法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

4G LTE対応で使いやすさがひろがるマイクロソフト「Surface 3」

 今年4月に米マイクロソフトから発表され、いよいよ国内でも販売が開始されたマイクロソフトの「Surface 3」。2012年の初代モデル発売以来、着実に支持を拡げてきた「Surface」シリーズだが、今回のSurface 3では4G LTE対応の通信モジュールを搭載したモデルをラインアップに加え、さらに快適なモバイル環境での利用を追求しようという構えだ。ワイモバイルからも販売が開始されたSurface 3の仕上がりをチェックしながら、そのポテンシャルを探ってみよう。

5月19日午前のソフトバンクモバイルの記者発表会には、日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏が登壇し、ソフトバンクモバイル代表取締役社長の宮内謙氏と固い握手を交わし、戦略的パートナーシップを結んだことが明らかにされた

Surfaceシリーズという存在

 ここ数年、スマートフォンの普及と連動する形で、着実に利用が拡大してきたのがタブレットだ。スマートフォンでは少し画面が狭いなと感じるような用途も、ディスプレイの大きなタブレットであれば、快適に使えるため、電子書籍や新聞を閲覧する端末として、あるいは店舗などでのデモンストレーション端末として、フィーチャーフォンとの組み合わせでの利用、教育の現場での活用など、さまざまなシーンで利用が拡大している。

 こうしたタブレットの中で、もっとも好調な売れ行きを示しているのがアップルのiPadシリーズであり、これに続く形で各社のAndroidタブレットが徐々にシェアを拡大している。特に、Androidタブレットは1万円を切るような安価なモデルもあれば、防水・防塵対応やワンセグ/フルセグ搭載など、パーソナルユーザー向けのフルスペックのモデル、キーボードを組み合わせて利用できるビジネスユーザー向けのモデルなど、かなりバリエーションに富んでいる。

 これに対し、Windowsプラットフォームについてもタブレット端末が少しずつ増えてきたものの、拡張性などの面で制限があったり、7〜8インチクラスのディスプレイでは用途によって、快適さが感じられないなどの理由もあり、タブレットのみに限れば、まだ先行する2つのプラットフォームに肩を並べるレベルまでは普及していない。

5月19日午後には日本マイクロソフトがNew Surface Press Conferenceを開催。樋口氏からマイクロソフトとしての意気込みなどがアピールされた

 そんなWindowsプラットフォームのタブレットにおいて、ひとつのポジションを確立しつつあるのがマイクロソフトの「Surface」シリーズだ。2012年の初代モデル発売以来、キックスタンドやカバータイプのキーボード、ペンなど、他製品にはない個性を持つことにより、新しいモバイルツールとして、着実に進化を遂げてきた。

 タブレットでありながら、キーボードを装着することで、ノートパソコンのように使えるというスタイルは、当初、アップルなどのライバルメーカーに「タブレットにしたいのか、パソコンなのか、よくわからない」と揶揄されたこともあったが、ユーザーの利用シーンに応じて、タブレットとしてもノートパソコンとしても活用できる自由度の高いデザインが、徐々に市場に受け入れられ、他メーカーの製品とともに、2in1タイプのノートパソコンというひとつのジャンルを作り上げつつある。

 Surfaceについて、もうひとつ特筆すべき点は、マイクロソフトの製品であるということだ。あらためて説明するまでもないが、マイクロソフトはWindowsというパソコンのOSを供給してきた立場にあり、キーボードやマウスなどの周辺機器、一部のモバイルツールなどのハードウェアを手がけたことはあったものの、自らパソコンを手がけることはなかった。そんなマイクロソフトが自ら販売するパソコンということで、当初はSurfaceシリーズの展開について、否定的な意見も聞かれたが、現在はパソコンメーカーの製品と一線を画したポジションに定着しつつある。

