GALAXY Tabで自転車GPSマップ

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


GALAXY Tabで自転車GPSマップ

 しばらく前からGALAXY Tab SC-01Cを使っている拙者。いろいろなアプリを使うが、ウェブブラウザなどと並んで多用するアプリとして「マップ」がある。Android端末に最初から入ってるAndroid OS標準アプリのモバイルGoogleマップですな。

ドコモのGALAXY Tab SC-01C(SAMSUNG製)。約7.0インチ(1024×600ドット)の画面を持つAndroid2.2搭載タブレットだ中央下に見えるのがAndroid OS標準アプリのひとつである「マップ」。Android端末用のGoogleマップ・アプリですなマップを起動した状態。ピンチイン/アウトなどで操作しつつ地図や航空写真を見られる。GPSによる現在位置表示も可能

 GALAXY Tabにおけるマップアプリは、拙者的結論から言って役立ち度がヒッジョーに高い。GALAXY Tabは3G/Wi-Fiでデータ通信が可能で、大容量バッテリーゆえ比較的に長時間使えて、常時携帯が現実的な質量&サイズでありつつ、地図閲覧に向く画面サイズおよび解像度を持つ。

 こういう端末上でGoogleマップが使えると、も~タマラン!! のだが、どんな感じでタマランのかはユーザー各位において異なると思うので、GALAXY Tabでマップアプリの基本的な機能を使っている様子を見てみよう。

GALAXY Tabでマップアプリを使っているところ。これはフツーの地図表示ですな表示レイヤ変更で航空写真を表示可能。都市部なら道路の文字くらいまで細かく見られる地形図も表示可能。等高線の間隔は20m。若干粗めだが、坂道の急さ加減を確認できる
地点を指定すればその場所の情報が得られる。ショップやホテルなどの情報が得られたりももちろんストリートビューも使える。現在位置確認や少し先の様子確認などに使える周辺施設の検索もこのように行える。休憩のためのコーヒーショップ探しとかに便利
地下鉄路線図も表示できる。9都市42路線を表示可能。画像は地形図と組み合わせたところ駅をタップすれば駅名などが表示される。さらにフキダシをタップしていくと……運行時刻情報も。現在位置確認→駅発見→時刻表閲覧までスムーズに見ていける
ナビゲーションも行える。交通機関を利用したナビのほか、徒歩のみのナビも可能交通機関利用のナビ使用例。乗り換えポイントなどをリストアップしてくれる徒歩でのナビ使用例。ほかの方法でのナビ同様、リスト表示も地図表示も可能だ
Labsの実験的なサービスを使えば、マップアプリをさらに便利に使えるようになるLabsのスケールバーを追加した様子。左下(赤矢印のところ)にスケールが現れるLabsの測定を追加した様子。メジャーが現れる。これを使うと区間の距離を測れる

 てな感じで、ものすご~く高機能だが非常に使いやすいマップアプリ。ネット経由で情報を得てくることもあり、ヘタなハンディGPSマップなんかよりも実用性が高かったりするが、さて、これを自転車で使ったらどうかな? と思った拙者である。

 スタパブログにも書いたが、GALAXY Tabを自転車用GPSマップとして使えないだろうか? 的な。これを実際に試してみたので、今回はその使用感などをレポートしてみたい。

自転車用フロントバッグで実装

 まずは、どうやってGALAXY Tabを携行するか? である。

 GALAXY Tab+マップアプリの使用スタイルとしては、ナビゲーションとしては使わない(理由は後述する)ので、いつも画面を閲覧できる必要はない。が、時々立ち止まって(自転車にまたがったまま)地図をサッと参照したい。

 というわけで結論だけ言えば、自転車用フロントバッグ上部にあるマップケースにGALAXY Tabを入れることにした。これなら自転車にまたがったまま地図を閲覧できるし、必要に応じてGALAXY Tabをすぐ取り出せる。また、フロントバッグが適度な緩衝材となって、走行中の振動をGALAXY Tabに伝えにくいと考えた。

