HP ENVY100を衝動買い!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


HP ENVY100を衝動買い

 日本HPのインクジェット複合機、HP ENVY100を衝動的に購入しちまいました。思わずポチッと買った大きな理由は2つ、そのサイズ&形状と、アップルのAirPrintに対応しているということですな。

日本HPのHP ENVY100。無線LAN接続可能なインクジェットプリンタで、スキャン/コピーも可能な複合機だ。HP Directplus価格は2万9820円。

 顛末としては、2010年11月23日未明にアップルのiPhone/iPad/iPod Touchの最新OSことiOS4.2アップデートがキたわけですけど、間もなく拙者のiPhoneやiPadもiOS4.2にアップデートした。そして新機能をアレコレと見ていた。

 iOS4.2の新機能のうち、ちょぴっと使ってみたい機能としてAirPrintがあった。iPhoneなどにあるドキュメントや写真を、同じLAN内にあるプリンタから出せるという無線印刷機能ですな。プチ便利そうなので早速試……そうとしたら、なーんだ、対応プリンタじゃないとダメなのか。ま、そりゃそうか。

 AirPrint対応プリンタは、2010年12月現在、HP製の一部のもののみとなっているんだが、どんなプリンタがあるのかニャ~的に対応機種群を見ていったら、HP ENVY100を発見。外観を見て「お♪」とか「もしや!?」とか思って詳しく調べたら急激に欲しくなり、思わずポチッとして数日後に入手し(たと思ったら初期不良で「糞がァ!!」と思ったけど翌々日に代替え新品が送られてき)て使ってみたら予想以上にイイ感じだったので、本日ココにレポするゼ!! てな経緯である。

 で、とりあえずの結論から言えば、HP ENVY100はある意味超越的な省スペース仕様であり、ドキュメント印刷が十二分にキレイであり、リビングに置いてもヘンテコ感を醸し出さない意匠などまで含めれば、かなり狙い目感アリ。物理的な質感もフツーの複合機とはかなり違うので、一度実機に触れてみる価値もアリ。

 ともあれ、以降、拙者的観点からHP ENVY100の機能や使用感を見ていきたいと思う。

超薄で平べったくて硬い♪

 結果としては、アップルのAirPrintを試したくてHP ENVY100(以下、ENVY100)を買ったとも言える。のだが、拙者的にはAirPrint対応プリンタとして「買える」のはENVY100のみだったりする。

 前述のとおりAirPrint対応プリンタは現在HP製のみで、具体的な対応機種はこのページの下のほーに示されている。んだが、ENVY100以外はけっこーデカめの複合機。そんなの置く場所ないし。てゅーか置き場所あってもデカい箱って時点で買う気になれない最近の拙者である……のだが、しかし、ENVY100はそれらAirPrint対応プリンタのなかでは突出してコンパクトなのだった。

 ENVY100のサイズは幅427×奥行き336×高さ102mm(質量7.3kg)。スゴいのは高さ。約10cmしかない!! うっす~い♪ このビデオレコーダー的な薄さなら、棚の中段に置けるジャマイカ!! 的な。

 薄さって点だけ見れば、モバイル向けの超コンパクトサイズプリンタことHP Officejet H470のほうが秀逸で、幅340×奥行き163.8×高さ80.5mm(質量2.09kg)と劇的に小型だったりする。が、複合機でありかつ両面印刷にも対応しているのに厚さ約10cmでモバイル機H470の厚さ約8cmに肉薄しちゃってるENVY100は、やはりそーとーな薄型と言えよう。

ENVY100の高さは約10cm。複合機としては異端的な薄さである。給紙/排紙ともフロントからなので、奥行きのある棚になら設置可能と思われる本体上面は真っ平ら。素材はガラスで硬質。スキャナ部を多用しないユーザーなら、この上にモノを置くなどしてENVY100上方空間を有効活用できるぶっちゃけ、カバーは10cmも開けばスキャナ部へ原稿をセットできる。ので、高さ20cm程度の隙間があればフツーにENVY100を設置できちゃうんである

