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5つのカテゴリーで選べるau 2009年秋冬モデル

法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるPRO BlackBerry サーバー構築」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。


 10月19日、auは2009年秋冬から2010年春にかけて販売する新モデル13機種を発表した。すでに発表されているモデルと合わせ、計20機種を「NEW COLLECTION 2009 AUTUMN/WINTER - 2010 SPRING」としてラインアップを構成することになる。ここ数年、携帯電話業界は春、夏、秋冬と、年3回の新商品及び新サービスの発表を行ってきたが、昨年秋のNTTドコモに続き、auも秋冬モデルと春モデルをいっしょに発表することになり、一気にラインアップが拡大した格好だ。発表会の詳細については、すでに、本誌のレポート記事が掲載されているので、そちらを参照していただきたいが、ここではタッチ&トライで試用した端末の印象や発表内容の捉え方などについて、考えてみよう。

合計20機種をラインナップ

 

各携帯電話事業者が重要視する2009年秋冬&2010年春商戦

 新販売方式導入や昨年来の景気悪化などの影響もあり、ここのところ、あまり活気がないという見方もされる国内の携帯電話市場。しかし、各携帯電話事業者は、今年秋から来春に掛けての商戦をひとつの大きなヤマ場と捉えており、今まで以上に積極的な攻勢を掛けてくると予想されている。その背景には、今秋以降がユーザーの流動性が高まるタイミングだと見られているためだ。

 まず、もっとも直接的な要因として挙げられているのは、2007年に開始されたNTTドコモの「ファミ割MAX」、auの「誰でも割」という両社の2年縛り(2年間の契約を約束する)の割引サービスが契約期間の満了を迎えることだ。具体的にはファミ割MAXが2007年8月、誰でも割が2007年9月にスタートしており、もっとも早く契約したユーザーはすでに契約期間の満了を迎えている。これらの契約期間を約束する割引サービスは、基本的に自動的に契約が更新されるが、更新のタイミングであれば、契約解除料が掛からないため、他事業者にも移行しやすい状況にある。

 ソフトバンクモバイルは、こうした契約期間を約束する割引サービスを提供していないが、他事業者に先駆けて、割賦販売による月月割を実施しており、事実上、2年縛りに近い状態で契約している。今から2年前の2007年は、1月にホワイトプランを発表し、夏以降、急速に純増を伸ばした時期であり、2年目を迎える今秋は同様に、乗り換えが発生しやすいタイミングという分析もある。

 販売面で見ると、auとNTTドコモはそれぞれ2007年11月に新販売方式を導入しており、こちらもやはり、今秋、開始から2年を迎える。auについては「au買い方セレクト」のうち、「フルサポートコース」が2年間、同一機種の利用を条件としており、初期にフルサポートコースで購入したユーザーは11月以降、フルサポート解除料なしに買い換えることができる。NTTドコモについては、2007年11月発売の905i/705iシリーズ以降を新販売方式の対象モデルとしていたが、その影響もあり、905iシリーズの各機種は他を圧倒するほどの売れ行きを記録している。やはり、この時期に購入したユーザーが2年を経過し、買い換えのタイミングを迎えることになる。

 機種で見てみると、auは2007年秋冬モデルの発表会において、共通プラットフォーム「KCP+」と採用端末第一弾として、「W56T」「W54S」「W54SA」を発表した。その後のKCP+採用端末の苦戦ぶりは記憶に新しいところだが、KCP+採用端末第一弾となった3モデルは2008年はじめに発売がずれ込んだため、これも年明けにはちょうど2年を迎える。フルサポートコースで購入していたり、誰でも割などに加入していれば、今回が買い換えのタイミングであり、auとしては2年間で完成度を高めたKCP+採用端末を初期モデルのユーザーに少しでも早く届けたいところだろう。