 以前、本連載の「Windows Phoneの逆襲」で、マイクロソフトがWindowsやOfficeを供給するソフトウェアベンダーから、さまざまなサービスやハードウェアも合わせて提供する「デバイス&サービス」の企業へと変化してきたことを説明したが、実はSurfaceシリーズはその象徴的な製品とも言えるわけだ。ちなみに、国内の家電量販店やメディアの反応を見ていると、Surfaceは若い世代や女性ユーザーにも支持されており、iPadなどのライバル製品ほどではないものの、幅広いユーザー層に受け入れられている印象だ。

着実に進化してきたSurfaceシリーズ

 Surfaceシリーズはこれまで、2012年の初代モデル以来、5モデルが市場に送り出されており、今回取り上げる「Surface 3」は6モデル目ということになる。これまでのモデルを簡単におさらいしておくと、2012年に米国で発表され、国内では2013年3月から初代モデル「Surface」、2013年6月にはバリエーションモデルとなる「Surface Pro」がそれぞれ発売された。

 初代「Surface」は一部のスマートフォンにも採用された「NVIDIA Tegra3」を搭載し、OSはいわゆる『ARM版Windows』である「Windows RT」が採用されていた。これに対し、Surface ProはCPUにインテルCore i5(第3世代)を搭載し、OSはWindows 8 Proを採用することで、従来のWindows環境で利用してきたアプリケーションをそのまま使うことができた。ディスプレイはサイズが10.6インチと共通ながら、Surfaceが1366×768ドット表示が可能なWXGA、Surface Proは1920×1080ドット表示が可能なフルHDを採用していた。

 2013年になると、Windowsの世代がWindows 8.1(Windows RT 8.1)に移行したことに合わせ、それぞれの後継モデルとなる「Surface 2」と「Surface Pro 2」が発売される。キックスタンドなどの基本的な仕様は受け継ぎながら、ディスプレイは10.6インチのフルHD液晶を採用し、CPUがSurface 2はNVIDIA Tegra 4、Surface Pro 2はインテル Core i5(第4世代)に強化された。

 翌2014年には「Surface Pro 3」が発売され、現在も販売が継続されている。CPUは第4世代のインテルCore i3/Core i5/Core i7がラインアップされ、ディスプレイは2160×1440ドット表示が可能な12.0インチのフルHD Plus液晶が採用され、従来モデルに比べ、大幅に強化された。法人ユースなども考慮してか、OSは従来同様、Windows 8.1 Proが搭載されている。

5月19日午後のNew Surface Press Conferenceでは、Surfaceシリーズの記者発表ではおなじみとなった米マイクロソフト ジェネラルマネージャーのブライアン・ホール氏が登壇しSurface 3の特長や開発のこだわりを説明した

 そして、今回発売されたのが「Surface 3」になる。ネーミングの流れから考えると、Windows RTを採用したSurface 2の後継と捉えられそうだが、CPUはインテルAtom x7を採用しており、OSはWindows 8.1がプリインストールされている。ディスプレイは10.8インチの1920×1280ドット表示が可能なフルHD Plus液晶ディスプレイを採用し、Surface Pro 3よりもひと回りコンパクトで携帯性に優れたモデルとして仕上げられている。

 今回のSurface 3がこれまでのモデルと違い、特徴的なのは、4G LTE対応の通信モジュールを搭載したモデルをラインアップに加え、いつでもどこでもネットワークにアクセスできるモデルとして、進化を遂げた点だ。米国向けにはSurface 2で4G LTE対応モデルが販売されたことがあるが、国内向けの通信モジュール搭載モデルは初ということになる。

 かつてモバイルノートパソコンでは、3G通信モジュール搭載モデルが発売され、その後、WiMAX搭載パソコンやXi搭載パソコンなども登場したが、なかなか定着することはなかった。しかし、昨年あたりからMVNO各社が割安なデータ通信サービスを提供し、容量あたり単価で激しい競争をくり広げていることから、市場のニーズは再び高まりつつあり、その意味からも今回のSurface 3での4G LTE対応モデル投入は非常にいいタイミングと言えそうだ。

