気楽にiPodを楽しめるスピーカー3機種

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


気楽にiPodを楽しめるスピーカー3機種

 今回のネタはiPod向けスピーカーを3機種。それぞれ、ロジクールのPortable Speaker S125iRechargeable Speaker S315i、それからヤマハのポータブルプレーヤードックPDX-50だ。

ロジクールのPortable Speaker S125i。ACアダプタでも単三形電池×4本でも使える小型のiPod用スピーカーで、実勢価格は5500円前後といったところ。ロジクールのRechargeable Speaker S315i。ACアダプタおよび内蔵リチウムイオン二次電池で使えるiPod用スピーカー。実勢価格は9500円前後。ヤマハのポータブルプレーヤードックPDX-50。本体とiPodを無線接続できるワイヤレススピーカー。実勢価格は2万6000円前後。

 ロジクールの2機種は2009年10月30日に発売されたスピーカーで、どちらもポータブルタイプ。単三形電池や内蔵リチウムイオン二次電池で動作し、小型でシンプルな本体が特徴的。写真では大きく見えるかもしれないが、両機種ともネットブック未満の容積という印象であり比較的に軽量なので持ち歩きも現実的だ。

 ヤマハのポータブルプレーヤードックPDX-50は据え置き型のiPod用スピーカーで、本体とiPodを無線接続して音楽を再生できるという点が最大の特徴。2008年末に発売されたやや古い機種で、俺も2台使用中だが、その利便はまだまだ現役であり無線機能も先端的だ。

 てなわけで、以降これら3機種のiPod向けスピーカーの使用感などを書いてみたい。

小粒で使い回しの利くPortable Speaker S125i

 まずはロジクールのPortable Speaker S125i(以下、S125i)。持ち運びに適したサイズのステレオスピーカーで、対応iPodはDockコネクタ付きのもの(第四世代以降)となる。

Dockコネクタ付きiPod(第四世代以降)に対応。このように本体上部にiPodなどをセットして音楽を聴ける。ドックコネクタ部。使用するiPodに付属のユニバーサルDockアダプタを使うことで、各種iPodをセットできる。iPod classic 80GBなどに対応するDockアダプタはあらかじめ付属している。操作部はシンプル。電源、音量調節、ベースブーストボタンが並ぶ。音量調節は本体のボタンでしか行えない。
背面にはACアダプタ用コネクタと予備入力端子(3.5mmステレオミニジャック)がある。予備入力を使えばiPod以外のオーディオからの音も再生できる。単三形電池×4本でも使える。本体重量は400g。電池込みでも軽量という印象ですな。本体サイズは幅195×高さ85×奥行き90mm。コロッとしているのでバッグにスッポリというイメージではないが、携帯は容易だ。

 てな感じの小型スピーカーだが、拙者的結論から言えば、手近に置いてiPodのサウンドを楽しむにはヒジョーに手が出しやすい一台だと感じた。

 まず音質だが、ラジカセっていうかスピーカー付きCDプレイヤー的な、音楽をじっくりと堪能するには力不足という印象になる。ただ、ベースブーストボタンを押すと低音が増強され、その力不足感がやや払拭される。ので、BGM的にならまずまず楽しめる音質だと思う。

 とか一応書いてみたが、このサイズ&このポータビリティのスピーカーとしてはかなりイイ音が出てるんじゃないかとも思う。たとえば後述のRechargeable Speaker S315iやPDX-50と聴き比べると、明らかに「お値段の差は音質のさかニャ」的な印象になるが、単体で聴けば「音が悪い」という印象にまでは至らない。

 それとこのS125i、音モノとしてけっこー活躍してくれるんじゃないか、と。

 てのはまず、外部入力端子(予備入力端子)があること。iPod以外のプレイヤーを(3.5mmステレオミニジャックケーブル経由で)つなげば汎用スピーカーとして使える。ちなみにドックコネクタとは排他利用で、ドックコネクタ(iPod)からの音が優先的に出力されるようだ。