 こうした事情もあり、今秋から来春へ掛けての商戦は、各携帯電話事業者とも意気込んでいると見られているが、それを裏付けるかのように、今回、auは新モデル13機種を発表し、発表済みモデルやカラー追加などの7機種を合わせ、合計20機種をこの商戦期に投入することになった。ただ、新モデルと謳われている13機種の内、2機種は昨年モデルや今年の夏モデルのリニューアルモデルであり、純粋に新モデルと呼べるものは11機種となっている。とは言うものの、約半年間の商戦期を戦い抜くラインアップとしては、かなり充実したものと言えるだろう。

 

 全体的なラインアップは発表会のプレゼンテーションでも触れられていた通り、5つのカテゴリーで構成されている。「選べる高画質カメラ」と題されたカテゴリーは12Mカメラと8Mカメラを搭載したモデルが既存モデルも含め、合計6機種。「映像」にこだわったカテゴリーが1機種、「選べるスリム&コンパクト」が3機種、アクティブシニア層やジュニア層をターゲットにした「エルダー・ジュニア」が3機種、法人ユーザーのニーズに応える「法人・データ通信端末」のカテゴリーがデータ通信端末4機種を含む5機種という構成になっている。

 ボディ形状別で見てみると、13機種中、二軸回転式が6機種、折りたたみ式が5機種と多く、スライド式とストレートは各1機種ずつとなっている。これらに加え、スライド式がCyber-shotケータイ S001とiida PLY、折りたたみ式は12月発売予定のiida PRISMOID、法人向けのE07Kが加わるため、ボディ形状もかなり豊富なラインアップから選ぶことができる。メーカー別ではシャープが4機種、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(以下、ソニー・エリクソン)と京セラがが3機種ずつ、カシオ計算機が2機種、東芝が1機種となっている。日立製作所は通常デザインの端末はないが、データ通信端末4機種はいずれも同社が開発を担当している。パナソニック モバイルコミュニケーションズとパンテックは今回のラインアップに端末を供給していない。

 ところで、auと言えば、今年の夏モデルにSportio water beatやbiblioといった個性的な端末をラインアップし、ユーザーを驚かせてくれたが、それらに比べると、今回のラインアップは全体的に手堅い印象を受けるかもしれない。しかし、auは数年前から夏モデルで防水や超コンパクト端末といった、個性的な端末や新機能にチャレンジし、秋冬や春モデルは比較的、保守的で手堅いラインアップを中心に展開してきており、今回もその流れを踏襲してきたというのが実状だ。

12Mカメラ搭載モデルから防水モデルなど、多彩な13モデルをラインアップ

 さて、ここからは今回発表された端末について、発表会のタッチ&トライコーナーで試用した印象などについて、お伝えしよう。ただし、タッチ&トライコーナーで要された端末は最終的な製品ではないため、実際に発売される製品とは差異があるかもしれない点はご理解いただきたい。各端末の詳しいスペックなどについては、本誌の発表会レポート記事も合わせて、ご覧いただきたい。

EXILIMケータイ CA003(カシオ計算機)

 国内初であり、国内最高峰となる12.2MピクセルのCMOSイメージセンサーによるカメラを搭載したモデルだ。昨年のW63CAの後継モデルに位置付けられるが、カメラのスペックだけでなく、機能的にも最高峰モデルに相応しい充実した内容になっている。なかでも今までのケータイにはなかった機能として、超解像デジタルズームが注目される。超解像技術は映像をオリジナルよりも高い解像度で出力したとき、不足する信号を補ったり、画像処理をする技術を指す。通常のデジタルズームでは拡大すると画像が粗くなってしまうが、CA003の超解像ズームではエッジ部分の信号を際立たせるシャープネスのような画像処理を施すことで、通常のデジタルズームよりもきれいな撮影を可能にする。W63CAでサポートされていたオートリサイズズーム(切り出しズーム)にも対応しており、両方を組み合わせることで、VGAサイズで最大20倍まで、劣化の少ないズームが可能になる。光学ズームに勝るわけではないが、ハードウェア的に制約の多いケータイでは、今後、超解像技術を応用したデジタルズームが一気に増えてくるかもしれない。