New Surface Press Conferenceではソフトバンクモバイル専務取締役のエリック・ガン氏も登壇し、日本マイクロソフトとの戦略的パートナーシップや料金プランなどについて説明した

スリムで軽量化されたボディ

 ここからは具体的にSurface 3の外見やスペック、使用感について、従来モデルとの比較を交えながら、順に説明していこう。

マイクロソフト「Surface 3」にSurface 3タイプカバー(直販価格1万6934円)を装着したところ

 まず、本体はディスプレイサイズの違いなどもあり、従来のSurface Pro 3よりもひと回りコンパクトなジャストB5サイズで、重量は約160gほど軽い約641gに抑えられている。比較はやや厳しいかもしれないが、iPadの歴代モデルと比較すると、ちょうどiPad 3(「新しいiPad」と呼ばれた)が650g程度なので、ほぼ同じ程度の重さということになる。Surface 3には標準でキーボードが備えられていないこともあり、10インチクラスのディスプレイを搭載したノートパソコンと比較しても少し軽い部類に入るが、後述する「Surface 3タイプカバー」の重量を合計すると、ほぼ同じ程度になる。

前面に10.8インチフルHD Plus対応ディスプレイを搭載。ディスプレイの上側に3.5 メガピクセルのカメラを内蔵
背面にはキックスタンドを備え、中央にはマイクロソフトのロゴがあしらわれている。背面の上側には8.0メガピクセルのリアカメラを内蔵。位置情報の記録やフリッカー制御の設定も可能

 ディスプレイは前述の通り、1920×1280ドット表示が可能な10.8インチの液晶ディスプレイを搭載する。Surface Pro 3に比べ、解像度が一段、低くなるが、Webページや文書作成などでもバランスのいい表示で、筆者の世代のように、少し小さい字が苦手になってきたような人でもあまりストレスを感じることなく使える。

左側面にはコネクタやボタン類がない。側面の下半分にはキックスタンドを開きやすくするための切り欠きが備えられる
右側面にはMini DisplayPort端子、USB3.0端子、マイクロUSB充電端子、ヘッドセットジャックを備える

 本体周囲のボタン類や端子類の配置は、Surface Pro 3と少し異なっており、上部の左側に電源キー、その隣に音量キー、右側面にはMini DisplayPort、USB 3.0ポート、microUSBの充電ポート、ヘッドセットジャック、底面には別売のSurface 3タイプカバーを装着できるカバーコネクターを備える。前面のディスプレイの上には3.5メガピクセルカメラ、その裏側に位置する背面には8.0メガピクセルのAF対応リアカメラを搭載する。

 充電については、これまでのSurfaceシリーズではいずれもマグネット式の専用充電端子を備えていたのに対し、今回から一般的なmicroUSB端子に変更されている。パッケージには5V/2.5Aの出力が可能なUSBポートのみを備えたACアダプタが付属し、USB-microUSBケーブルで接続して、Surface 3を充電する。

右側面のマイクロUSB充電端子に付属の電源アダプターからのケーブルを接続して充電する
本体側面が斜めのカットされた形状のため、接続部分を背面から見ると、少し隙間ができてしまう

 汎用的なmicroUSBポートを備えたことで、他のACアダプタでも充電できそうだが、充電には一定以上の電流が必要で、一般的なスマートフォンのmicroUSB端子の充電器では充電できない。筆者の手元にある機器で試したところ、1A以下の出力の充電器では電源を供給するのみで、充電ができないが、2.1Aの出力が可能な充電器では充電しながら、動画の再生などができた。

本体と接続する端子はSurface Pro 3のマグネット式(左上)に代わり、microUSB(右手前)が採用された
付属の13W電源アダプターはUSBポートにケーブルを接続するタイプで、5V/2.5Aの出力が可能

