USB機器の活用幅をチョ~広げる「N-TRANSFER」

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


USB機器の活用幅をチョ~広げるN-TRANSFER

 今回のブツはNTT西日本/NTT東日本から発売されたクラウド対応デバイスサーバーことN-TRANSFER。「クラウド」「デバイス」「サーバー」とかいった言葉が並ぶと面倒そうで眠くなるっつー人は少なくないと聞くっていうか俺もそうですが、このN-TRANSFER、非常にシンプルにUSB機器の使い勝手~活用幅をスギャッと広げてくれる冴えた製品なのである。

NTT西日本/NTT東日本のN-TRANSFER。前面にはUSBポートが2つあるが、ユーザーが汎用できるのは1ポートのみN-TRANSFERの背面。ACアダプタジャックとLAN(10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T)ポートがあるN-TRANSFERのサイズは60×95×28mmで本体質量は95g。小さな箱なのであった

 N-TRANSFERは大きく分けて3つの機能を持つ。それぞれ、クラウドに直接ファイルを送るCLOUD-TRANSFER機能、N-TRANSFER間でデータを直接送信するDATA-TRANSFER機能、プリンタなどを共有するためのUSB-TRANSFER機能である。

 たとえばDATA-TRANSFER機能では、1組(2台)のN-TRANSFERを使い、各種ファイルをコチラのUSBメモリからアチラのUSBメモリへと転送することができる。パソコンを使うことなくN-TRANSFERのみ(インターネット経由)でファイルを送れちゃうのがポイントですな。

DATA-TRANSFER機能の利用イメージ。N-TRANSFERがUSBメモリのホスト/ネット端末となり、パソコンを使わずインターネット経由でファイルを転送できるパソコンを使わず、USBメモリ内のファイルを、相手側のUSBメモリにコピーできるんですな。ただしN-TRANSFERが2台必要になるUSBメモリのみならず、各種カードリーダー&各種メモリカードでも同様のことを行える。大容量ファイルの転送をサクッとこなせたりする

 それからUSB-TRANSFER機能。これを使うと、たとえば一般的なUSB接続プリンタをLAN経由で共有可能なネットワークプリンタとして使えるようになる。USB接続の外付けHDDをつなげば、単なるUSB接続HDDをLAN上で共有───つまりはNAS的に活用することができる。

USB-TRANSFER機能の利用イメージ。N-TRANSFERを使うと、LAN対応のプリンタやNASを買わなくても、一般的なUSB接続プリンタ/HDDをLAN経由で共有できるN-TRANSFERにプリンタを接続すれば、LAN経由でプリンタへアクセスできる。1台のプリンタをオフィスのメンバーや家族で共用できるというわけだUSB接続の外付けHDDをつなげば、NASやネットワークサーバーがなくてもLAN上のHDDを共有できる

 そしてCLOUD-TRANSFER機能。一口に言えば、パソコンを使わずにクラウドにファイルを転送しちゃう機能なんだが、N-TRANSFERの真骨頂とも言える便利機能なので、以降、このCLOUD-TRANSFER機能について見ていきたい。

 が、とりあえずCLOUD-TRANSFER機能に対する拙者的印象を書いちゃうと、Evernoteを多用する人、さらにEvernoteへ転送するファイルをScanSnapとかで作っている人には、「むむむ!!」or「ギギギ!!」てな感じで刺さると思われる。2010年10月現在の実勢価格が7000円前後ってあたりも刺さりやすい一要素かもしれない。

USB機器からEvernoteへ直接アップロード!!

 CLOUD-TRANSFER機能は、N-TRANSFERによりスキャンデータやファイルをクラウドサービスへ直接転送できるというものだ。現在のところ、このCLOUD-TRANSFER機能に対応するクラウドサービスはEvernoteで、対応USB機器はエプソンのColorio(インクジェットプリンタ複合機)とPFUのScanSnap(ドキュメントスキャナ)などとなる。ScanSnapとColorioの具体的な対応機種一覧はココに。

 要するに、ScanSnapとN-TRANSFERを接続してスキャンすると、スキャン結果がEvernoteに自動送信される。PC要らずでEvernoteへファイルを送れるわけですな。ColorioとN-TRANSFERを接続して(Colorioのスキャン機能を使って)も同様。PC要らずでEvernoteへのアップロードを行えるというわけだ。

CLOUD-TRANSFER機能の利用イメージ。スキャン~Evernoteへのファイル転送をPC不要で行える

 たとえばEvernoteへメモ類をスキャンしてアップロードする場合、これまではパソコン起動→ScanSnapなどでスキャン→PC上に得られたファイルをEvernoteへアップロード、という手順だった。

 が、N-TRANSFERの場合、ScanSnapなどとN-TRANSFERを接続してスキャンするだけで全部完了。Evernoteへのアクセスやアップロードに関わるファイル操作はN-TRANSFERが引き受けてくれるというイメージであり、なんかチョー楽勝な予感!! てなわけで早速使ってみることに!!