 撮影機能では20枚/秒の高速連写が注目されるが、実際に撮ってみたところ、かなりの高速連写であるため、人物などのちょっとした動きを撮る程度では物足りなくなってしまう。動き回る子どもやペットだけでなく、ゴルフやテニスといった動きの激しいスポーツ撮影などの方が本領を発揮しそうだ。また、デジタルカメラのEXILIMに搭載されているダイナミックフォトも面白そうな機能のひとつだ。カメラで撮影した画像を使い、メールに添付できるアニメーションデータの作成や合成写真を作れる機能だが、デコレーションメールの表現力がかなり豊かになるため、幅広い層に受け入れられそうだ。ボディサイズはW63CAと同じだが、ボディデザインは全体的にスッキリとした印象で、ボタンもうまく凸形状を作り出しており、非常に押しやすい。auの秋冬モデルではSH003などと並んで、売れ筋になりそうな端末だ。

AQUOS SHOT SH003(シャープ)

 同じく国内最高峰となる12.1MピクセルのCCDカメラを搭載したモデルだ。シャープは昨年来、各携帯電話事業者向けにCCDによるカメラを搭載したモデルを相次いで開発し、au向けにも夏モデルでCCD 800万画素カメラを搭載したSH001を供給しているが、今回のモデルはその上位モデルに位置付けられる。CCDの特性を活かし、薄暗いところでの撮影や動きの速い被写体の撮影に強みを発揮するが、12.1Mピクセルという画素数もさることながら、AQUOS SHOT SH003では3.4インチの液晶ディスプレイがタッチ対応になり、ピンチやフリックといったタッチ操作を可能にしている。カメラ撮影時のユーザーインターフェイスもアイコン表示で視覚的にわかりやすくなり、チェイスフォーカス&コンティニュアスAF、シーン自動検出など、カメラ付きケータイの最高峰に相応しい撮影機能が充実している。ボディはEXILIMケータイ CA003よりもわずかに薄く、手に持った印象はソフトバンクのAQUOS SHOT 933SHなどに近い。ボタン類もSOLAR PHONE SH002やAQUOS SHOT 933SHなどに採用されている形状とほぼ同じで、ある程度、押しやすさを考慮したものに仕上げられていたが、欲を言えば、ソフトバンク向けに採用されているアークリッジキーなどの採用を期待したかったところだ。

 AQUOSブルーレイとの連携も実現し、レコーダーで録画した番組を持ち出すことを可能にしている。当面は、シャープ製レコーダーとシャープ製端末、ソニー製レコーダーとソニー・エリクソン製端末などという組み合わせでしか利用できないが、auとしては将来的に統合できることを目指している。レコーダー連携に対応したAQUOSブルーレイは、2009年10月以降に発売される最新モデル「BD-HDW50/45/43」となっており、2009年春に発売された従来の「BD-HDW40/35/32」での対応は、今のところ、考えていないという。従来モデルのBD-HDW40/35/32はNTTドコモ向けやソフトバンク向けのシャープ製端末でレコーダー連携を実現した製品で、映像サイズやビットレートの違いこそあるものの、基本的には同じ形式を採用している。にも関わらず、従来モデルのバージョンアップによる対応を今のところ考えていないというシャープの姿勢には、少々疑問が残る。レコーダー連携は録画した番組をケータイで楽しむという新しい使い道として、注目を集めているだけに、もう少し幅広い製品で、計画的なサポートを期待したいところだ。

AQUOS SHOT SH006(シャープ)

