ビデオチャットを楽しくする“効果”「Microsoft LifeCam Cinema」

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


Microsoft LifeCam Cinemaを試用

 2009年10月2日に発売予定のMicrosoft LifeCam Cinema。俺的にかなり興味深い製品だと感じたのでチョイとお借りしてみた。720pのHD画質に対応した高画質Webカメラですな。

マイクロソフトのMicrosoft LifeCam Cinema。USB接続のWebカメラで、720pのHD動画や有効画素数500万相当の静止画を撮影できる。標準価格は8400円

 Microsoft LifeCam Cinema(以下、LifeCam Cinema)に興味を持ったのは、非常にコンパクトで汎用性が高そうなのに加え、720pのHD動画(1280×720ピクセル)の撮影ができるから。最近、YouTubeに動画なんかをUPしてみようかニャとか思ってるんですけど、そういう用途には特に良さげ。

 また、画角がけっこーワイドなことも。近くに設置しても画面が狭いという印象がなさそうだ。加えて、AF(自動ピント合わせ)機構を持ち、さらに内蔵マイクにはノイズキャンセリング機能を搭載している。撮れる画像についても、ハードウェア的な機構についても、いろいろと魅力があるなぁと感じたわけだ。

 てなわけで以降、LifeCam Cinemaの機能や使用感について書いてみたい。なお、LifeCam Cinemaの詳細についてはマイクロソフトの製品紹介ページをご覧いただきたい。

扱いやすいハードウェア

 まず、本体をイジって感じたのは、小ささと質感。サイズは約53×25×98mmで、質量は約94g。後述の台座部ベースによりUSBケーブルをまとめられる件なども含めると、ほぼポケッタブルと言えそうだ。また、カメラ部はアルミ製で高級感アリ。

コンパクトなWebカメラだ本体はアルミ製で高級感があるガラス製レンズを採用しているとのこと

 実際に使い始めてみて良かったのは、設置の自由度の高さだ。LifeCam Cinema本体下部に台座&ベースがあるんですけど、このベースがフレキシブル。カメラを机上などにポンと置くことも、液晶パネル上部などにセットすることもできる。ツイデに、本体から伸びるUSBケーブルをまとめるクリップとしても使えたりする。

カメラ下部にこのようなベースが付いている。ベースはフレキシブルで、キャタピラのように形状を変えられるこんなふうに机上への設置も現実的。ベースはわりと自由なカタチに変形でき、ベース自体はラバーコートされているので滑りにくいどんな厚みの液晶画面のノートPCにでもシックリとセット可能と思われる。カメラ部は上下の振りに加え、360度回転させられる
デスクトップPC用のパネル面が厚いディスプレイにも、このようにセットできる。USBケーブルは細身でしなやかなので、カメラ本体がケーブルに引っ張られる感じは少ないUSBケーブルにはこのような樹脂製クリップが付いていて、この部分を使ってケーブルをまとめられるフレキシブルなベース部分もUSBケーブルを束ねるのに使えますな。ちなみにUSBケーブルの長さは約180cmある

 全体的に扱いやすさが多々ありますな。個人的にはUSBケーブルの細さ&しなやかさ、ベース部の(ちょっと斬新な)フレキシビリティが気に入れた。外観的にも機構的にもシンプルなので、これなら常にディスプレイ上部にセットしておいてもイイかな、てな気にも。

画質的にはどーなのか?

 お次は画質面。前述のとおり、LifeCam Cinemaは720pのHD画質(1280×720ピクセル)で動画を撮れて、500万画素相当の静止画(2880×1620ピクセル)の静止画を撮影できる。もちろん、その解像度以下の動画/静止画も撮影可能だ。

 なお、LifeCam Cinemaでの撮影にはMicrosoft LifeCamソフトウェアを使用する。また、Microsoft Live Messenger、Microsoft Office Communicator、Yahoo! メッセンジャー、SkypeからもLifeCam Cinemaを利用できる。

Microsoft LifeCamソフトウェアの表示例。シンプルなWebカメラ用ユーティリティだ。ワンクリックで動画/静止画の撮影ができ、音声のみの録音もできる画面右の青いボタンをクリックすると、撮影設定やカメラのコントロールを行える
Skypeをはじめとするメッセンジャー系ソフトからもLifeCam Cinemaを利用できる

 LifeCam Cinemaで撮影可能な動画/静止画の解像度(ピクセル)は、160×120、320×240、424×240、640×360、800×448、960×544、1280×720となる。160×120と320×240以外はワイドになるわけですな。また、静止画のみ2880×1620ピクセルで撮影可能だ。

160×120ピクセルで表示中の様子。クッキリはしているが、画質を評価できるピクセルサイズじゃないカモ320×240ピクセルで表示中。メッセンジャーなどではよく使われがちなピクセルサイズだが、このサイズの表示だとLifeCam Cinemaが本来持つ画質が発揮されていないような……424×240ピクセル。320×240ピクセルまでは4:3のアスペクト比だが、この解像度以上は16:9のワイドとなる。ワイドだと左右の画角が広がる。ただし、上下の画角は4:3のときのほうが広い
640×360ピクセル。このあたりのピクセル数から、LifeCam Cinemaの画質の良さが見えてくる感じ!?800×448ピクセル。全て蛍光灯下での撮影だが、発色にも大きな問題はないようだ
960×544ピクセル。徐々にディテイルの精細さが際立ってくる
動画の最大撮影サイズとなる1280×720ピクセルで表示中の様子。Webカメラでここまで撮れれば十分オーケーな気が!!

