OneNoteが役立ちまくり中

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


OneNoteが役立ちまくり中

 2008年の暮れ頃からMicrosoft Office OneNote 2007(以下、OneNote)を使っている。ココにも書いたが、使い始めた当初から機能/使用感について好印象だった。

Microsoft Office OneNote 2007のパッケージ。2009年7月の実勢価格は1万円前後のようだMicrosoft Office OneNote 2007は各種デジタル情報を一元的に扱えるメモ/ノートツール。ノート、セクション、ページから構成される巨大な書類ケースって感じで使える

 それから月日は流れ、ことあるごとにOneNoteを起動して使ってきたが、現在はOneNoteナシだと無理であり有り得ないのであってやる気も出ない俺なのであった。

 すなわちコレ、実に便利。非常に使える。てか、使い始めればすぐにOneNoteの利便を理解できると思うので、60日間無料で使える試用版をサクッと試すのが吉かもしんない。ちなみに俺の場合、試用版を数日使ったら「コレはイケる」と感じ、デスクトップ用とノート用の2本を購入した。

 さておき、OneNoteを使い始めて半年以上経ったので、以下、その使用感について書いてみたい。

OneNoteってナニ?

 OneNoteを使い始めた動機として、いろいろな情報を一元的に管理&整理&編集したい!! というのがあった。取材と打合せが多々あった時期に、多種多様な情報をまとめて扱う必要が最強に強まったのだ。

 具体的には、手書きのメモ、テキストメモ、企画書、参考写真や図版、議事録音、PowerPointファイル、メールのメッセージ、URL等々。OneNoteは、これら異なる種類の情報を一緒くたに扱えるということで使い始めた。デジタル情報ナンでも来い!! な感じのツールですな。

 OneNoteには様々な機能があるので、使い方もユーザーにより十人十色だと思う。拙者の場合、基本的にはメモ書き&コピペによる資料整理ツールとして使っている。OneNote上に書き、ときには参考資料をコピペし、適宜使いやすいように編集、みたいな。

ページには自由にテキストを書ける。書き込む場所やフォントも自由だ。階層は、ノートブック(画面右)があり、各ノートブックのなかに入るセクション(画面上)があり、各セクションのなかにページが入るこの記事のテキストの一部を範囲選択し、そのままOneNoteにドラッグ&ドロップしたところ。リンクもそのまま機能する状態で入り、コピー元URLも付加される。こちらはWebページから画像をドラッグ&ドロップして貼ったところ。このようにWeb上の情報の“必要な部分のみ”を手早くクリップしていける
今度はUSBWebカメラで撮った静止画をペタリ。ページサイズを自動(デフォルト値)に設定しておくと、貼り込まれた情報に合わせて自動的にページが広くなる。A4などのサイズを指定することもできる貼り込んだ画像などのサイズは自由に変更できる。静止画のトリミングは、デキナイっぽい!?音声や動画を貼り付けることも可能。USBWebカメラで撮った動画や音声をダイレクトに取り込んだ。動画はサムネイル表示されないっぽい!?

 こんなふうに、いろいろな種類の情報を一元的に扱えるのがOneNoteなんですな。書き込みに関しては、テキスト以外にフリーハンドで線を描けたり、矢印や図形を描画できたり、プライオリティなどの属性を付けられたり、イロイロできる。貼り込みに関してもナンでもイケる感じ。また、基本的にはファイルなら何でも貼れますな。ページどうしをハイパーリンクでつなぐこともできる。

 さておき、書いたり描いたりコピペしたりして、どう使うのか?

 これまたユーザーによると思う──授業のノート書きとして使ったり、そのままプレゼン資料にしたり、ブログのネタ帳的に使ったり、日記書いたりマインドマップ的に使ったりとイロイロだと思う。

 ページ(←もちろん好きなだけ増やせる)に対して自由に情報を置けて、そのページを束ねてカテゴリ分けして、さらにカテゴリを束ねて情報満載の一冊のノートとして分類整理できるOneNote。なので、OneNoteを使うとコレがデキる、という明確な出力はナイ。

 いや、アルでしょ、という意見もアルと思うが、拙者におけるOneNoteは、電子的な情報のスクラップブックというイメージだ。必要な情報をOneNoteに集め、OneNote上で整理し、閲覧/検索の効率を上げ、それをジックリ見て、そして様々な出力につなげるツール、みたいな感じ。

