法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

個性派のラインナップで幅広いユーザーを狙うauの春モデル

 KDDIは、2015年の春商戦へ向けて、1月19日に発表会を開催し、「au 2015 Spring」のラインナップを発表した。他社が冬モデル発表の段階で、春商戦向けをまとめて投入しているのに対し、昨年末のFirefox OS搭載「Fx0」の発表に続き、春商戦向けにも個別で発表会を催すなど、auの好調さを裏付けるアグレッシブな姿勢がうかがえる。特に、今回は成熟したスマートフォン市場を今後どのように展開していくのかを方向付ける意味で、しっかりとした個性を持つラインナップを取り揃えてきている。発表内容の詳細については、本誌記事を参照していただくとして、ここでは今回の発表内容の捉え方と各製品及び各サービスの印象などについて、解説しよう。

成熟するスマートフォン市場

 急速な進化と共に、完成度が高められてきたスマートフォン。国内での普及率は50%に達し、市場全体も一時期のような過熱感が収まりつつあると言われる。昨年は各携帯電話会社が国内の音声通話定額を実現し、データ通信料は通信量による段階的な課金に切り替える一方、キャリアアグリゲーションやVoLTEなど、新しいネットワークを活かしたサービスを展開するなど、スマートフォンを主軸に据えた利用環境が充実し、国内のスマートフォン市場はすでに成熟期に入ったと見る向きも多い。

 こうした状況下において、各携帯電話会社が今年以降、どのような動きを見せるのかが注目されるが、auは今回の春商戦へ向けて、今までと少し違った形でのラインナップを揃えてきた。

 これまでの各社のスマートフォンのラインナップ展開を振り返ってみると、初期段階ではケータイ時代のように、さまざまなユーザー層別に豊富なバリエーションを展開してきたものの、この1〜2年は主要メーカーのフラッグシップモデルを中心に、徐々にラインナップが絞り込まれてきた。そのため、どのモデルも形状やスペックなどが似通ってしまい、今ひとつ差別化が十分にできていない印象もあった。その結果、ブランド力に勝るモデルに注目が集まり、販売ランキングもやや偏りが見られるような傾向もあった。

 しかし、スマートフォンの普及率が50%に達したことで、今後はマーケティング用語でいうところの「レイトマジョリティ」や「ラガード」と呼ばれるユーザー層にもアプローチしていかなければならない。同時に、これまでにスマートフォンに移行したものの、十分な満足感を得ることができず、フィーチャーフォンに戻ってしまったり、スマートフォンらしい使い方ができなかったりする人が増えてきては困ってしまう。

 そこで、auとしてはより幅広いユーザー層に対し、明確なターゲットを持ったモデルを開発してきた格好だ。ユーザーが端末ラインナップを見たとき、「どれでもいいから買う」のではなく、「これなら自分に合う」「これは私に合っている」と考えられるように、明確な個性を持ったモデルを揃えてきたわけだ。携帯電話事業者によって、戦略は異なるだろうが、スマートフォンの市場が成熟してきた現状を考えると、他社も同じように、端末ラインナップに何らかの工夫を凝らさなければならない時期に来ているとも言えそうだ。

au VoLTE対応端末を含む個性派揃いのラインナップ

 幅広いユーザー層へのアプローチは、各社とも共通の課題として、今後の展開が注目されるが、auにはもうひとつ別の課題が残されている。それは2014年冬モデル発表時の記事でも触れた、CDMAネットワーク(3G)への依存をどのように減らしていくのかという点だ。完全にCDMAサービスを終わらせるには、M2M(機械同士による通信)などに採用されている例が多いため、まだしばらく時間がかかるとのことだが、ユーザーが音声通話やデータ通信を利用する需要については、徐々にCDMAネットワークの利用を減らし、4G LTEネットワークへ切り替えていく必要がある。

 そのため、auは2012年から4G LTEのサービスを垂直立ち上げを敢行し、昨年には4G LTEネットワークの実人口カバー率で99%超、4G LTEでの接続維持率も99.9%超を実現し、一気にエリアを拡充した。これに加え、昨年夏からはUQコミュニケーションズのWiMAX 2+にも対応し、より快適な高速通信環境を整えている。