 画質は、上記のキャプチャ画像のとおり。拙者的結論を言えば、Webカメラにしては十二分に高画質だと感じられる。快適に本を読める程度の明るさがあれば、クッキリ感&透明感アリの画像が得られる。

 あと、やや暗めの場所でも比較的に鮮明な画像が得られるという印象もある。拙宅仕事場は本を読むにはチト暗い的な照明で、チョイと以前のWebカメラでは色がヘンかつノイズ多々の画像しか得られなかった。が、LifeCam Cinemaだとわりとマトモな画像が。

 さらに、この照明も消し、ディスプレイの明るさ(24.1型のデュアルディスプレイで、片側がテキストエディタとMicrosoft LifeCamソフトウェアを表示した黒バック、片側が背面が白のウェブページを表示)だけで撮ってみたが、それでもどうにか使える感じ。ただ、そこまで暗いとAFが追従してくれないこともあるのだが。

白熱球で40~60ワット相当の蛍光灯1灯の環境下で撮影している様子。本を読むにはチト暗い的な明るさだが、まずまずフツーの画質が得られた照明は消し、ディスプレイの明るさのみで撮影している様子。不気味な感じにはなるものの、画質自体はそう悪くない印象となった十分に本を読める明るさで撮影するとこんな感じ。画質の調整でクリアフレームをオンにすると、やや暗いような状況下でも画像内の各エッジが立ってクリアに見える。通常は[自動]に設定すればいいだろう

 あと、Microsoft LifeCamソフトウェアの設定で、クリアフレーム設定ってのがあるが、コレをオンもしくは自動にすると、明らかに見かけ上の画質が向上する感じ。ノイズが減り、画像内各部の輪郭が立つので、クリアに見えるようになる。

 それから、画角だが、Webカメラとしては広めで、つまりより広範囲を一画面内に収められるのは快適。ノートPCなんかで使う場合はなおさらだろう。加えて、AFによるピント合わせもまずまず良好。レンズ面から数センチ程度の位置でも合焦するので、カメラに近づき過ぎるとピンボケになる的なコトを心配せずに済むだろう。

ビデオチャットを楽しくする“効果”

 Microsoft LifeCamソフトウェアにはちょっと愉快な機能もある。映っているユーザーの顔を認識し、画像の上にさまざまなグラフィックを重ねたり、顔を中心として映像効果を付加したりするものだ。以下、これらを具体的な画像で見てみよう(注:動画再生にはWindows Media Playerなど、Windows Media Video形式に対応した動画再生プレーヤーが必要です)。

Microsoft LifeCamソフトウェアで“効果”を設定したところ。この画像は顔の上にサングラスを重ねるというものだ。サングラスなどの映像効果は、リアルタイムで顔を追従して重なる
【動画】クリックで再生
顔を認識し、顔自体をデフォルメしてしまう効果。それぞれ切り替えて表示している


【動画】クリックで再生
空間を変形させる効果。これも切り替えつつの表示


【動画】クリックで再生
顔以外の背景をボカしてしまう効果


【動画】クリックで再生
顔に対してさまざまなグラフィックを付加する効果。切り替えつつ表示している


【動画】クリックで再生
画像全体に対する特殊エフェクトの効果。切り替えながら表示している

 てな感じ。拙者の場合、ヒゲ面だからか、正しく顔認識されることは多いものの、顔が斜めに認識されてサングラスも斜め、みたいなことも少なくない。なお、これらの効果はメッセンジャー系のソフトでも利用できる。
 ただ、こういった映像効果に関しては、ロジクールのQcamなどで使うQcamソフトウェアのほうが洗練されているしエフェクトの種類も多い。ので、ぶっちゃけた話、そういうオモシロがりかたをしたいなら、ロジクールのWebカメラを選んだほうがいいだろう。

 さておき、このLifeCam Cinema、扱いやすさや画角の広さ、それから良好な画質など、パソコンに手っ取り早く動画を取り込んだりするには非常に快適だと感じた。拙者的には、やっぱり720pのHD動画を撮って、そのままYouTubeなんかにアップロードするのに向くかな、と。

 かなり前述となるが、内蔵マイクのノイズキャンセリング性能もわりと高く、エアコンや換気扇やPCのファンの音など、ちょっとした雑音があっても気にせず動画を撮れる──撮影後の音声処理に手間がかからないあたりも好印象だ。

 ちなみに、LifeCam Cinemaで撮れる動画は.WMV形式。編集する場合、例えばトムソン・カノープスのEDIUS NeoEDIUS Pro 5だと比較的に容易に編集できるだろう。EDIUSの場合、、編集結果を.WMV形式で書き出すことも可能だ。……Webカメラで撮った720p HD動画を編集するってのはレアケースかもしれないけどネ。

 てなわけで、フツーにも使えるし、ちょっとキレイな絵も撮れるし、扱いやすくてカッコイイWebカメラが欲しい、てな人はこのLifeCam Cinemaをチェックしてみると楽しいかもしんない。

2009/9/28 11:56