 ケーブルによっては充電できなかったり、2A出力を謳いながら充電できない充電器もあったので、サードパーティ製品を利用するときは少し注意が必要だ。ちなみに、microUSB端子を採用した関係上、接続部分付近はどうしても傷が付きやすくなるうえ、本体側面が斜めにカットされた形状のため、付属のACアダプタの端子がぴったりフィットする接合にはならないので、取り扱いは気をつけた方が良さそうだ。とは言うものの、汎用的な端子の採用で、充電しやすい環境が得られたことは歓迎できる。

本体の上部に備えられた電源キー(右)と音量キー。電源キーはSurface Pro 3と共通だが、音量キーは左側面から、この位置に移動した
本体の底面に備えられたカバーコネクター。Surface 3タイプカバーはマグネット式なので、あまり位置を考えずに着脱が可能
キックスタンドの内側にはSurface Pro 3同様、microSDメモリーカードのスロットを備える

 内蔵バッテリーでの実使用時間については、カタログスペックでは最大10時間のビデオ再生が可能としている。モバイルデータ通信やWi-Fiでの通信が増えれば、その分、バッテリーの消費は増えるだろうが、普段、Surface Pro 3を利用している筆者の感覚では、Surface Pro 3とあまり変わらないレベルで使えそうだという印象を得た。できれば、マイクロソフトには他のSurfaceシリーズと比較できるような実使用時間の指標を示して欲しいところだ。

 背面にはSurfaceの特長とも言えるキックスタンドを備える。Surface Pro 3ではそれまでのモデルから変わり、キックスタンドの開閉が無段階になったが、今回のSurface 3は三段階に開く構造を採用する。Surface 3タイプカバーを接続して、文字を入力したり、文書を作成するときはもっとも狭い開き方で使い、電子書籍を読んだり、Surfaceペンで手書き入力を使うときなどはもっとも開いた位置で使うことができる。背面のキックスタンドを開いたところには、従来モデル同様、microSDメモリーカードスロットを備えており、スマートフォンなどのメモリーカードを読み出したり、追加のストレージとして、microSDカードを装着したまま、利用することもできる。

キックスタンドを一段階、開いたところ。飛行機の座席に付いている机など、狭いところでも本体を立てて利用できる
二段階まで開いたところ。タッチ操作でのWebページの閲覧や映像コンテンツの視聴などにも適している
フルに開いたところ。タッチ操作や別売のSurfaceペンで手書き入力をするときなどに便利なポジション

 実際の操作については、ディスプレイのマルチタッチ操作に加え、Surface 3タイプカバーのタッチパッド、Surfaceペン(別売)での操作にも対応する。普段の操作は画面のタッチやマウス、Surface 3タイプカバーのタッチパッドを使い、Surfaceペンは主に手書きで文字や絵を描き加えたいときに利用する。ちなみに、Surfaceペンは同梱されておらず、Surface Pro 3付属のものと同じものがオプションで販売される。

 同じくオプションで販売されるSurface 3タイプカバーは、レッド、シアン、ブラック、ブライトレッド、ブルーの5色がラインアップされる。レッドやブライトレッドは華やかな印象で、女性ユーザーにも受け入れられそうだ。マイクロソフトによれば、Surface 3タイプカバーはSurface Pro 3タイプカバーよりも剛性が高められたとのことだが、基本的な構造やキー配列はSurface Pro 3用とほぼ同じで、バックライトも点灯する。キーの操作感は何と比べるのかにもよるが、さすがに一般的なノートパソコンに比べると、薄い板を叩いているような印象が残ってしまうが、慣れてしまえば、意外にタイピングしやすいとも言える。ただ、筆者のような著述業の人が長文を書くことを目的とするのであれば、別のBluetoothキーボードを検討する方が良さそうだ。

 CPUはインテルAtom x7 Z8700/1.6GHzを搭載する。インテルAtomプロセッサーは主にスマートフォンやタブレット、組み込みシステム向けなどに供給されるプロセッサーで、今回のSurface 3に採用されているのは第4世代のAtom向けマイクロアーキテクチャ。現時点で最新となる14nmのプロセスルールで製造されている。インテルによれば、昨年秋に発表され、多くのタブレットに搭載されたAtom Z3700シリーズに比べ、GPUの性能が約2倍に向上しているという。