 AQUOS SHOT SH003をベースに、無線LAN機能を搭載し、auが今夏から提供している「Wi-Fi WIN」をサポートしたモデルだ。今回はモックアップのみの展示だったが、KCP+を採用しているため、先にWi-Fiをサポートしている「biblio」の機能を継承し、新たに公衆無線LANサービスへのログインも可能にする。無線LANを利用するうえで、もっともつまづきやすい接続についても、biblioでサポートされていたバッファローの「AOSS」、NECアクセステクニカの「らくらく無線スタート」、業界標準の「WPS」に対応する見込みで、初心者でも扱いやすくなりそうだ。CCD 12.1Mピクセルカメラやタッチ対応ディスプレイ、レコーダー連携など、無線LAN以外のスペックはAQUOS SHOT SH003と同等だが、発売時期が2010年2月中旬以降と少し先になるため、どちらを選べばいいのかを躊躇しそうだが、Wi-Fi WINによる高速通信は、やはり、YouTubeなどの大容量コンテンツを視聴するときに効果が発揮されるので、そういった用途を重視したいユーザーはSH006まで「待ち」ということになるだろう。


EXILIMケータイ CA004(カシオ計算機)

 昨年の秋冬モデルとして発売され、今年の夏モデル前まで、ロングセラーを記録した人気モデル「W63CA」のリニューアルモデルだ。KCP+のソフトウェアも含め、基本的にはまったく同じスペックであるため、機能的には何も変わらないが、ピュアホワイトやコーラルピンクといった女性に支持されそうなボディカラーがラインアップされ、レンズ周りもボディカラーでカバーする部分を増やしたため、少し落ち着いたデザインになった印象だ。12Mピクセルカメラ搭載モデルまではいらないが、カメラ性能のいいモデルが欲しいというコストパフォーマンス重視のユーザーにおすすめできるモデルだ。


SH004(シャープ)

 今年の春モデルとして発売され、6月にはボディカラーも追加されるなど、高い人気を得たSH001をベースにしたリニューアルモデルだ。EXILIMケータイ CA004同様、KCP+のソフトウェアも含め、基本的にはまったく同じスペックであるため、機能的にはSH001と何も変わらない。CCD 800万画素カメラなどもそのまま継承されているが、二軸回転式ボディのトップパネルの処理が変わっており、SH001よりも女性ユーザーを強く意識したデザインで仕上げられている。ポイントはトップパネルに内蔵されたクリスタルカット調のLEDイルミネーションで、着信やメール受信時に最大7色で光らせることができる。SH001ではボタンの押しやすさでやや評価が分かれた印象があったが、今回のSH004も基本的には同じレイアウトを採用しているため、操作感はあまり変わらない印象だ。


BRAVIA Phone U1(ソニー・エリクソン)

 au向けとしては、初めてソニーの薄型テレビ「BRAVIA」の名を冠したモデルだ。防水についても過去にNTTドコモ向けに供給したことがあるが、こちらもau向けとしては初の取り組みになる。かつてのSO903iTVもデザインの美しさで話題になったが、BRAVIA Phone U1も美しいデザインと赤いイメージカラーが目を引く。注目はソニー製Blu-rayディスクレコーダーと連携した「おでかけ転送」で、Blu-rayディスクレコーダーで録画した番組やハンディカムなどから取り込んだ映像をBRAVIA Phone U1のmicroSD/microSDHCカードに転送して、視聴することができる。防水機能を活かし、お風呂での視聴も可能で、お風呂での利用に便利な置き台もオプションで提供される。対応するBlu-rayディスクレコーダーは「BDZ-EX200/RX100/RX50」の3モデルで、シャープ製端末で実現されている環境と互換性はないが、将来的には統合する方向で考えているという。また、今回発表された絵文字の3000文字への拡張とデコレーションメール作成の改善は、このモデルがURBANO BARONEなどと並んで、もっとも進んでいる。auは各商戦期ごとに、いずれかのモデルを機能面で先行開発することが多いが、今回の秋冬商戦ではこのBRAVIA Phone U1とT003がその役割を担っているようだ。


SA001(京セラ)

