法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

2020年へ向けたモバイル業界の「おもてなし」を考える

 ロシア・ソチでは今年2月にオリンピック、3月にはパラリンピックが開催され、連日、ニュースをにぎわせていた。日本はもちろん、世界各国の選手や関係者がソチを訪れたが、6年後の2020年には東京でも夏季オリンピックとパラリンピックが開催される。ソチと同じように、東京や日本の各地には世界中から人々が訪れることが期待されるが、このとき、日本のモバイル業界は世界からのお客さんをどんな「おもてなし」で迎えることができるのだろうか。

旅行者にとって欠かせないもの

 改めて説明するまでもないが、私たちの生活にとって、ケータイやスマートフォンは欠かせないものだ。音声による通話にはじまり、メールやメッセージによるコミュニケーション、Webページやアプリを利用した情報検索、音楽やムービー、ゲームといったエンターテインメントなど、さまざまなシチュエーションにおいて、活用することが可能だ。特に、ケータイからスマートフォンに移行してからは、利用できるシチュエーションがさらに拡がり、ケータイ時代以上に利用時間が伸びているという分析もある。

 こうしたスマートフォンの利便性は、当然のことながら、日常生活しているときだけでなく、他の場所に移動したときにも活用したいものだ。それは日本国内に限らず、海外に出かけたときも同じように、使いたくなってくるはずだ。「NTTドコモ『海外1dayパケ』で考える国際ローミングの料金」でも解説したように、各社が海外パケット定額サービスを提供していることで、料金のことを別にすれば、国内と同じように、スマートフォンを活用できる条件が整いつつある。

 NTTドコモがiPhoneを除き、SIMロック解除に応じたり、ソフトバンクもごく限られた機種でSIMロックを解除する一方、GoogleのNexusシリーズやアップルのiPhone 5s/5cなど、SIMロックフリーの端末が国内でも販売され、海外渡航時にプリペイドSIMカードを購入して利用するユーザーも増えている。本誌でも「みんなのケータイ」コーナーなどで、各著者陣が海外取材時にスマートフォンを活用したり、プリペイドSIMカードを購入するエピソードを紹介しているが、おそらく本誌読者のみなさんも同じように、海外渡航時にスマートフォンやタブレットを有効活用しようとしているはずだ。今や、スマートフォンやタブレットは、旅行者にとっても欠かせないアイテムのひとつになりつつある。

筆者が訪れたタイのバンコク

日本のモバイル通信環境を活かせるか

 ただ、その一方で、海外でスマートフォンを使ってみると、料金体系は別にして、日本のモバイル通信環境の良さを再認識したという声もよく耳にする。国と地域によって差はあるが、海外では都市部こそHSDPAなどの比較的高速な3Gで利用できるものの、鉄道やクルマなどで都市間を移動すると、途端に3Gから2GのGSM方式(のGPRS)に落ちてしまい、ついには圏外という体験をすることも少なくない。都市部でも少しビル内や地下に入ると、通信が不安定になったり、圏外になることもしばしばある。その点、日本は過去に採用した通信方式の違いがあったとは言え、現在の携帯電話サービスはすべて3G以降であり、ビル内や地下街、地下鉄などでも利用できる。新幹線のような長距離交通機関でも途切れることなく利用できるようにエリアが整備され、LTEのエリアも急速に拡大している。

 普段、私たちは何気なく、スマートフォンやタブレットを利用しているが、おそらく通信の品質という点については、世界でもトップレベルのユーザー体験ができると見て、間違いないだろう。先般、ソフトバンクの孫正義社長が米T-Mobile買収実現のために米国・ワシントンで講演し、アメリカがモバイル通信において、世界から後れを取っているという主張をくり広げていたが、買収の可否の可能性は別にして、そういった主張ができるほど、日本のモバイル通信環境は充実している。

 冒頭でも触れたように、今年2月と3月にはロシア・ソチでオリンピックとパラリンピックが開催された。世界中から選手や関係者がソチを訪れ、おそらく現地でもスマートフォンやタブレットなどが有効に活用されたはずだ。本誌でも石川温氏がソチでプリペイドSIMカードを購入した様子を紹介していた。

