みんなのケータイ

 一昔前は、海外出張に行った際は現地でしか買えない端末や電話機を購入するのが楽しみだったりした。大昔はSIMフリーのiPhoneも海外でしか買えなかったために、必ず購入して帰ってきたものだ。最近では、どの海外メーカーも、日本でフラグシップモデルを投入するし、iPhoneもSIMフリーモデルが気軽に買えるようになった。海外に行ったからといって、「端末を買う」という気分にはならなくなってしまった。

 しかし、世界で同じモデルが発売されているからこそ、「円高を利用する」という手も残っている。ここ最近は再び、円高基調になっており、海外で購入した方が安いものも出てきた。

 自分が狙いを定めていたのが、アップル・iPad Pro 9.7インチだ。iPhone SEなどは、CDMA版とGSM版があり、海外で購入すると、日本や別の国でつかまない周波数帯が出る場合がある。その点、iPad Proはグローバルで1つのモデルしかないため、そうした不安がないのがうれしい。256GBモデルが欲しかったが、10万円を超える商品なだけに結構、勇気のいる値段となる。少しでも安く買いたいと思い、海外での購入を検討したのだった。

 3月末にマイクロソフトの開発者イベント「Build」取材でサンフランシスコに滞在する機会があったが、アメリカの場合、州によって購入時に課税されることがあるために断念。次の機会をうかがうことにした。

 4月中旬、毎年ドイツ・ベルリンで開催される家電展示会「IFA」が世界中のメディアを集めて行う記者会見が香港で開催された。それに出席するために、香港出張があったので、到着するや否や、アップルストアに向かうことにした。

香港のアップルストア

 香港での販売価格は8088香港ドル。クレジットカードのレートは1香港ドル14.304円だったので、11万5690円で購入できた。これが日本で購入すると消費税込みで12万7440円となるだけに、かなりお得といえる。

 実は香港は日本と違って消費税がないため、この分が浮くことになるのだ。日本で売られているものと唯一の違いはコンセントだ。香港では大きめの電源プラグとなるため、箱もちょっと大きくなっている。しかし、iPad Pro自体は何ら変わらないので、使い勝手はかなりいい。もちろん、技適マークもちゃんと表示される。

 先日、アップルは日本国内のiPhoneラインナップの価格改定を行い、5000~9000円程度、値下げした。「在庫が余っているための値下げかな」と思ったが、関係者によれば「iPhone SEは調達が困難なほど入荷しない。在庫処分というよりも、単なる為替調整ではないか」という。もともと、円安気味の設定だったため、昨今の円高基調に合わせたようだ。

 アップルの場合、世界的にアップルストアが点在し、店内に展示されている価格表を指させば、外国語が通じなくても購入できる。海外旅行に行った際は、為替相場を意識しつつ、本体や周辺機器を少しでも安く買うことにチャレンジすると楽しいだろう。