 もうひとつ、iPodへの充電機能があること。本体にACアダプタが接続されているときはドックコネクタ部にセットしたiPodが充電されるんですな。

 そんな機能があるので、たとえばPCと接続してPC用スピーカーとして使い、ときにはiPodを載せて充電し、またときには持ち出してポータブルスピーカーとして使う、みたいな。

 あと持ち運びに関して、サイズや質量には確かにポータビリティがあるものの、本体がややずんぐりしているので、バッグなどへの収納性はイマイチかもしれない。ポータビリティにおける実使用感としては、後述のRechargeable Speaker S315iのほーがイイかもしんないと思った拙者である。

 ともあれ、ちょっとiPodを載せて使える手軽なスピーカーという点ではS125iは実用的な感じ。価格的にも手を出しやすいし、外部入力もあるのでツブシが利く。電池駆動で最大10時間使えたりする点も含め、自室、リビング、寝室、ベランダ、みたいな感じで家のなかで汎用的に使い回せるスピーカーとしてなかなかイケてるんではないかと思う。

手軽な実力派、Rechargeable Speaker S315i

 次にRechargeable Speaker S315i(以下、S315i)。リチウムイオン二次電池を内蔵するポータブル系ステレオスピーカーで、対応iPodはS125iと同様にDockコネクタ付きのもの(第四世代以降)となる。外部入力対応やiPod充電対応という点でもS125iと同様の仕様になっている。

このようにiPodをセットできる。対応iPodはドックコネクタ付き(第四世代以降)のものだが、ユニバーサルDockアダプタを使用せずにiPodを直挿しできる。写真ではわからないが、ドックコネクタ部が前後に可動する。また上部にiPodを支える構造があるので、iPodなどをそのままコネクタに挿しても不安がない。コネクタ部は収納式で、使用時(コネクタにiPodを載せた状態)では本体を支える脚として機能する。
コネクタ部はこのように収納できる。収納時は表面がフラットに、裏面の脚も格納された状態になる。不使用時っていうか持ち運び時は、表面も裏面もこんなふうにフラットになるわけですな。収納時のサイズは幅274×高さ131×厚み47mmで、質量は670g。薄めなので、バッグなどへの収納感はS125iより良いかも!?
S315iの場合、電源以外の操作はiPodから直接行う。ただ、音量などの操作は本体のボタンでも行える。ボタンは全て本体裏面にある。本体前面には、裏面のボタン類を操作しやすいよう、その位置を示すシルク印刷がある。背面には電源コネクタおよび3.5mmステレオミニジャック対応の予備入力(外部入力)端子がある。

 てな感じのS315i。実勢価格としては前述のS125iより4000円くらい高価なのだが、そのぶん(!?)S315iのほうが携帯感/使用感/音質が良いように感じた。

 まず音質だが、S125iよりも低音/高音ともに繊細に出ていると思う。若干、ドンシャリな傾向があるようにも思えるが、ボーカルもまずまずよく聞こえる。個人的にはステレオ感がもう少し欲しいところだが、スピーカー間の距離が短いのでしょうがないかも。

 ちなみにS315i、ACアダプタでも使えるが、内蔵のリチウムイオン二次電池では、通常モードで最長10時間、パワーセービングモードで最長20時間の連続再生が可能となっている。ただし、パワーセービングモードにすると低音が少々痩せ、全体の音量も落ち、ちょっとサウンドが薄っぺらくなる気がしたりも。

 あとコレ、機構的によくできてる感じ。とくにドックコネクタ部ですな。上記の写真のとおり、使用時は出して、不使用時は収納してフラットになるシクミ。また、コネクタへiPodを直挿ししても不安がないこと───コネクタ部が可動で、iPodを支える構造も実用的だ。ついでに、前面の白い部分(サランネットにあたる部分)は意外なほど強度のあるパンチングメタルなので、バッグに入れての持ち運び時も安心感がある。