設定はスムーズ、USB機器認識も問題なさげ

 N-TRANSFERを使用開始するには、まずユーザーアカウント登録~マイページ作成を行う必要がある。

 と言っても手順はシンプルで、専用ウェブサイトにアクセスし、N-TRANSFERのシリアル番号を入れたり使用USB機器を登録したりEvernoteのアカウント情報を入力する程度。この作業は携帯電話からでもPCからでも行えるが、以下にPCから設定する場合の手順をご参考までに掲載してみたい。

ウェブブラウザで専用ウェブページを開くと、そこからN-TRANSFERの設定を始められる。まずは[アカウントを作成する]からですなひととおり読んで同意するわけですな。同意しないと使い始められないとゆーわけですな各項目を入力するが、[メールアドレス(ID)]はメールの着信を即確認できてウェブサイトにもアクセスできる携帯電話やスマートフォンのものでないと不便
アカウント情報を入力したあとに確認メールが届くが、そのメールにあるURLにアクセスしないとアカウント作成が完了しない確認メール上のURLを開くと、アカウント作成が完了する。引き続き、N-TRANSFERでどんなUSB機器やサービスを使うかなどを設定する現時点で選べるサービスはこのふたつのみだった。ちなみにUSB-TRANSFER機能のみを使う場合、ここでのアカウント作成は必要ない
LANに接続したN-TRANSFERにScanSnapをつないだところ。ScanSnapでスキャンした画像をEvernoteへ直接アップロードするのだScanSnapのスキャン設定も行えるこのように設定してみた
N-TRANSFERにEvernoteへのアクセスを任せるので、もちろんEvernoteのアカウントをあらかじめ入力する必要があるCLOUD-TRANSFER機能で使うUSB機器としてデジカメを設定することもできたさらに接続してみると、USBメモリやUSBカードリーダなどのUSB機器を設定することができた。また、実際にCLOUD-TRANSFER機能で使えた

 てな感じ。付属の説明書にもわかりやすい設定手順が示されているので、恐らく誰でも迷わずに設定していけると思われる。

PC要らずでお手軽簡単、ただし送れるのは画像のみ

 設定が済んだ瞬間、N-TRANSFERに接続されたScanSnapにドキュメントをスキャンさせた数十秒後、Evernoteを確認してビックリ!! スキャンしたドキュメントがEvernote上に現れていたのダ!!

 って、そのためのN-TRANSFER/CLOUD-TRANSFER機能なんだが、これまで、ScanSnapでスキャンして得られたファイルをEvernote for Windows(EvernoteのWindows用クライアント)へドロップするなどしていた手数から考えると、スキャンだけで作業終了というのはインパクトが大きい。てか、スゲ~く、ラク♪

 ただし、ScanSnap+N-TRANSFERでのスキャン結果は、JPEG画像となる。ScanSnapで複数枚ドキュメントをスキャン→EvernoteへPDFファイルを送信、ということはデキない。ので、複数枚のドキュメントをスキャンすると、その枚数分のJPEG画像がEvernote上に現れることになる。

 ScanSnap以外のUSB機器も試してみたが、デジカメ、USBメモリ、USB接続のカードリーダ+メモリカードなど、手持ちの各機器が無難に接続できた。また、デジカメやメモリカードに入っていた画像もサクッとEvernoteへと自動的にアップロードされた。デジカメやメモリカードをN-TRANSFERにつなぐだけでEvernoteへ画像が自動アップロードされるわけで、これもまたPC要らず。状況によってはエラく便利に使えるかもしれない。

 ただし、こういったUSB機器からのアップロードも、やはり画像のみ(JPEG/PNG/GIF)となる。いろいろなファイルを扱いまくれるEvernoteなので、メモリカードなどに入れた各種ファイルもEvernoteに自動アップロードできたらさらに便利だと思われる。

ScanSnapとN-TRANSFERを使って複数枚のドキュメントをEvernoteへ自動アップロードさせた。連続スキャンは可能だが、アップロード結果はこのように各ページがバラバラになる。また、各ページはJPEGファイルとなるカードリーダとSDメモリカードをN-TRANSFERにつなげてEvernoteへアップロード。扱える/アップロードされるファイルは画像のみ(JPEG/PNG/GIF)となる

 ちなみに、ScanSnapからのアップロードは基本的に全自動で行われる。デジカメやメモリカードなどの(リムーバブルディスクの)場合、自動でアップロードするか確認してからアップロードさせるかを設定できる。また、アップロードする画像形式はJPEG/PNG/GIFだが、この設定を変更してJPEGのみなどとすることもできる。

 USBメモリなどをN-TRANSFERにつないだ場合、メモリ内の全該当ファイルをアップロードするため、上記のような画像タイプ指定や確認操作がオプションとして用意されているのだと思われる。なお、確認操作はメールを軸に行われ、具体的には以下のようなメールおよび操作となる(iPhone 4を確認メール受信端末とした場合)。

ScanSnap→Evernoteへの自動アップロードは基本的には自動。アップロードが完了し次第このような確認メールが送られてくるデジカメやメモリカードなどのファイルをアップロードする場合、アップロード前の確認メールを送らせることができるメールに従ってアップロード許可のための手続きを行うわけですな
メールのURLからN-TRANSFER専用サイトにアクセス。N-TRANSFERアカウント設定時に登録したメールアドレスとパスワードを入力してログインするログイン後に表示される画面。ここで[はい]を選べばアップロードが行われるこれらの確認~許可手続きの有無やアップロードの対象となる画像ファイルタイプは、N-TRANSFERのマイページで設定できる

 てな感じのN-TRANSFER。いろいろな機能があるわけだが、とりわけEvernoteユーザーでありかつScanSnapかColorioユーザーだったりすると、パソコン不要でEvernoteを活用できるという実用性がやはり魅力的だと感じられる。

 また、各機能をじっくり見つつ考えると「確かにコレってN-TRANSFER以外だとできない/スゴくお金がかかる」という利便がいくつもある。アイデア次第、状況次第では、生活や業務の一部をガラリと変えてくれるかもしれない……的な汎用性が見えてくる。

 ので、興味のある方は一度ビシッと調べてみるのが吉かと。ま、実機は単なる小箱なので、ココから説明書類をダウンロードして一通り読むのがいいかもしんない。



2010/10/18 06:00