 そして、今から6年後。今度は東京で夏季オリンピックが開催され、世界中から選手や関係者、旅行者が東京をはじめとした日本各地を訪れることになる。このとき、日本のモバイル業界はどういう形で、世界中の人々を「おもてなし」できるのだろうか。6年という期間は移り変わりの激しい通信の世界において、利用環境がどう変化しているのかが見えない部分もあるが、少なくとも現時点で世界トップレベルのユーザー体験ができるモバイル通信環境があるわけで、これを最大限に活かした「おもてなし」を実現したいところだ。

訪日旅行者には利用しにくい日本のモバイル環境

 では、日本は海外からの旅行者にとって、スマートフォンやタブレットなど、モバイル環境が利用しやすいところなのだろうか。

 まず、私たちが海外に渡航したときと同じように、日本以外の国と地域から訪れた旅行者がもっとも簡単にスマートフォンなどを利用する方法としては、国際ローミングが挙げられる。「NTTドコモ『海外1dayパケ』で考える国際ローミングの料金」でも触れたが、海外の携帯電話事業者も渡航先でデータ通信(パケット通信)を1日単位で定額で利用できるサービスを提供しており、国と地域によって差があるものの、1日1000〜3000円程度の料金が請求されるケースが多い。なかにはデータ通信量が決められ、それを超えると、さらに数千円が課金されるといった携帯電話事業者もある。短期間の滞在や旅行時の資金に余裕がある人ならば、国際ローミングでもかまわないかもしれないが、それこそ、オリンピックのように、数週間単位で滞在することを考えれば、もう少し割安な利用方法が欲しいところだ。

 一方、日本の通信事業者や関連会社がレンタルという形でモバイルWi-Fiルーターや携帯電話などを提供しており、これらを利用すれば、もう少し割安に利用することができる。

 例えば、国内の空港で宅配サービスなどを提供し、空港でもカウンターをよく見かける「JAL ABC」では、国内で利用するモバイルWi-Fiルーターと携帯電話のレンタルサービスを提供している。同社のWebページによれば、モバイルWi-Fiルーターの貸し出し端末はイー・モバイルの「Pocket Wi-Fi LTE GL04P」で、1日当たり1290円で利用できる。

 本誌で何度となく記事で取り上げてきた「GLOBAL Wi-Fi」でおなじみのビジョンも、国内向けのモバイルWi-Fiルーターのレンタルサービスを提供している。端末はイー・モバイルの「Pocket Wi-Fi LTE GL01P」、UQ WiMAXの「Aterm WM3600R」、NTTドコモの回線を利用する「AVOX AWR-100T」と、通信方式の異なるものを揃えており、レンタル料金も3日間で2980円から45日間で1万2800円と幅広いニーズに対応している。

 また、SIMカードのみをレンタルで提供しているサービスもある。NTTドコモの関連会社であるドコモ・ビジネスネットでは、モバイルWi-Fiルーターや携帯電話のほかに、3G対応端末で利用できるSIMカードを提供している。パケット通信は1パケット1.0円だが、1日あたり1500パケット以上は1500円(税別)となっており、実質的に1500円のみでデータ通信は使い放題になる。ほかにも、オーストラリアに本社を持つGSM Rentafoneという通信事業者が「ソフトバンク海外レンタル」というブランドで日本国内向けに提供するレンタルサービスでは、iPhone 3G/3GS/4/4S向け、iPhone 5向けにレンタルSIMカードを提供しており、これもパケット通信は1日当たり1500円で使い放題となっている。

 ただ、いずれもレンタルという契約であるため、1日当たり1000円〜1500円程度の料金がかかり、一定期間を滞在するユーザーには負担が大きい感は否めない。渡航元のキャリアが提供する海外パケット定額サービスの料金体系によっては、そちらの方が割安になるケースも考えられそうだ。

