ(EU)の7つから選び、30MB(650円)/100MB(1480円)/500MB(5480円)/1GB(9800円)のいずれかのデータ容量をチャージして利用するしくみで、有効期限は30日間に設定されている。これに対し、従量チャージはあらかじめ1000円/2000円/5000円/1万円をチャージしておき、利用するZone(地域)に応じて、従量課金されるというしくみになっている。従量チャージの課金の単価は、ヨーロッパの場合、1MBあたり32円なので、データパックチャージよりも割高になるが、北米なども同じZoneであるうえ、有効期限が1年間と長いのがメリット。

 今回はスペインとドイツに合計11日間、滞在するので、データパックチャージで1GBをチャージすることにした。チャージはmineo海外用プリペイドSIMのWebページで手続きができ、利用中のデータ残量も同サービスのWebページで確認できる。欲を言えば、データ通信残量を確認できるアプリも提供して欲しいところだ。

 実際に利用するときの流れとしては、iPad mini 4などの対応端末にmineo海外用プリペイドSIMを装着し、同社のWebページからプロファイルをダウンロードして、インストールする形になる。出発前に空港などでインストールするか、到着時に空港やホテルのWi-Fi経由でインストールすることになるが、渡航先ですぐに使いたいのであれば、出発前にインストールしておいた方が確実だ。プロファイルをインストールすると、iOSの設定画面で[モバイルデータ通信]で[APN]が設定できるようになり、必要な情報が自動的に入力される。あとはそれぞれの地域で自動的に[キャリア](接続する携帯電話事業者)が選択されるので、渡航中は特に設定を切り替えることなく、利用できる。

 実際の利用状況としては、スペイン滞在中はORANGE、ドイツ滞在中はT-mobileが選択され、どちらも快適に利用することができた。データ通信量については、ホテルのWi-Fiが快適に利用できたため、1GBを使い切ることはできず、かなりムダになった気もする。とは言え、国内で手続きができて、チャージやステータス確認のページも日本語化されているので、はじめてのユーザーにも安心して利用できるサービスと言えそうだ。

利用状況はWebページで確認ができる。欲を言えば、アプリなどで手軽に確認できるようにして欲しいところ
今回はホテルのWi-Fiや他の移動先での通信環境が充実していたため、かなりたくさん余る結果になってしまった。少なめにチャージして、追加する方が賢明かも……

 通信そのものには何も問題はなかったが、mineo海外プリペイドSIMのWebページで少し気になる点があった。これは国内のmineoのWebページにも共通して言えることだけど、iPad mini 4で同サービスのWebページを表示したとき、いくつかのWebページでピンチ操作による拡大/縮小ができないのだ。なかでも設定方法を解説するページが拡大できないのはかなり厳しい。ログイン後のWebページなど、一部のWebページは拡大/縮小ができるように改良されているので、今後の改善に期待したい。

仕事で利用することを考慮し、グローバルWi-FiのモバイルWi-Fiルーターもレンタルした。SIMカードが最大9枚まで装着できる「GOODSPEED」のルーターを借りることができた

 そして、以前にも触れたことがあるけど、やはり、今回は仕事で海外渡航をするということもあり、昨年末に続き、今回もビジョンのグローバルWi-FiのモバイルWi-Fiルーターもレンタルすることにした。前回はコンパクトなモバイルWi-Fiルーターだったけど、今回は2014年のMWCの記事でも紹介されていた「GOODSPEED」のサービスを活用したモバイルWi-Fiルーターを借りることができた。1台に最大9枚のSIMカードを装着できるというシロモノで、複数のエリアで利用することに適した製品だ。端末そのものはZTEが製造しているみたいだけど、バッテリーもひと回り大きく、電池の持ちも一般的なものに比べ、長持ちする印象だ。サイズ的にはパンツの前ポケットに入れて持ち歩くと、ちょうどいい感じだ。今回も1日最大500MBまで利用できるという大容量タイプをオーダーし、スペインでもドイツでもストレスなく、使うことができた。ちなみに、本体には制御用と渡航先のSIMカードが1枚ずつ装着されていたが、もっといろいろな国と地域を回る計画を立てて、何枚もSIMカードが装着されている状態で使ってみたい気もする。