 そして、4G LTEネットワークの環境を活かしつつ、従来のCDMAネットワークへの依存を減らすために、昨年12月から「au VoLTE」のサービスを開始した。VoLTEについてはすでにNTTドコモが昨年夏からサービスを開始し、同じ12月にはソフトバンクも追随したが、auとしては単に高音質通話ができるだけでなく、シンクコールやボイスパーティといった新サービスを織り込むことで、他社とは違ったVoLTEの魅力を引き出そうとしている。昨年12月に発売されたVoLTE対応の2機種に加え、今回の発表では新たに3機種を発表し、合計5機種で春商戦を戦うことになった。

 ちなみに、このau VoLTE対応の5機種はそれぞれに方向性が付けられている印象で、昨年12月発売の2機種は、ハイスペックのフラッグシップ「isai VL LGV31」、オトナ向けの落ち着いたデザインの「URBANO V01」、今回発表された3機種はデザインモデル「INFOBAR A03」、コンパクトボディで幅広い層向けの「AQUOS SERIE mini SHV31」、シニア向けの「BASIO KYV32」となっている。au VoLTE対応端末以外についても、ジュニア向けの「miraie KYL23」、従来の路線を継承するフィーチャーフォンの「GRATINA 2」、そしてAndroidプラットフォームを活かしたフィーチャーフォン「AQUOS K SHF31」というように、モデル毎に明確な個性や方向性を持たせている。

auの2015年春のラインナップ

フィーチャーフォン「AQUOS K」

 ところで、昨年末に発売されたモデルも含め、auの春商戦へ向けたラインナップは個性派の魅力的なモデルが揃った印象だが、今回発表された端末ラインナップの中で、ひとつ注目されるのがシャープ製端末の「AQUOS K」だ。

 AQUOS Kは前述のように、Androidプラットフォームを採用した端末だが、その外見は従来のケータイのような折りたたみデザインを採用する。年明けに一部のメディアが先走って誤解を与えるような報道をしたり、発表会のプレゼンテーションでも田中孝司代表取締役社長が「スマホケータイ」と呼び、プレゼンテーション資料でも「ガラホ!?」などと表記したりしたため、AQUOS Kがフィーチャーフォンなのか、スマートフォンなのかがわかりにくくなってしまった。メディア関係者の中でもスマートフォンだと誤解する人がいたようだが、このモデルはAndroidプラットフォームを使った『フィーチャーフォン』であって、これまでにauをはじめ、各携帯電話会社向けにも供給されていたスライド型や折りたたみデザインのAndroidスマートフォンとはまったく異なる製品になる。

 AQUOS Kのようなモデルが生まれてきた理由は、auの発表会後、21日に開催されたシャープの携帯電話新製品説明会の記事を読んでいただけるとわかりやすいが、これまでケータイ向けに提供されてきたサービスがスマートフォン向けにシフトし、スマートフォンの方が快適に利用できるサービスが増えてきたことを踏まえ、スマートフォンのリソース(資産)をうまく活用できるフィーチャーフォンが企画されたという意味合いを持つ。

 「フィーチャーフォンからスマートフォンに移行すればいいじゃないか」という考えもあるが、電池の持ちや通信料、デザインや形状など、フィーチャーフォンの方が扱いやすいという意見も根強く、そこのニーズにきちんと応えられるモデルが開発されたわけだ。同時に、国内で販売されているフィーチャーフォンが将来的に本体を構成するチップやソフトウェアの資産が継承できなくなる可能性があり、Androidプラットフォームを活かしたフィーチャーフォンに取り組んだという背景も関係している。

 これらのことを踏まえると、今回の発表会において、社長自ら「ガラホ」や「スマホケータイ」といった意味不明の言葉を使い、メディアを含め、周囲に混乱を与えてしまったのは、些か配慮に欠ける印象が残った。幅広いユーザーのニーズにきめ細かく応えるラインナップを揃えようとしているからこそ、個々の製品を語るうえでの言葉や表現に気を使い、もっと丁寧に説明するべきではなかっただろうか。

社長自ら「ガラホ」や「スマホケータイ」といった意味不明の言葉を使い、メディアを含め、周囲に混乱を与えてしまった

 また、ラインナップ全体については、今回は京セラ製端末が4機種、シャープ製端末が2機種という構成になった。秋冬モデルと12月発表のFx0は、LG Electronicsが2機種、京セラが1機種、ソニーが1機種、サムスン電子が1機種という構成で、この半年で京セラが5機種も供給することになる。ユーザー層ごとに作り込んだ端末を開発するには、やはり、国内メーカーの力が必要とされることを表わしているとも言えるが、ユーザーとしては今ひとつ面白みがないように感じられてしまう部分もある。