 今回発表されたモデルで、唯一のスライド式ボディを採用したモデルだ。京セラへの事業譲渡後、久しぶりに復活したSA(SANYO)ブランドの端末だが、前述の2年を経過したユーザー動向を踏まえ、SAシリーズの根強い人気に応えるために、開発されたようだ。SAブランドのスライド式としては、「W51SA」「W54SA」「W61SA」以来ということになるが、11.9mmという薄型に仕上げられており、従来モデルとはかなり印象が異なる。ちょうど夏モデルで登場した京セラ製折りたたみデザイン端末「K002」をそのまま、スライド式に変換したようなイメージに近い。京セラはこれまでKCP+採用端末を開発していないが、今回はSAシリーズで開発チームが違うためか、KCP+採用端末となっている。

 ディスプレイ下のジョグキーはNEC製端末のニューロポインターやノートパソコンのスティック型ポインティングデバイスに外見が似たものだが、操作感は意外に良好で、突起もほとんど気にならない。ただ、テンキー側はメールキーやワンタッチTVキー、EZキーを並べて5段配列になったこともあり、テンキーのサイズはやや狭い印象が残る。強化ガラスを採用し、クリアコートが施されたディスプレイも通常のディスプレイと少し手触りが違い、指紋などが目立ちにくく、拭き取れば、すぐにきれいになる。今回のラインアップの中では、女性を中心に幅広いユーザー層に手堅く売れそうな端末だ。


T003(東芝)

 夏モデルのT002に引き続き、防水機能を実現したモデルだ。T002は16.2mmという厚さで防水を実現していたが、T003は最薄部で11.6mm、最厚部でも14.9mmとグッと薄く仕上げられている。この他にもT002と比較して、Bluetoothを搭載し、ワンセグがダビング10に対応している点などが異なる。また、ボディはステンレスを採用し、4層コートによる塗装も非常に美しく、最近のモデルではあまり見かけない独特の存在感を演出している。11.6mmという薄型ボディのトレードオフになっているのは、キーの押しやすさだ。カタログでは「見やすく押しやすい立体キー」と謳われているが、正直なところ、見やすさは認めるものの、押しやすさは凸感こそあるものの、T002のキートップが盛り上がった形状に比べると、「押しやすい」とは言いにくい印象だ。スリム系端末としては押しやすい方と言えなくもないが、ちょっと判断の分かれるところだろう。ちなみに、じっくりと写真を見比べてもらえればわかるが、このT003はCEATEC JAPAN 2009で展示された「燃料電池内蔵ケータイ」の携帯電話部分と同じものであり、実はこうした量産モデルをベースに燃料電池内蔵ケータイの開発が進められていたことがわかる。


SH005(シャープ)

 au初となる「防水で7色のカラーバリエーション」をラインアップしたモデルだ。今回はモックアップのみが展示されたが、最近のau端末ではあまり見かけなかったポップな印象のカラーバリエーションで、女性や若年層を中心に支持されそうなデザインだ。カメラこそ、標準的な520万画素CMOSイメージセンサーだが、3インチのフルワイドVGA液晶やmicroSDHCカード対応など、夏モデルのSOLAR PHONE SH002とほぼ変わらないスペックを実現している。レコーダー連携やEZニュースEX対応など、機能や対応サービスは最新の仕様が反映されるようだ。


S002(ソニー・エリクソン)

 女性の手にもすっぽり収まるほど、コンパクトにまとめられたグローバルパスポート GSM対応端末だ。auのグローバルパスポート端末は、従来からのCDMA対応、W62SやW64SでサポートされたGSM対応、Cyber-shotケータイ S001やT002が対応したCDMA/GSM両対応があるが、S002はW64Sをベースにしており、グローバルパスポートGSMのみの対応となる。丸みを帯びた持ちやすいボディ形状を実現しているが、意外に秀逸なのが各キーを独立で配列したテンキーで、非常に押しやすい。筆者が試用した範囲では、今回発表された端末の中でもっともボタンがクオリティが優れていたという印象だ。319万画素カメラや2.7インチのフルワイドQVGA液晶など、決してハイスペックとは言えないが、録画対応ワンセグやおサイフケータイなど、必要十分な機能は揃っており、GSM圏での利用が多いユーザーなら、持っておいて損のない一台と言えそうだ。