なかなか増えない訪日旅行者向けプリペイドSIMカード

 国際ローミングでもなければ、モバイルWi-Fiルーターなどのレンタルでもないということになれば、やはり、私たちが海外に出かけたときと同じように、プリペイドSIMカードを利用する方法が割安になりそうだ。しかし、日本において、このプリペイドSIMカードという利用スタイルは、なかなか増えてこない。

 例えば、b-mobileブランドでMVNOサービスを提供する日本通信は、2012年から訪日外国人向けに「VISITOR SIM」というSIMカードを提供している。価格は3980円で、速度制限なしに1GBまで利用できる「1GB Prepaid」、通信速度が300kbpsで無制限に14日間まで利用できる「14days Prepaid」という2つのタイプが販売されている。いずれもデータ通信専用で、音声通話は提供されない。

 また、エレコムは今年2月に、訪日旅行者向けのデータ通信専用プリペイドSIMカードを3月から発売するとを発表したが、これは香港のELECOMショップを皮切りに、海外のELECOMショップなどで順次販売することが明らかにされている。ネットワークとしては日本通信同様、NTTドコモのMVNOになるが、旅行者が到着する日本の空港などではなく、現地の自社ショップで販売するという手法を採っており、海外市場にも展開するエレコムの強みを活かしている。

エレコムが海外から日本への旅行者向けに販売するデータ通信専用SIMカード。香港など、海外のELECOMショップで販売する

 さらに、海外の携帯電話事業者が日本向けのプリペイドSIMカードを販売する例もある。香港に拠点を持つChina Unicom Hong Kongは、日本で7日間、最大5GBまで利用できるプリペイドSIMカードを販売している。ネットワークはソフトバンクを利用し、3Gのみながらもテザリングも利用できるという。

 まだ種類は少ないものの、ようやく訪日旅行者向けにプリペイドSIMカードが登場してきたが、実はいずれのプリペイドSIMカードも私たちが海外で利用しているものとは少し異なる点がある。それは音声通話サービスが提供されていないという点だ。

 これは過去にプリペイド携帯電話が振り込め詐欺などに悪用された経緯もあり、携帯電話不正利用防止法で契約者の本人確認などが義務づけられているためだ。今のところ、音声通話を利用する契約は本人確認が必要で、データ通信契約については簡易的な確認のみで済ませている。ちなみに、契約に必要な本人確認書類については、、NTTドコモを例に挙げると、運転免許証、健康保険証、住民基本台帳カード、外国人登録証明書(または在留カード)のいずれかとなっており、短期に来日する旅行者が契約できるような状態にはなっていない。

 この音声通話を利用する契約とデータ通信契約で、本人確認の内容が異なるという点については、SkypeやLINEといったデータ通信のみで音声通話が可能なIP電話サービスが増えつつあり、各携帯電話会社がLTEネットワーク上で音声通話サービスを可能にする「VoLTE(Voice over LTE)」の導入を予定しているため、今後、制限の意味がなくなるのではないかと見る向きもある。一方、そうした点を考慮してか、今後、データ通信のみの契約でも現在の音声通話を利用する契約と同じように、本人確認を行なうという推測もある。

観光立国を目指すのであれば

 一方、海外でプリペイドSIMカードを購入する際の本人確認がどうなっているのかというと、筆者がこれまでに訪れた国と地域では基本的にパスポートのみで購入できており、住所なども渡航先の滞在ホテル名などを書いておけば、ほとんどのケースでは問題なく契約できている。実際は国と地域によって、少しずつ差があり、一部には購入できないケースもあるだろうが、なかにはパスポートの提示による登録も必要なく、いきなりプリペイドSIMカードのパッケージを購入できた場合もあったほか、1通のパスポートに対し、ひとつの携帯電話事業者で1枚のみプリペイドSIMカードを発行するといった制限を設けているところもある。