アップグレードプログラムなどのサービスも強化

 今回の発表会「au 2015 Spring」では、サービス面の強化もいくつか発表された。通常、このシーズンの発表は学割が中心になるが、学割だけでなく、多くのユーザーに関係するサービスも強化してきた格好だ。

 まず、ひとつの目玉とも言えるのが「アップグレードプログラム」だ。auが指定する機種を分割払いで購入する際、毎月300円を支払うことで、18カ月間の利用後に、端末の分割払いの残金を無料にできる買い換えサポートプログラムになる。

 たとえば、iPhone 6の64GBを購入する場合、通常は3555円の24回払いになるが、このアップグレードプログラムに加入しておくと、18カ月間で6万3990円(3555円×18回)を支払った段階で、残金の2万1330円を支払わなくても、次の機種に機種変更できることになる。この18カ月までの段階で、アップグレードプログラムに支払った額は5400円(300円×18回)なので、単純計算で、1万5000円程度は得することになる。

 もっとも、このプログラムを利用して、18カ月後に機種変更するときは、それまで使っていた端末が回収されることになっているため、リセールバリューの高いiPhoneなどは加入すべきかどうかが悩ましいところだが、ほとんどのユーザーが割賦払いを利用している状況を考えると、恩恵を受けられるユーザーは多そうだ。

 ちなみに、アップグレードプロラムと同様の買い換え促進プログラムは、米国でT-Mobileが先鞭をつけ、その後、VerizonやAT&T、Sprintなども追随し、一定の成果を上げていると言われており、今後、国内でもNTTドコモやソフトバンクなどの他社が追随してくるかどうかが注目される。

 料金プランではシニア向けスマートフォン「BASIO」に対応した「シニアプラン(V)」、ジュニア向けスマートフォン「miraie」を購入した小学生以下の子どもを対象にした「ジュニアスマートフォンプラン」が用意される。どちらも通信容量こそ少ないものの、基本使用料にデータ定額料金を含んだもので、料金の目安をワンパッケージでわかりやすくしている。なかでもシニアプラン(V)については、年齢制限を一般的なシニア割引に使われる60歳よりも若い55歳に設定しており、スマートフォンへの移行を躊躇する人が多いと言われる50代後半の世代を料金面でも刺激したい考えだ。

 また、このシニアとジュニアの世代に対しては、料金面でのサポートに加え、auスマートパスのコンテンツをそれぞれの世代向けにカスタマイズされた内容を展開するという。こうした取り組みはケータイ時代にも行なわれてきたものだが、各世代別のスマートフォンでもきめ細かく展開できるかどうかが注目される。

スマートフォン4機種とフィーチャーフォン2機種を投入

 さて、ここからは今回発表されたスマートフォン4機種とフィーチャーフォン2機種について、タッチ&トライで試用した印象を説明するが、各製品の詳細の内容については、本誌の速報レポートをご参照いただきたい。同時に、今回試用した機種は発売前のものであり、最終的に出荷されるものと差異があるかもしれない点も合わせて、ご理解いただきたい。

AQUOS SERIE mini SHV31(シャープ)

 昨年の夏モデルとして好評を得たAQUOS SERIE SHL25のEDGESTデザインを継承しながら、約4.5インチのフルHD対応IGZO液晶ディスプレイを搭載し、コンパクトなボディに仕上げたモデル。本体側面に内蔵されたグリップセンサーで、端末を手に取ると、画面がONになる「グリップマジック」など、他のシャープ製端末で人気の機能もしっかり継承されている。

 NTTドコモ向けやソフトバンク向けに搭載され、注目を集めている「エモパー」もau向けに初めて搭載されているが、auのCMキャラクターに起用されている松岡修三を彷彿させる新キャラ「オレンジン」が新たに追加され、一段と楽しめるようにしている。今回発表されたモデルの中では、もっとも幅広いユーザー層におすすめできる、ラインナップの中核モデルと言えそうだ。

AQUOS SERIE mini SHV31

INFOBAR A03(京セラ)