URBANO BARONE(ソニー・エリクソン)

 昨年、アクティブシニア向けの端末として登場し、人気を得たURBANOの後継モデル。従来のURBANOはシャープ製だったが、今回はソニー・エリクソン製となる。デザイン的には40代〜50代のソニー製品に影響を受けたユーザーを意識したというが、確かにソニーらしい美しいテイストの仕上がりで、ヒンジ部分などはVAIOノートなどを彷彿させる。従来のURBANO同様、文字の見やすさやボタンの押しやすさといった使いやすさは十分に考慮されており、ボタン部分はS002同様、非常に押しやすい。発売が2010年1月下旬のため、タッチ&トライではすべての機能を試すことはできなかったが、ワンセグやおサイフケータイ、Bluetoothなど、エルダー層以外のニーズにも十分に応えられるスペックを満たしており、意外に幅広いユーザー層に受け入れられそうな端末だ。筆者もこういう仕事をしていなければ、選んだかもしれない一台だ。


簡単ケータイ K004(京セラ)

 シニアユーザーをターゲットにした簡単ケータイの最新モデルだ。簡単ケータイとしては9代目、京セラ製簡単ケータイとしては5代目を数える。従来モデルの簡単ケータイ K003は8月に登場したばかりだが、基本的な仕様を継承しながら、細かい部分の改良が図られている。今回はモックアップのみの出品で、実機を触ることができなかった。少し気になった点は、簡単ケータイ K003が側面に凹みを持たせ、端末を開きやすくしていたが、簡単ケータイ K004は切り欠きがボタン部側のみになっており、側面の凹みが少し小さくなってしまったようだ。その一方で、通話キーと終話キーの質感とカラーを変更したり、ストラップ用の穴をネックストラップでも自然な位置に変更するなど、細かい使い勝手もよく配慮されている。発売時期は未定だが、8月に発売された簡単ケータイ K003とどのように売り分けていくのかが注目される端末だ。


mamorino(京セラ)

 「ココセコム」に標準対応したジュニアケータイの最新モデルだ。子どもが携帯することを考え、かなりコンパクトなストレートボディを採用し、雨の日でも安心の防水機能を搭載する。テンキーが装備されていないが、メールなどは画面上に表示されるソフトキーを使い、ゲームのように入力するしくみを採用する。ココセコムについては、端末の防犯ブザーを引くと、セコムに自動的に通報が届き、保護者に対応を確認後、セコムの緊急対処員がmamorinoを持つ子どものところに駆け付けるという流れになる。ハードウェアもかなり工夫されているようで、電池のピクトの残りが1つになると、あらかじめ登録してある保護者にメールで充電するようにお知らせをしたり、防犯ライトを時間帯で設定して、自動的に光らせる機能なども用意されている。ネット接続やメールもしっかりと制限されており、親が安心して、子どもに与えることができるケータイに仕上げられている印象だ。


ガンガンメールとともに秋冬及び春商戦を戦い抜けるか?

 今回の発表会の席において、今夏からサービスを開始した「ダブル定額スーパーライト」と「指定通話定額」の2つのサービスがともに100万契約を超えるほど、好調であることが明らかにされた。そして、秋冬モデル及び春モデルの発表を機に、新しい料金プラン「プランEシンプル」「プランE」を11月9日から提供することも発表された。この2つは「ガンガンメール」の愛称で展開されるサービスだが、これについて、少し補足しておきたい。

 ガンガンメールは写真や動画などの添付の有無にかかわらず、端末で利用できるEメールを他事業者やパソコン宛も含め、無料で利用できるというプランになる(無料は国内での利用に限る)。基本使用料はプランEシンプルの場合、月額1560円だが、2年契約の誰でも割に加入すれば、月額780円に抑えることができる。EZwebによるパケット通信料については、基本的にダブル定額スーパーライトと同等で、EZwebは上限が4410円、PCサイトビューアー利用時は上限が5985円、モバイルデータ通信利用時は上限が1万3650円にそれぞれ設定される。