 CPUの詳しいベンチマークなどについては、ここで解説しないが、詳しい内容に興味のある方は僚誌PC Watchで笠原一輝氏が解説記事を掲載しているので、そちらを参照していただきたい。実際の体感のパフォーマンスとしては、Webページの閲覧や動画の再生、Officeアプリでの文書作成などもストレスなく使うことができている。写真なども一般的なJPEG形式の画像であれば、何も不満を感じることはない。RAW画像の現像や動画の編集といった処理の重い作業ではパワー不足を感じることがあるかもしれないが、一般的な用途であれば、まず問題なく、使うことができるだろう。

 メモリーとストレージについては、2GB RAMで64GBのストレージ、4GB RAMで128GBのストレージを搭載する2モデルがラインアップされているが、いずれも増設することができないので、予算次第ではあるものの、上位モデルを購入した方が堅実だろう。

 OSについては、前述の通り、Windows 8.1がプリインストールされており、7月29日に公開が予定されているWindows 10への無償アップグレードが予定されている。ちなみに、法人向けモデルにはWindows 8.1 Proが搭載されている。Officeについては、Office Home&Business Premium プラス Office 365サービスが搭載されており、WordやExcel、PowerPoint、Outlook、OneNoteの最新版が利用できる。Office 365サービスではオンラインストレージのOneDriveが現時点で1TB、将来的には無制限で利用できるようになり、Officeアプリについても2台のタブレット(iPadおよびAndroid)、2台のスマートフォンですべての機能が利用することが可能だ。他のプラットフォームのスマートフォンやタブレットと併用するユーザーにとってもメリットは大きいと言えそうだ。

誤解が多かった4G LTE対応

 今回のSurface 3でもっとも注目すべき点は、やはり、4G LTE対応の通信モジュールが搭載されていることだろう。通信方式としては、4G LTEが一般的なFDD LTE方式、3GはUMTS(W-CDMA)/HSPA/HSPA+に対応する。対応する周波数帯域はカタログスペックで確認すると、4G LTEが800/900/1800/2100/2600MHz、3Gが850/900/1900/2100MHzと表記されている。この表記では今ひとつ対応状況がわかりにくいが、6月1日に行なわれた記者説明会でもう少しわかりやすい表記が提示されたので、それを別表にまとめてみた。

 この表を見てもわかるように、国内で利用できるのは4G LTEがBand 1/3/8、3GがBand 1/8で、これらのいずれの周波数帯域にも対応しているのがワイモバイル(ソフトバンク)の回線ということになる。Surface 3がワイモバイルからも販売されていることから、ワイモバイルのために対応周波数帯域を調整したように捉えられるかもしれないが、実際は米国で発表されたモデルと基本的に同じ仕様で開発されており、結果的に国内ではワイモバイルのみが多くの周波数帯域で利用できるようになったとのことだ。

 ところで、今回のSurface 3はワイモバイルからも販売されているため、当初、ワイモバイルの回線でしか利用できないような誤解が一部で伝えられていたが、4G LTE対応の通信モジュールはSIMロックフリーの状態で出荷されており、NTTドコモやau、他のMVNO各社のSIMカードでもAPNなどが設定できれば、インターネット接続ができる。ただし、対応周波数帯域については、NTTドコモのネットワークを利用する場合は4G LTEのBand 1/3と3GのBand1、auのネットワークを利用する場合は4G LTE/3GともにBand 1のみで利用することになる。

 この対応周波数帯域とSIMロックフリーについては、もうひとつ触れておきたいことがある。実は、5月19日午後に行なわれたSurface 3の記者発表会の席で、4G LTEの対応周波数帯域と他社のSIMカードでの利用について、質疑応答で質問したところ、ソフトバンクモバイルのエリック・ガン専務取締役から「利用はできるが、電波法違反になる」という主旨の説明があった。