 初代モデルから数えて6代目、先代のINFOBAR A02から約2年ぶりとなるINFOBARの新モデル。これまでのモデルは基本的に樹脂の筐体を採用し、光沢のある塗装でボディカラーを表現してきたが、今回は陽極酸化処理を施したアルミ製ボディを採用し、メタリックでソリッドなイメージを演出している。INFOBARのアイデンティティとも言えるタイルデザインは、ディスプレイ下の[HOME][BACK][RECENT]の3つのボタンに受け継がれている。この3つのボタンはタッチセンサーを採用しており、それぞれのボタンをタッチしての操作だけでなく、左から右になぞるようにタッチすることで、画面をONにする機能も搭載される。

 ユーザーインターフェイスは先代の「iida UI」を継承しているが、従来モデルに比べ、エフェクトはシンプルになり、操作がわかりやすくなった印象だ。デザイン的にも完成度の高いモデルであることは間違いないが、INFOBARそのものが「忘れた頃にやってくる」ような印象があり、どれだけユーザーの興味をひきつけ続けられるのかはやや気になるところだ。たとえば、auの看板モデルに位置付けるなど、もう少し明確な位置付けを決めたうえで、扱った方がいいのではないだろうか。

INFOBAR A03

BASIO KYV32(京セラ)

 auとしては初のシニア層をターゲットにしたスマートフォン。URBANOシリーズがオトナ向けを謳い、若い世代からシニアまで、幅広い層をターゲットにしていたのに対し、BASIOは明確にシニア向けに作られており、ホーム画面もアプリや機能を大きめにアイコンで表わすなど、格段にわかりやすい構成を採用している。ディスプレイ下のハードウェアキーも[発話/終話][ホーム][メール]がそれぞれ割り当てられ、フィーチャーフォンなどから移行しても比較的、理解しやすい仕様となっている。

 京セラ製端末ということもあり、ディスプレイが振動する「スマートソニックレシーバー」を採用しているが、au VoLTE対応に伴い、個別のチューニングが施されている。ハードウェアの仕様としては、URBANO V01に近い印象だが、背面をラウンドした形状にするなど、全体的に柔らかで持ちやすいデザインで仕上げている。他事業者のシニア向けスマートフォンなどがGoogle Play非対応にしたり、機能を制限しているのに対し、BASIOはGoogle Playに標準で対応し、GmailやGoogleマップなどにAndroidスマートフォン標準のアプリも利用できるようにしている。ワンセグと赤外線通信にも対応するが、おサイフケータイに対応していないのは少し注意が必要だろう。

BASIO KYV32

miraie KYL23(京セラ)

 小学校3〜6年生を中心とする世代を対象にしたジュニア向けのスマートフォン。子どもが安全に利用し、保護者が安心できることを目指し、ジュニア向けとしてはかなり充実した機能を持つ。ハードウェアとしては防水・防じん・耐衝撃機能を備え、ディスプレイのガラスにはURBANO V01などにも採用されている旭硝子製「DragonTrail X」を採用する。防犯ブザー機能も搭載され、防犯ブザーを操作したときはメインカメラとサブカメラで周囲の様子を撮影し、あらかじめ登録してある保護者のメールアドレスにメールを送信するように設定できる。

 Google Playには対応していないが、ジュニア向けのauスマートパスにアクセスすることができ、auがチェックしたアプリをダウンロードすることができるアプリの種類も子どもが利用することを想定し、辞書などのアプリが提供される。

 非常にユニークなのが文字入力を制限する機能で、「バカ」「アホ」などの言葉を入力しようとすると、画面に「ちょっとまって!」というダイアログが表示され、不適切な言葉であるかもしれないことを警告し、それを無視して入力した場合は端末の保護者メニュー内にログを取ることで、子どもがどういう言葉を使ったのかを保護者が確認できるようにしている。この文字入力の制限機能は日本語入力システムのiWnnに組み込まれているもので、単語については全国webカウンセリング協議会が監修を担当している。これまでのジュニア向け端末はどちらかと言えば、何事も制限する方向ばかりが強調されていたが、実際にジュニア世代が使いながら、いろいろな環境を学んでいけるような取り組みは評価できるものと言えそうだ。

miraie KYL23

GRATINA 2(京セラ)