 また、タイのように、「Tourist SIM」や「Traveller SIM」と銘打ち、明確に海外から訪れる旅行者向けのプリペイドSIMカードを販売するところもある。バンコクの場合、空港の到着ロビーに出たところに各携帯電話会社のカウンターがあり、そこで旅行者向けプリペイドSIMカードを購入し、すぐに利用することが可能だ。携帯電話会社によって、少しずつ内容は異なるが、音声通話とデータ通信が利用できるプラン、データ通信専用のプランがあり、価格は約300バーツ(約900円)で、7日間、1GBまでデータ通信が利用できる。多くの旅行者が1週間くらいの滞在であることを考慮した使いやすいプリペイドSIMカードと言えそうだ。ちなみに、タイは政情不安などもあり、昨年後半から旅行者が減少したと言われているが、2012年にはタイを訪れる旅行者(観光客)が2000万人を超えるなど、観光立国を着々と進めている。日本は2013年にようやく1000万人を突破したレベルであり、島国であるという事情を考慮しても観光立国の道は、まだまだ遠いというのが実状だ。

 前述の携帯電話不正利用防止法に関係する本人確認の必要があるため、なかなかタイなどと同じようにはできないかもしれないが、やはり、2020年の東京オリンピックを世界中の人を迎えるのであれば、モバイル業界として、訪日旅行者が利用しやすいモバイル通信環境を用意するべきだろうし、そのひとつとして、プリペイドSIMカードは欠かせないものと言えそうだ。

タイでは「Tourist SIM」「Traveller SIM」と銘打ち、旅行者に向けたプリペイドSIMカードが販売されている
バンコク・スワンナプーム空港の到着ロビーには旅行者向けプリペイドSIMカードを販売する各携帯電話会社のカウンターがある
台北松山空港では中華電信のカウンターがあり、旅行者向けのプリペイドSIMカードが販売されている
ロンドン・ヒースロー空港は到着ロビーにプリペイドSIMカードの自販機が設置されている。アクティベーションなどもオンラインで完了する

技術適合認定の制度と課題

 さらに、プリペイドSIMカード以外にも課題はある。それは本誌でも過去に何度か触れてきた技術適合認定の問題だ。

 今のところ、国内で利用する携帯電話やスマートフォン、タブレットなどの端末は、国内の技術適合認定を受け、いわゆる「技適」マークが表示できることが条件とされている。表示は端末本体に表示するもの、画面に表示するものなどがあるが、これらの表示がない端末については、通信事業者からネットワーク接続を切断される可能性がある。

 前述の訪日旅行者向けのプリペイドSIMカードを日本国内において利用する場合も同様で、各社の説明には「技術適合認定を受けた端末が必要」と明記されている。ただ、現実的なところを考えると、海外で販売されている携帯電話やスマートフォン、タブレットで、日本の技術適合認定を受けたものはiPhoneなど、ごく一部の機種しかなく、同型が国内で販売されているソニーモバイルのXperiaシリーズやサムスンのGALAXYシリーズなども、海外で販売されているモデルには、当然のことながら技適マークの表示はない。つまり、訪日旅行者が日本国内でプリペイドSIMカードを購入した場合、実態としては技術適合認定を受けていない端末で利用せざるを得ない状況になっているわけだ。

NTTドコモ版のXperia Z1の法的情報の画面には日本の技術適合認定のみが表示される
グローバル版のXperia Z1の法的情報の画面には、FCC(米国)やCE(欧州)などの認証情報が表示される。ほぼ同一モデルでありながら、日本の技術適合認定の表示はない

 ちなみに、海外の携帯電話事業者と契約するユーザーが、自国契約のSIMカードを挿した状態で端末を日本に持ち込み利用する場合は、国際ローミングとなるため、海外の携帯電話事業者とローミング先である日本の携帯電話事業者の取り決めにおいて、特に問題とはされない。

 「じゃあ、訪日旅行者のために、技術適合認定のない端末でも利用できるようにすればいいじゃないか」という意見が出てくるかもしれないが、これもなかなか難しい問題で、各携帯電話会社が包括免許という形で電波を利用できる免許を受けている以上、決められたルールは守る必要がある。