 OneNoteの機能利用方法や活用パターンは、ホントに考えれば考えるほど増える感じなので、以下、拙者の利用パターンをいくつか挙げてみたい。

記事ネタ集め~編集段階まで使える

 OneNoteでよくヤルのは、記事を書くための“編集机”としての利用。例えば、本連載バックナンバー『電源回りにウルサい拙者』を書くときにOneNoteを使った。

記事で採り上げる物品の名前や写真を並べ、カテゴリ別に分けて整理したところ。扱う品数が多い記事の場合、こういう整理をしておかないと後でタイヘンこんがらがるコトに記事の流れを想定したところ。内容の流れと入る製品画像が一望できると、記事のイメージがより具体化する。てか、この時点で「もう書けちゃった!!」的な気分にも製品が紹介されているWebページからテキストと画像を丸ごとコピペ。リンク元、テキスト内のハイパーリンクなどもそのまま再現されるので、OneNoteにコピペした以降、他のツールの出番が少なくなる

 上記のような多々の品を扱う記事では、ある程度カテゴリ分けして各品を見せていく必要がある。OneNoteを使わないで物品とカテゴリを整理しようとすると……テキストで表を作っても表計算ソフトを使っても、なーんか一覧性がイマイチ。もちろんソレを作るための労力もけっこー必要。また、資料パッと見では記事イメージが湧きにくかったりする。

 OneNoteを使うと、物品のカテゴリ分けを非常にスムーズに行えるし、感覚的に行えるとも言える。し、そのまま記事の流れを想定していける。し、ツイデ感覚で記事に入れ込むURLや正式な名称/型番なんかもコピペして整理できる。

 実際、このときにOneNoteでヤッてたコトは、記事という出力を得る前段階での情報の編集作業そのものだったりする。要らない情報は捨て、要る情報は整理しつつ残す。そして、情報と情報の関連性を眺め、それら細部~全体を記事としてテキスト化するってわけだ。

こちらは現在進行中の記事用資料。上にレイアウトや文字数、下に注意事項などをメモっているこれは書くネタ。内容ごとに箇条書きにしてある。このように一望することも、拡大して細部を読むことも容易だこれは正確性を高めるための資料。Webからのコピペや手書きメモのスキャンを貼ってある

 写真アリ、Web上の情報アリ、さらにそれら各情報を可能な限り一望して編集して記事書く必要がアリ、みたいな作業、OneNote以外だとタイヘンなことになると思われる。

 てか、そういうタイヘンなコトを以前はヤッてたんですけどね。ちなみに、どうタイヘンかと言うと、資料(紙やURLやテキストメモ)が煩雑的な増加を見せ、ソレをまとめる拙者のヘボい脳味噌がチョー加熱!! 結果、記事を書く時間が長くなり、拙者自身が最強に弱まるのである。

 さておき、こういう“多々の情報からひとつの出力を得る”という作業にビシッと使えちゃうOneNote。ここでは記事を書くことを例に挙げたが、更新しまくりブログな人とか、意見集めまくりの立場な人とか、各種情報が散らばっててウゼぇんだよ!! とアッタマにキてる人に幅広く役立つような気がする。

コピペでコンパクトにまとめて参照

 OneNoteの使い方で、単純なんだが拙者にとってヒッジョーに便利なのが、PDFとの組合せだ。PDFの資料は扱いやすいしやりとりも容易。便利であり多用中だが、ときとして扱いにくさも見え隠れする。

 例えば、ページ数の多いPDFで“複数ページに分散した情報を何度も参照する必要”があると……8ページ目を表示して、次は16ページ目を表示して、また8ページ目を表示して、みたいな作業になる。あー紙状態で閲覧したほーが早いかも!! 的な。例えばデータシートとかですな。

 このイライラをOneNoteが一発で解決してくれた。OneNoteには画面上に表示されているものなら何でもコピペできるスクリーンキャプチャ機能があり、これが何かと役立つんですな。

AVAGOの7セグメントLEDディスプレイのデータシート。全14ページだが、拙者に必要なのはほんの僅かな部分のみこの配線図を見つつ作業したいけど、この表も見たりしたい。複数ページを行ったり来たりする閲覧は、PDFだとちょいと面倒だ
そこでPDFの一部をOneNoteにコピーしてみた。OneNoteでPDF表示のキャプチャ(画面の領域の取り込み)を行ったのだ結果、参照したいページが一画面にまとまり、非常に快適に作業できるようになったこれもPDFの必要部分のみをキャプチャして1ページに収めたもの。7セグばっかりですけど、電子工作派にも便利なOneNoteである