 そしてENVY100の上面は真っ平ら。メーカーは推奨しないし場合によっては禁止するかもしれないが、モノ乗せ放題である。ていうか上面が無意味な曲面だったりしてモノを置けなかったりする複合機よりもずーっと実用性が高い。

 まあスキャナ部を使うときはモノをどかす必要があるんですけどネ。一瞬どかせばいいじゃないスか。上面曲面の複合機はその上部空間がずーっと無駄なスペースになることを考えると、やはりこういうモノの上面は真っ平らなのが正しいと思う。ちなみに、ENVY100の上面はガラス素材。硬くてたわみにくく、質感も見た目も好印象だ。

 既にこの時点でENVY100買う気になっとりました。AirPrintも使える超薄複合機。しかも無線LANで使えるネットワークプリンタ。これを導入してゼヒ古い厚型&USB接続インクジェットプリンタ専用機を排除してゆきたいッ!! てなわけであった。

使いやすく高品位なビジネス向け複合機

 期待大で購入したENVY100。まずフツーに複合機として使ってみたが、これも好印象となった。

 ……というか、以前HPの複合機を使っていたが、その機種はデカいことに加え、プリント時の音が大きく振動も多く、さらにドライバ類がロードされるのが遅いという鬱憤もあって、あまり印象がよくなかった。ので、ENVY100もそーゆートコロはイマイチなのかニャ~的に危惧していたというのが本当のところ。

 が、ENVY100にはそういう難点が非常に少ない。ので、まず「あ~良かった」てな安堵を得たというのが正直な印象だ。また、ソフトウェアの使用感やプリント時の動作などもだいたい満足できた。

 具体的に、まず複合機としての使用感だが、ENVY100本体からでもPCからでもスムーズに操作できて快適ですな。たとえばスキャンする場合、本体のタッチパネル(3.45インチカラータッチスクリーン)の操作で直感的に作業を進めて行ける。PC上からだと、Windows PCならHPデバイスステージというソフトウェアを使っても操作を進められる。このソフトもシンプルでわかりやすく実用的だ。

ENVY100の本体前面には3.45インチのカラータッチスクリーンがある。基本的に本体のタッチ操作か、PCからの遠隔操作で使う。パネルはその角度をある程度変えられて使いやすいですなスキャン操作を進めていく例。ENVY100では、スキャン結果をPC、ENVY100本体に挿したUSBメモリやメモリカードに保存できる。Wi-Fi対応複合機なので、PCへの保存はもちろん無線で行われるスキャンなどの詳細な設定はPCから行うが、ある程度の設定やプレビューなどの操作はENVY100のタッチスクリーン上で行える。直感的に理解できる表示なので、タッチ操作を迷わず行える
PCからの操作は付属ソフトを使う。Windowsマシンの場合は写真のHPデバイスステージを、Macの場合はHP UtilityやHP Scan 3を使う。一昔前のHPプリンタ用ドライバ類よりは軽快に扱える印象があるたとえばスキャンを行う場合。HPデバイスステージからスキャン時の細かな設定を行える。ドキュメント種類別に保存先フォルダを指定することもできるなど、カスタマイズ性も十分に高いこんな感じでプレビューなどしてからのスキャンも可能。各機能設定はシンプルに行えるものの、よく見ると基本的な調整やカスタマイズはしっかり行える。ユーティリティ的コナレ感が高いですな

 てな感じ。個人的な印象ではあるが、HPデバイスステージ、各種デバイス用の統合ユーティリティとしては非常にわかりやすくシンプルなものの、カスタマイズ性がイメージになった。このソフトウェアからなら細かい設定も「やっちゃおうかな」という心意気に。そんな使いやすさがある。

 あとスキャンや印刷のクオリティなんですけど、スキャナー(CISセンサ)の解像度は1200×1200dpi。ビジネス用途に使うなら十分な解像度があると思う。プリントも同様にビジネス用途なら高品位。写真印刷をしてもサービス版~年賀状くらいのサイズ/用途なら十分キレイといった感じ。ま、もっと写真向きのスキャナがあるし、さらにハイクオリティな写真印刷ができるインクジェット機もあるので、ENVY100はビジネス方面によく向くって感じかな、と。