 例えば、他のジャンルの製品や他業種に置き換えてみると分かりやすいが、かつて一部で流通した高出力の米国市場向けコードレスホンは、そのまま日本国内で利用すれば、(日本では)同じ周波数帯域を利用する他の機器や周囲の通信機器などに影響を与えるため、「不法無線局」として厳しく取り締まられた。自動車も、国ごとに排ガス規制や車検制度などが違うため、国内に持ち込んで利用するときは、一定の検査や手続きを受ける必要がある。

 では、諦めるしかないかというと、そういうわけではなく、他の国や地域の技術適合認定に相当する仕様と相互に認証情報を交換したり、海外の端末メーカーが日本の技術適合認定や各携帯電話会社の試験を受けやすくするなど、いろいろな取り組みが考えられるはずだ。少なくとも現行制度が利用実態に追いついていない以上、国として、何らかの改善を考えなければならない時期に来ていると言えそうだ。

世界最高クラスのICT環境は使ってこそ意味がある

 ところで、本誌では先日来、総務省が進めている「競争政策見直し」について、各社の考え方などを聞いたインタビューを掲載している(ドコモ編KDDI編)。一部報道では「セット割」の扱いのことばかりが語られているが、話の主題は、今年2月に総務大臣が情報通信審議会に諮問した「2020年代へ向けた情報通信政策の在り方−世界最高レベルの情報通信基盤のさらなる普及・発展に向けて」にある。

 もう少しわかりやすく書けば、「2020年代へ向けて、通信やインターネット関連の業界の在り方を見直して、世界最高水準のICT環境を作っていきましょう」「そのためにはどんなことを見直せばいいのかを考えましょう」という意味になる。

 この競争政策見直しについては、本コーナーでも取り上げる予定だが、ここで注意しなければならないのは世界最高水準のICT環境を作ることだけが重要なわけではなく、それを使う環境も整える必要があるということだ。総務省の資料に挙げられた検討事項案のひとつに、次のような項目が掲げられている。

  • 世界中から訪れたくなる国に
  • 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催等、グローバル化の一層の進展を踏まえ、観光客やビジネスマン等にとって国内外でICTを利用しやすい環境を実現するには、何が必要と考えられるか

 本稿でも説明してきたように、現在の国内のICT環境は回線やネットワークなど、インフラ的な部分については、おそらく世界でもトップクラスの環境にあると見て差し支えないだろう。しかし、利用実態に限って言えば、必ずしも利用しやすい環境が整っているとは言えない状況で、なかでも本稿でスポットを当てた訪日旅行者の利用については、他の国と地域に比べ、格段に使いにくい環境になっている。

 こうした状況を生み出した背景には、各携帯電話事業者やMVNO事業者、販売代理店、サービスプロバイダーなど、モバイル業界全体の取り組みが足らない部分もあるだろうし、さまざまな規制が普及の足かせになっている部分もあるだろう。特に、国としての取り組みについては、他業界で指摘されるケースなどを見てもわかるように、どうもインフラを構築することばかりが重視され、実際に運用する部分、普及させていく部分についてはあまり注力されてこなかったことが関係しているように見受けられる。

 これまでも日本の通信業界や携帯電話業界では、優れた技術や仕様を作り、提案しながら、十分に活用されなかったり、グローバル市場では受け入れられなかったり、別なものが評価されてしまった苦い経験を持っている。今回の諮問では業界の在り方を見直すとしているが、重要であることはインフラを作ることではなく、優れたインフラを少しでも多くの人に使ってもらえる環境を作ることをもっと真摯に考えるべきだ。そのための取り組みのひとつとして、訪日旅行者の利用しやすい環境づくりは、もっとも手の付けやすいテーマであり、世界に日本の優れた技術やノウハウを広めていく意味でも重要なカギになるはずだ。

 2020年へ向けて、国、携帯電話会社、MVNOサービス事業者、販売代理店など、モバイル業界の各社がどのように取り組むのか、どう来訪者を「おもてなし」をするのかを日本のユーザーもしっかりとチェックしていきたい。