 7セグだしPDFだしで、例がややマニアックだった!? ともかく、OneNoteは画面上に見えてる情報のほとんどを取り込めるわけで、すなわち必要な情報のみを抽出/集約できる=多量の情報をユーザーにマッチしたコンパクトさで扱えるようになるって話。

 昨今、誰もがWebを使って調べ物をすると思うが、その場合もけっこー余計な情報が目に入っているだろう。余計な情報はスルーすればいいんだが、その余計な情報があるために必要な情報の閲覧性が下がっているのはよろしくない。例えば……あ、また電子工作絡みでナンだが、以下のようにも使える。

とある電子工作記事が掲載されたWebサイト。記事は一通り読んだ。さて作ろう。工作に必要なのはこの回路図と……この部品表も必要だ。だけどページをスクロールさせつつ工作するのが面倒~
そこでOneNoteに必要な情報のみを集約させてみた。一覧性バッチリとなったもちろん容易に拡大・縮小して表示できるWebページ上の表組みをコピペすると、そのままキレイな表組み状態でOneNote上に現れる。編集も可能。便利っス!!

 てな感じで、場合によっては情報量が多すぎだとかレイアウト的に参照しにくいといった各種情報を、扱いやすい状態に編集して利用できるというわけだ。

紙撲滅作戦にも有用!?

 何を隠そうこの俺は、ScanSnap S1500を使いまくり中。紙書類を片っ端からPDF化してるんですな。

 もちろん、手元にある書籍もどんどんPDF化している。本が減って部屋が片付いて気持ちいいんだが、あ~やっぱり紙の本であったときのほーが便利だったかも!? と思うコトも。

 例えば作業手順を示した本なんかだと、その手順のページを開いて、閲覧しつつ作業できる。他のページを開く必要がある場合でも、付箋かなんか貼っておけば、まあスグに開ける。

 PDF化しちゃうと、そういう単純なこともやや面倒になったりして、う~ん、やっぱ紙の状態で残しておけばよかったかなぁ、と思ったり。でも、残しておいたら部屋が一生片付かねぇ!! みたいな。

 しかし、こういう問題もけっこーOneNoteでナンとかなったりする。

そーんなに頻繁に開かない本はガシガシとPDF化。趣味の本もPDF化。書籍の電子化を遂行中なのであるフライタイイング(毛バリ巻き)の書籍をPDF化した様子。色もわりとキレイでイイ感じにしかし、タイイング手順はPDFだと参照しにくいことも。別のページを開いたりするときに少々の手間があったりする
そこでOneNoteに必要なページのみをコピペしてみた!!上下に長い、Webページ的なレイアウトで、必要なページを並べていった実際のタイイング時に必要なページのみを並べたら、上下スクロールのみで閲覧できるようになって快適化

 紙の本を利用する、という観点では、結局PDFビューワを使ってもOneNoteを使っても、電気が必要な端末ってゅーかコンピュータが要るって点で、制限はある。やっぱりどうしても紙で、という場合、プリントアウトが必要ですな。もちろん、OneNoteのページをプリントすることができる。

OneNoteからプリントアウトをする様子OneNoteのページサイズをA4などとしておけば、A4サイズの用紙ピッタリにプリントすることも可能になる。写真はそうしなかったケースで、2ページ目に3ページ目の頭が入っちゃってますな別途アドインをインストールすれば、OneNoteのページなどをPDFやXPSといった形式で書き出せる

 ちなみに、OneNoteのページは独自形式のファイルで保存されるが、単一ファイルのWebページ形式やWORDファイルとしても書き出せる。また、アドインをインストールすれば、PDFやXPS形式としても書き出せる。

 OneNoteにはまだまだイロイロな機能や利用法があるが、良いのはホントにノート的に自由に使えるトコロですな。好き勝手使ってヨシのツールであり、書けるし描けるし貼り込みまくれる自由度/柔軟さが実用性に直結している。

 一方、ミョーに多機能過ぎという側面もあり、膨大なツールアイコンやメニュー表示が煩雑だと感じられたりも。多数の付加的機能、使う人には有り難いのかもしれないが、な~んかインターフェースの見栄え的複雑さにつながっているような気もする。

 とは言っても、上記で紹介したような使い方なら、誰でも即デキまくりの平易さはある。また、書いたり描いたりコピペしたり編集したりで十分役立つので、無理矢理使いこなす必要もなさそう。てか、とりあえず使えば、身の回りのデジタル情報関連の困り事や面倒がいくつか減ると思われるので、ゼヒ一度、試用版をお試しあれ。

2009/7/27 12:04