 ENVY100でビジネス系ドキュメントを印刷してみて毎度感じるのは、黒い文字のクリアさですな。これはインクとして黒色だけ顔料系のものを利用しているためで、も~ね、真っ黒かつビシッとエッジの立った印刷がなされるって感じ。結果、すんごい高品位印刷に見える。場合によってはレーザープリンタで印刷したものと見間違うかも。

 ちなみにカラーインクは染料系で3色一体型のカートリッジを採用している。ので、黒×1、カラー×1の2カートリッジを使うわけですな。またカートリッジはヘッド一体型のもので、カートリッジ交換のみでヘッドも交換することになるため、より少ないメンテナンス&故障率で使える。このあたり、HP製プリンタの昔からのメリットを引き継いでますな。

 プリント時の音や振動だが、ハッキリ言っちゃうとキヤノンとかのプリンタのほうがワンランク静かかも。ENVY100はまだ若干振動がある(棚に設置して使うと棚が少し揺れる)し、音も「とても静か」とは言えないレベル。でもまあ「やかましい!!」的なものではないし、隣の部屋から苦情が来るようなものでもないので、とくに大きなストレスとはなっていない。

とりあえずAirPrint

 ENVY100はアップルのAirPrintに対応したプリンタ。ということで早速AirPrintを試してみた。

 AirPrintは、iPhone/iPad/iPod touchから無線LAN経由でプリントアウトするというもの。具体的には、iPhone/iPad/iPod touchが接続しているのと同じ無線LAN内にあるプリンタ(AirPrint対応機種)から、iPhone/iPad/iPod touch上のドキュメントなどをプリントできる。プリントに対応するアプリは、Safari、メール、写真、iBooksなどが主だが、Evernoteなどアップル社以外のアプリも対応しつつあるので、今後プリント可能なアプリが増えるんでしょうな。

 ともあれ、まあ大雑把な話、iPhone/iPad/iPod touchで見ているものならだいたいナンでもプリントできるのがAirPrintだ。Safariなら閲覧しているウェブページをサクッとA4サイズにプリントアウトできたりするし、メールも同様。ともあれ、具体的な手順をちょいと見てみよう。

iPhone 4のSafariでウェブページを表示したところ。リダイレクトを示す[四角+矢印]アイコンをタップすれば印刷できるiOS 4.2からは[プリント]の項目が表示されるようになった。ただしこれはプリントに対応しているアプリのみの表示となる印刷の設定画面。多くのアプリの場合、プリンタの選択、部数、両面印刷するかどうか程度の設定のみ可能となっている設定後に[プリント]ボタンをタップして完了。印刷はバックグラウンドで行われるので、タップ後ほかのアプリを即使える
プリント結果はこんな感じ。まあフツーですフツー。でもiPhone+ENVY100だけでウェブページ印刷ができるのは案外便利~♪ENVY100は両面印刷可能なので、このようにAirPrintを使った両面印刷もできる。急いでいるときにけっこー役立つかも

 てな感じで、ウェブページなんかをサクッと印刷できるわけですな。上記の例ではSafariを使ったが、写真のプリントも可能。

 ……ということは、スクリーンショットも印刷できるわけで、つまりは画面上に表示できているものなら何でもプリント可能……ではあるが、写真アプリからプリントすると用紙サイズが自動的にL判になってしまう。ので、スクリーンショットをプリントすることにあまり大きなメリットはナイですな。ちなみに、Safariやメールなどテキストを主体に扱うアプリからの印刷では、用紙サイズとしてA4が自動選択される。

 対応プリンタさえ使えば、iPhone/iPad/iPod touchからサクッと無線で印刷できるAirPrint、いろいろな利便がありそうで、今後にも期待したい。まずは機種に応じたプリント設定の自由度を上げて欲しい気はする。たとえば[現在表示しているページのみ印刷]とか[○○○%に縮小(拡大)して印刷]とか、印刷プレビューもしたいし、もちろん任意での用紙サイズ設定とかも。そのあたりまでできると、さらにさらにPCを起動しなくて済むシーンが急増するように思う。