 メールの利用が中心であれば、かなりおトクな印象もあるが、通常のプランSSなどと違い、無料通話分が含まれていないため、一度でも電話をかければ、国内の音声通話で21円/30秒、国内テレビ電話で37.8円/30秒の通話料が発生する。このレートは通常の料金プランのプランSSの20円/30秒よりも高い設定になる。

 ガンガンメールは従来の多くの料金プランと課金体系が異なるため、やや比較しにくいような印象を持たれるかもしれないが、簡単に言ってしまえば、通常の料金プランとダブル定額スーパーライトをパック化した料金プランということになる。たとえば、誰でも割でプランSSを選び、ダブル定額スーパーライトを契約すると、単純計算で「980円+390円+315円(EZweb)」で月額1685円が最低負担額になるが、ガンガンメールでは「780円+315円(EZweb)」で月額1095円に収まるということになる。2つのプランの差額は590円だが、通常のプランSSには1050円分の無料通話分が含まれており、一概にガンガンメールが安いとは言い切れない部分もある。結局のところ、通話をするのであれば、通常の料金プラン、メールの利用が中心なら、ガンガンメールという選び方がひとつの指針になると言えそうだ。読者の中には、今回発表された簡単ケータイ K004やURBANO BARONEのようなシニア向けのケータイを両親に持たせようと考えている人もいるだろうが、そういったユーザーもガンガンメールであれば、写真を送られても負担が少なく、仮にケータイに慣れて、EZwebやアプリをたくさん使うようになってもパケット通信料の上限は決まっているので、安心して使ってもらうことができる。家族割で分け合いにしておけば、こちらの無料通話分を多めにしておくことで、ガンガンメールの通話料分をカバーすることも可能だろう。組み合わせとユーザー層次第ではなかなか有効活用ができる料金プランになりそうだ。

 この他にもLISMOのエンターテインメントブランド化、絵文字の拡充、デコレーションメールの操作性改善、EZ助手席ナビの改良などが発表されたが、やはり、今後のauのケータイを占ううえで、ひとつのカギを握るのは、デジタル家電との連携だろう。以前から録画した番組を外出先で視聴する活用スタイルは、何度もチャレンジされてきたが、対応機種が限られているものの、Blu-rayディスクレコーダーとの連携や「<ブラビア>ポストカードサービス」、「MYスライドビデオ」などのサービスが実現されたことで、パーソナルデバイスとしてのケータイが一段と進化することが期待できそうだ。

 ただ、その一方で、夏モデルの発表時も指摘したように、KCP+という共通プラットフォームが完成し、仕様が熟成してきたことで、今度はそこで各開発メーカーがどのようにオリジナリティを発揮するのか、auがメーカーの個性をどう引き出しておくのかも重要な課題になってくるはずだ。今回の秋冬モデル及び春モデルは、デザインも一時期の「デザインに優れたau」と呼ばれていた頃の良さを取り戻し、仕上がりもグッと向上した感があるが、端末を触りはじめると、どの端末も機能的に似通っており、今ひとつ新鮮味が感じられない部分があるからだ。これは見せ方の問題でもあるのだろうが、今後はどうやってユーザーに新しい楽しさを体験させてくれるのかもauとメーカーの腕の見せどころになってきそうだ。ユーザーが「どの端末でも安心して、同じように使える」ということは大切だが、その一方で「どの端末も新鮮な楽しさや面白みがある」という要素も求められているわけであり、その微妙なさじ加減がau端末の今後を左右することになるのかもしれない。

 さて、今回発表された端末は、10月30日から順次、販売が開始される予定だ。いくつかのモデルは年明けまで発売を待つことになるが、今後、本誌に掲載される予定の開発者インタビューやレビュー記事などをしっかりチェックして、ぜひ自分の好みに合ったau端末を選んで欲しい。

 



(法林岳之)

2009/10/20 18:35


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