 2013年9月に発売されたフィーチャーフォン「GRATINA」のリニューアルモデル。基本的なハードウェア構成は変わりないが、背面のラウンドフォルムなどを改良するほか、テンキーのデザインを変更し、[発話]キーと[終了]キーをテンキーと押し間違えないように工夫している。本体に搭載される機能はほぼ同じだが、メインメニューに「au WALLET」を用意し、ポイントの確認やチャージをできるようにしている。元々、完成度の高い端末をベースにしているため、大きな変更点はないが、フィーチャーフォンを必要とするユーザーが安心して使えるように、細かい部分も含め、進化を遂げた印象だ。

GRATINA 2

AQUOS K SHF31(シャープ)

 Androidプラットフォームを採用したフィーチャーフォン。これまでにあったスライド式や折りたたみデザインを採用したAndroidスマートフォンと違い、プラットフォームにAndroidを採用しているのみで、Google Playにも対応しておらず、[終話]キーを押せば、すべてのバックグラウンド通信を停止するなど、フィーチャーフォンとして開発されている。

 ボディ幅は51mmとフィーチャーフォンとしてもコンパクトな部類で、折りたたみボディは簡単に開閉できる。auの4G LTEネットワークに対応し、チップセットに米クアルコム製MSM8926を採用するなど、エントリークラスのスマートフォンと変わらないスペックを実現していることもあり、ブラウザの操作なども非常に快適で、サクサクと使うことができる。ちなみに、テザリングにも対応し、3Gネットワークにも接続できるが、au VoLTEには対応していない。ディスプレイはタッチパネルに対応しておらず、テンキー部分をタッチパッドのように操作できる「タッチクルーザーEX」が搭載される。若干、操作に慣れは必要だが、必要に応じて、タッチパッドが使える形になるので、実用的に使うことができる。

 フィーチャーフォンの必須機能であるワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信にも対応しており、「QUICPay」「ヨドバシゴールドポイントカード」に対応し、「モバイルSuica」にも対応を予定している。Androidプラットフォームの特長を活かしたフィーチャーフォンとして、非常に注目できる一台と言えそうだ。

AQUOS K SHF31

きめ細かなラインナップとサポート体制をどこまで活かせるか

 一年の内、もっとも多くの販売が見込める春商戦。他社が春モデルと銘打った発表を行なっていないのに対し、auはさまざまなユーザーのニーズに応えられるように、きめ細かく個性のハッキリしたモデルで構成するラインナップを揃え、料金やサービス面でもユーザーをしっかりとサポートする体制を整えてきた。米国などで評価を得てきたアップグレードプログラムなども他社に先駆けて取り組んでおり、現時点ではauがもっともユーザーに対して、積極的にアプローチしているように見える。

 ただ、きめ細かく端末ラインナップを揃え、どんなに料金やサービス面を拡充してもユーザーにそれらの情報が正しく届き、ユーザーがそれを利用しよう、購入しようと考えなければ、それらの取り組みは結果に結び付かなくなってしまう。

 その点において、今回の発表会ではAQUOS Kにまつわる部分で、「ガラホ」や「スマホケータイ」といった意味不明の言葉で表現するなど、メディア関係者やユーザーにも余計な誤解を増やしてしまった感は否めない。確かに、多くの本誌読者のように、ガジェットが好きな人たちにとっては、そういう表現が伝わりやすく、キャッチーなのかもしれないが、本来、auがこれから取り組もうとしているのは、スマートフォンに手を出すことを躊躇していたり、敬遠している人たちであることを考えると、その表現や説明の手法が適切だったのかは疑問が残る。

 今回発表されたモデルは1月下旬以降、2月と3月にかけて、順次、販売が開始される予定だが、直営店のau SHINJUKU、au NAGOYA、au OSAKA、au FUKUOKAにはデモ機も展示される見込みだ。本誌では今後、各機種の開発者インタビューやレビュー記事などを掲載する予定にしており、こちらもご覧いただき、各機種やサービスの内容などをしっかりと把握したうえで、自分に合った一台をぜひ見つけていただきたい。

法林岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows 8.1」「できるポケット docomo AQUOS PHONE ZETA SH-06E スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」「できるポケット+ GALAXY Note 3 SC-01F」「できるポケット docomo iPhone 5s/5c 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるポケット au iPhone 5s/5c 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるポケット+ G2 L-01F」(インプレスジャパン)など、著書も多数。ホームページはこちらImpress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。