 その後、6月1日にマイクロソフトが行なった記者説明会で、マイクロソフトから記者発表会当日の「電波法違反」という説明は誤りであり、技術基準適合証明についてはソフトバンクの回線だけでなく、NTTドコモやauでも利用できるように申請し、認定を受けているという説明を受けた。携帯電話事業者の役員という立場の人間が記者発表会という限定的な場所ではあるものの、軽々しく「電波法違反になる」というような間違った発言をすべきではないだろうし、仮に間違っていたとしてもそれがわかったのであれば、携帯電話事業者側からきちんと当日、出席したメディアに対して、訂正を伝えるのが筋だ。

5月19日午後のNew Surface Press Conferenceの質疑応答では、他社回線の利用について、ソフトバンクモバイル専務のエリック・ガン氏から「利用はできるが、電波法違反になる」と説明された。しかし、これは間違いであり、6月1日の記者説明会まで、明確に訂正されなかった

 ここ1〜2年でモバイル業界に参入してきたMVNO各社であれば、まだ「しかたない」と諦める部分があるかもしれないが(それも良くないことだが……)、旧イー・モバイル時代から携帯電話事業を携わってきた企業や関係者のとしては、発言も対応もいささか軽率すぎると言わざるを得ない。Surface 3の4G LTE対応は非常に面白い取り組みでありながら、肝心の携帯電話事業者側の情報発信が間違っていたため、消費者に対し、余計が誤解を生んでしまった感は否めない。ワイモバイル(ソフトバンク)と日本マイクロソフトの間で、もう一度、正しい情報の提供について、見直してほしいところだ。

 さて、実際の利用についてだが、まず、SIMカードスロットは底面のカバーコネクタの隣にあり、細いピンを挿して、トレイを取り出すタイプとなっている。iPhoneのように、四角い枠のトレイではなく、コの字型のトレイのため、着脱時にSIMカードを落としてしまわないように注意したい。

底面右側に備えられたSIMカードスロット。付属のピンを穴に挿すと、トレイが取り出せる構造
SIMトレイはコの字型のタイプなので、着脱時にSIMカードを落としてしまわないように注意が必要。nanoSIMカードを採用する

 接続の設定についてだが、ワイモバイルについては出荷時に必要な情報が登録されているため、基本的にはSIMカードを挿すだけで準備は整う。実際の接続の操作はチャームで[設定]を選び、ネットワークのアイコンをタップすると、[機内モード]や[Wi-Fi]のほかに、[モバイルブロードバンド]という項目が表示されるので、あとはそこをタップするだけだ。ちなみに、モバイルブロードバンドの接続については、自動接続にしておくとすぐに接続できて便利だが、気が付かないうちにデータ通信量が増えてしまい、月々のデータ通信量を消費することになるので、[自動的に接続する]はチェックを外しておいた方が安全だ。

設定チャームからネットワーク接続をタップすると、モバイルブロードバンドが表示される
モバイルブロードバンドの接続先を選び、APNなどを設定する。ワイモバイルは情報を設定済みなので、[次へ]をタップするだけで済む
接続されれば、このように[接続済み]と表示される。自動接続にしておくと、どこでも接続してしまうので、使い終わったときは切断しておくのが確実

 また、ワイモバイル以外の回線については、IIJmioのSIMカードを挿してみたところ、しばらくすると、NTTドコモのネットワークが認識された。APNについては、同じネットワークのチャームで最上段に表示される[接続設定の表示]を選んで設定するか、ネットワークのチャームでモバイルブロードバンドの接続先のアイコンをタップすると、APNなどの情報入力画面が表示されるので、必要な情報を入力すれば、接続できた。