 ほか、個人的な好みにはなるが、ルックスもS125iより高級感&落ち着きがあって好印象。iPodをセットすると充電される点、外部入力端子がある点はS125iと同様、汎用性もあるというわけだ。

 実勢価格からすると「かなりイイ音!!」とまでは言えないが、好きな曲のディテイルを楽しめるくらいの実力があるし、ACアダプタでも内蔵電池でも使えつつポータビリティーも高い。使用感も良好なので、個人的にはS125iよりもコチラのS315iのほーがオススメな気分である。

楽勝で音もいいポータブルプレーヤードックPDX-50

 最後にヤマハのポータブルプレーヤードックPDX-50(以下、PDX-50)。発売から1年以上経過している製品であり、上記のS125iやS315iとは方向性も価格もかなり違う製品なんだが、これがかなり快適で便利なのでiPodつながりでご紹介。

ポータブルプレーヤードックPDX-50。専用トランスミッタを使い、iPodと本体を無線接続して再生するスピーカーだ。無線方式には同社独自のAirWiredを採用している。本体には2つのボタン(音量調整)しかない。基本的には全ての操作をiPod側で行うので、このボタンも使わなくてOK。上に見える出っ張りは無線のレシーバ部。本体にあるコネクタはACアダプタ端子のみ。端子左側のフタを開くと、ワイヤレス送受信チャンネル(3チャンネル)設定スイッチにアクセスできる。チャンネル設定は本体/トランスミッタの両方で合わせ、混信などを回避できる。
付属のトランスミッタ。これをiPodに装着すると、自動的にトランスミッタとPDX-50が無線接続される。この状態でiPod→PDX-50に音楽が無線で伝わる。iPodにトランスミッタを装着した状態。右下のリング状のものは充電台。この台がまたナカナカ便利なのだ。iPodにトランスミッタを装着した状態で充電器にセットすると、iPodが充電される。もちろんこの状態でも音楽を聴ける。

 といった感じのPDX-50。まずはその使い方の簡便さがイカシてる。iPodにトランスミッタを装着するだけなんですな。無線で音楽を飛ばして再生するスピーカーなんだが、無線接続の手順的なモノは不要ってのが良い。

 操作は全てiPod上で行う。PDX-50の電源のオンオフやボリュームの上げ下げも全てiPod上で──つまり、ふだんiPodを使っているのと同様に、トランスミッタ装着状態のiPodを操作すれば、PDX-50スピーカー部から音楽が流れたりするというわけだ。

 それから、スピーカーの音質だが、個人的には「ヤマハにしてはミョーに低音増強傾向が」とは思うものの、十分に音楽を鑑賞できるクオリティだと感じる。てかPDX-50、人気機種だったりして、店頭で実機に触れられる可能性が高い。その音質はぜひ一度店頭で確かめて欲しいところだ。

 あと、無線なのにサウンドの遅延がほとんど感じられない点も良い。たとえばiPod TouchとかiPhoneの楽器系アプリ(ピアノとか弦楽器とか)を使った場合、画面をタッチした瞬間に自然に音が出るという印象になる。一方、外付けのBluetoothアダプタで同様のことをすると、やはり、ちょっと、音が出るタイミングが遅れがち。

 総じて快適なのは、室内でiPodを使うとき、iPodにトランスミッタを装着しているだけで済むことですな。スピーカー上での操作は一切不要。電源も音量調整も全てiPod操作のみでPDX-50が自動的に反応してくれるのだ。この点、やはりヒッジョーなる開放感がある。

 残念なのは、けっこーイイ音が出るスピーカーなのに、外部入力端子一切ナシという点。iPod専用ってのは、音質的にもちょっとモッタイナイという気がする。

 とは言っても、実用性と音質を兼ね備えたiPod向け無線接続スピーカーシステムとしてはオンリーワンの存在。俺とかその使いやすさから2台を購入し、仕事部屋とリビングで使っているんだが、さておき、その音質と使い勝手をぜひ一度実機で体験してみて欲しい。

2009/11/16 06:00