みんなのケータイ

 毎年この時期の恒例行事と言えば、スペインで開催されるMobile World Congress(MWC)だ。今年は「取材テーマが見つからないかも」とかなり不安な気持ちで渡欧したが、フタを開けてみれば、VRや各社のフラグシップスマホも面白いモノばかりが揃い、かなり盛り上がったように思える。世間的には「ジャーナリスト」という肩書きで、10年近くバルセロナに通っているが、ここ数年でも、トップクラスの面白さだったのではないか。

 滞在中は、日本の読者の皆さんが興味を抱いてくれるような各社の新製品発表ネタを速報的にアップしてきたが、今後は5GやIoTなど、今後の業界動向がわかるようなネタを記事化していきたい。このあたりは、現地に実際に足を運んで、関係者に取材しないとわからないことが多い。結構、難しい話も多いので、速報的に記事を書くより、自分なりに咀嚼して、確認作業もした上で記事を書いたほうが良かったりするのだ。

 MWCの取材をする上で重要なのが「いかに会場で関係者に会うか」という点に尽きる。正式にアポを取り、インタビュー取材をお願いするのもさることながら、会場内にはキーマンがふらっと歩いている事が多く、見かけたらすぐに声をかけ、「あ、お久しぶりですね」と挨拶を交わしつつ、立ち話で重要なことを聞き出したりするのが楽しいのだ。

 「そんなの、日本でもできるのでは」と思われがちだが、MWCは世界中の業界関係者が集うイベントだ。そのため、ここ数年、カンザスシティに行ってしまった人や、昔、国内キャリアやプラットフォームの立ち上げをしていたにもかかわらず、世界最大のSNSの会社に就職して、シリコンバレーに行った人などに再会するには最適な場所だったりするのだ。

 巨大なMWC会場で役に立つのが、ライター陣でやりとりしているFacebookメッセンジャーだ。「あそこのブースに誰々が誰と一緒に居た」という状況はすぐに共有されている。その情報をキャッチし、ダッシュでその場に行き、写真を撮りつつ、話を聞くということを何度かやっていた。実際、MWC会場では、センテンススプリングに負けないくらいの地をはうような取材をしていたように思える。

 今回の取材では、1月のCES取材時に入手したグーグルのMVNOサービス「Project Fi」のデータ専用SIMカードをSIMフリーのiPhone 6sに挿入して使っていた。公式サイトには「海外では3G接続」とあるが、乗り継ぎ地のドイツ、取材先のスペイン共にLTEで接続できて快適だった。

 請求サイトを見てみると、滞在中にスペインで699MB、ドイツで111MBを使っており、8ドル10セントの請求が来ている。Project Fiは基本料金が月額20ドル必要だが、データ通信料金は1GBで10ドルという設定になっている。使った分だけ支払うということで、合計8ドル程度で済んでしまった。ただし、なぜか3日分の請求がまだ来ていないのだが、おそらく1カ月後に数ドル程度を追加で請求されそうだ。

 ちなみに、パソコンでのネット接続は、ビジョンが提供するグローバルWi-FiのモバイルWi-Fiルーター、大容量タイプを借りていった。ホテルの無料Wi-Fiもあるのだが、セキュリティ上、不安な事も多いため、信頼度の高いモバイルWi-Fiルーターでメールや原稿のやりとりをしたのだった。

 例年、スペインに行ったときは、プリペイドSIMカードの調達から旅がスタートするのだが、今年はProject FiとモバイルWi-Fiルーターがあったので、SIMカードを1枚も買わずに済んでしまった。