スマートフォンからの利用や単体での使用

 ENVY100はPCと接続しないで使う方法がいくつか用意されている、と言うか、PC以外のいろいろなデバイスをプリントソースとして利用することができる。

 具体的な方法として、メールdeプリント(ePrint)アプリdeプリント(Print Apps)がある。メールdeプリントはENVY100にメールを送ればプリントされる機能で、アプリdeプリントはENVY100上で使えるアプリを利用したプリント。両方ともHPが提供するクラウドを利用した機能/サービスだ。

 まずメールdeプリントだが、ENVY100はそれぞれユニークなメールアドレスを持っている。で、そのメアドにファイルを添付したメールを送ると、添付ファイルがメアド主となるENVY100から印刷されるという機能だ。対応(添付すれば印刷される)ファイルの種類はココにあるとおりだが、PDFにWordにExcelにPowerPointにテキストに各種画像にと、なかなか幅広いし、機能としても実用的だと感じる。

 メールdeプリントが実用的なのは、要は「添付ファイルを送付可能ならどんなデバイスからでもプリントできる」ということですな。スマートフォンでもケータイでもPCでもウェブクライアントでも何でもOK。

 1通のメールに添付できるファイルは最大10個もしくは5MB(合計)まで、メール本文の印刷は形式(テキスト/HTMLなど)に関わらず代替えフォントが使われる、PDFはフォント内蔵でないと印刷できない、画像はL判での印刷になるなど制限はあるものの、ファイル添付ができるメール端末からならドレでも印刷できるってのは斬新である。

 実際に試してみたが、まあフツーにスムーズに印刷される。スマートフォンなどでもENVY100をプリンタとして利用できるあたりは実用的。来客などの通信端末内にあるファイルをENVY100から印刷するのも容易(相手にENVY100のメアドを教えればいい)ゆえ、いろいろ利用するシチュエーションがありそうだ。

 ちなみに、ENVY100へメールを送れば添付書類が印刷されるわけだが、じゃあメアド知ってたら誰でも印刷可能? ENVY100のメアドへ大量にスパムが送られてきて、しかもスパムが印刷されちゃうってことは? てな心配もあるが、こういったトラブルを避けるため、あらかじめ登録したアドレスから送られてきたメールしかプリントしないという設定にもできる。

ENVY100はクラウド対応の複合機とも言える。このような専用ページにアクセスし、プリンタの状態などをチェックすることもできるインターネットで自宅のENVY100の様子を見たところ。最近の印刷ジョブやインク残量を見られる。赤丸がデバイス毎のメアドだメールの送信元メールアドレスを登録し、そのメアドから来たもののみ印刷可能な設定にもできる。ENVY100のメアドは変更も可能

 それからアプリdeプリント。これはENVY100上にいろいろなアプリが入っていて、それぞれのアプリから何かを印刷して役立てられるという機能/サービスだ。たとえば数独アプリを起動すれば、難易度をびつつ毎日内容がかわるその日の数独をプリントして遊べる。筆まめOnlineを使えば年賀状印刷が可能。あるいは、ぐるなびやウェザーニュースといったアプリを使えば、グルメスポットやレシピ、天気予報などをプリントできる。

 使用感としては、ENVY100のタッチパネルに触れて操作~印刷するだけでラク。だが、まだアプリが少なく、アプリが持つコンテンツをプリントアウトにつなげさせる力が弱いように感じた。あればあったで使うかもしれないし、使えばまあ楽しかったり役立ったりするアプリdeプリントだが、現時点ではまだ「これなら○○の利用がラクになる」といったようなメリットが見えにくいように感じた。

 といった感じのENVY100。ぶっちゃけた話、拙者においてはアプリdeプリントのみピンと来なかったが、ほかの部分──本体の薄さや形状、動作時の音や振動~プリント/スキャンの品質、それからAirPrint対応やメールdeプリント機能まで、それぞれよく作り込まれた一台だと思う。

 あと「コレでFAX機能付いてたら某プリンタから乗り換えるよ絶対」とかも思いましたヨ。価格的には少し高めではあるが、なかなか満足度の高い複合機なので、ぜひ一度チェックしてみて欲しい。

2010/12/13 06:00