 ワイモバイル(ソフトバンク)と日本マイクロソフトの説明によれば、今回のSurface 3はネットワークをワイモバイルに最適化してあり、他事業者の接続については基本的に検証していないとコメントしている。そのため、他事業者の回線での接続では十分なパフォーマンスが得られない可能性があるとのことだったが、筆者宅で混雑の少ない早朝に試してみたところ、若干の差はあったものの、実用性に問題があるような差は見受けられなかった。もちろん、これは局所的な確認に過ぎないので、どこでも同じようになるとは言えないが、ワイモバイルとマイクロソフトが懸念するほどの差はない印象だ。

NTTドコモのネットワークを使うMVNOのSIMカードを装着し、しばらくするとネットワークが表示される
デフォルトでは「mopera(Xi)」の接続情報が表示されるが、[カスタム]を選べば、個別の設定が可能

 余談になるが、マイクロソフト関係者の「他事業者の接続については基本的に検証していない」というコメントも冷静に考えると、不可思議なコメントで、一切の検証をしないで、技術基準適合証明は受けられないはずだが……。いずれにせよ、もう少し両社とも自らの発言を含め、立ち回り方を見直した方が良さそうだ。

通信コストをどう考えるかがカギ

 4G LTE対応の通信モジュールを搭載したことで、いつでもどこでもインターネットが利用できる環境を整えたSurface 3。実際に使ってみると、軽量かつスリムなボディで持ち歩きやすく、どこでもすぐにインターネットに接続できる環境は非常に快適だったと言える。Officeソフトウェアもバンドルされており、ビジネスパーソンのモバイルツールとしてもおすすめできるモデルに仕上がっているという印象だ。

影響の少ない早朝に「speedtest.net」で計測したところ、ワイモバイルのSIMカードでは40Mbpsを超える通信速度を記録。かなり快適に利用できる

 気になる料金については、ワイモバイルで利用する場合、既存の「スマホプランS/M/L」のいずれかを契約することになるため、月々の基本使用料は3980円でデータ通信量は1GB、4980円で3GB、6980円で7GBという構成になる。契約から25カ月間は「スマホプラン割引」が適用されるため、いずれも1000円割り引かれるが、それでも月額2980円で1GBが最安値という設定になってしまう。

 ワイモバイルでは同社から購入したユーザーを対象に、基本使用料が月額980円になるキャンペーン(関連記事)を発表しているが、オプションとして、確認なしでデータ通信量の追加購入をする「快適モード(6回以上)」に加入する必要があるなどの条件がある。正直なところを書いてしまうと、全体的に見て、ワイモバイルの料金設定には、あまり割安感がない。

 現在、タブレットで利用するデータ通信サービスについては、MVNO各社が3GBで月額1000円以下の激しい価格競争をくり広げている。ワイモバイルの料金体系は容量あたりの単価を考えると、少なく見積もっても3倍程度の価格差があるうえ、契約期間として2年間の拘束を受けてしまう。前述の対応周波数帯域の違いが影響し、自分の行動範囲ではワイモバイルの方がつながりやすかったとしてもちょっと受け入れにくい料金や契約条件の差だ。

 場合によっては、家電量販店などでSurface 3の4G LTE対応モデルを購入し、NTTドコモのネットワークを利用するMVNOのSIMカードを利用し、仮に電波が届かないところではWi-Fiスポットに接続したり、自分のスマートフォンのテザリングを利用するといった方法を組み合わせた方が快適になる可能性もある。なかなか一概に比較的できない部分もあるが、ワイモバイルにはもう一段、割安に利用できるSurface 3専用の料金プランを用意して欲しかったところだ。

IIJmioのSIMカードを挿し、同じように早朝に「speedtest.net」で計測してみたが、こちらも十分に快適な結果が得られた

 Surface 3はすでに販売が開始され、家電量販店の店頭などでは実機を体験できる環境が提供されている。SIMロックフリー端末であるため、購入には通信契約などの条件はないが、自分が利用する環境と通信コストのバランスを考えながら、ぜひ新しいモバイルツールの可能性を試していただきたい。