使ったフロントバッグはRIXEN & KAULのKT811ディパックボックス。幅26×高さ22×奥行き16cm、質量は800g、容量は8リットル。自転車への取り付け具(KLICKfixアダプター)が付属する。バッグ上部のマップケース(付属品)に、こんな感じでGALAXY Tabが収まる。マップケースは上部のみをホックで固定。下側は固定されていない。GALAXY Tabの安定に問題が出るかも!?自転車への取り付け具となるKLICKfixアダプター部。ハンドルに取り付ければ、ワンタッチでバッグ部を脱着できるようになる。プラスチック製だが堅牢性は十分あると思われる
自転車を前方から見たところ。こんなふうに取り付けられる。8リットルという容量があるので、やや嵩張るものも入る。なお、耐荷重は7kg(KLICKfixアダプター側の上限)となる横から見たところ。斜め? と思われるかもしれないが、KLICKfix採用のバッグはこんな角度で取り付けるのが普通のようだ。角度的にはGALAXY Tabの画面が非常に見やすいマップケースは透明の素材だが、実際にはこのように反射が多くて見づらかったりもする。走行中にマップを参照というのはほぼ無理で、やはり立ち止まって見る必要がある

 こんなふうに自転車に取り付けて走行。で、このスタイルでの使用感の結論を言えば、「手早くGALAXY Tab+マップアプリを使うには悪くない」といった感じだ。走行中に地図表示をチラ見とかいうのは危険である以前に、直射日光下だとマップケースの反射や写り込みで画面表示がほとんど見えない。ので、やはり都度立ち止まって、マップケース部を写り込みがない角度にしつつ、画面を参照することになる。

 それから、フロントバッグ上のGALAXY Tabは若干バタつくことがある。舗装路なら安心できるが、段差や悪路だとちょっと心配。なので、バタつかないようにゴムバンドで補助した。

 あと、たびたびマップアプリを参照する場合は、ほかの方法でGALAXY Tabを携行したほうがいいかもしれない。フロントバッグ上へのセットだと、自転車を止めて、さらにハンドルの上に覆い被さってマップ表示を見るケースが多く、「いちいち面倒」と感じるかもしれない。ハンドルの上に覆い被さるような姿勢になるのは、写り込みを抑えるため。画面角度の自由度が低いので、ユーザー自身が動くのが手っ取り早いんですな。

 全然知らない道を探索しつつ走るようなケースではマップをたびたび参照したくなると思うが、そういう場合、たとえばSEAL LINEブランド各種Map Caseが便利かも。具体的には、これらケースにGALAXY Tabを入れて胸のあたりに吊すようにして携行。そうすれば自転車にまたがった状態で労せず地図表示を参照できるだろう。

こんなふうに使える

 次に、GALAXY Tab+マップアプリが実際にどんなふうに機能するのかを見てみよう。てか、単純に、現在位置がわかり、地図などを参照でき、ストリートビューが使えたりするってだけのコトなんですけど、以下に使用例を写真で並べてみた。

(1)JR青梅駅前に到着(2)東を見るとマンションらしき建物(3)西を見ると道路が
(4)マップアプリを起動。現在位置がわかる(5)現在位置をタップして詳細な情報を表示させる(6)詳細情報表示の人形アイコンがアクティブならストリートビューを使える
(7)ストリートビューで駅を確認(8)マンションも表示された(9)道路側の建物も表示された

 てな感じで機能としてはアッタリマエのコトなんですけど、GPSマップはやっぱり便利。現在位置を確認でき、その周辺地図が見られるので、非常に道に迷いにくくなる。てか基本、迷わなくなる。

 また、言い方としても行為としてもよろしくないんだが、「イイカゲンな走行計画のもと走っても危ういことになりにくいし、行き当たりバッタリなサイクリングってけっこー楽しかったりもする」といったことを感じた。

 たとえば、地元周辺だけどイマイチよく知らない場所を走ろうかな? てなとき、「まあアッチ方面行けばだいたいわかるだろうし、何とかなるだろ」的に出たとこ勝負でサイクリングすることがある。結果、予期せぬ激坂(しかもダンプカー多々)に遭遇でヘトヘトとか、近道のツモリで入り込んだ小道で迷ったとか、脳内マップと現場にズレがあってアサッテの地域に到着したとか、痛い目に遭いがち。

 だが、これまた当然ではあるが、道中で都度GPSマップを利用できれば、そういうトラブルや苦労を大きく抑えられる。また、サイクリングの途中で気分が変わっても、その場で新たな走行ルートをしっかり模索できるあたりはGALAXY Tab+マップアプリの実用性の高さである。

実際にはこんな感じで役立った

 実際にGALAXY Tab+マップアプリをサイクリングで使ってみた。拙者はサイクリング前にけっこーちゃんと地図を見て走行計画を立てるが、今回は敢えてテキトーな計画で。GALAXY Tab+マップアプリに頼る方向で。

 ルートは、自宅から東京都・青梅市のJR青梅駅へ出て、そこから奥多摩のほーには抜けず、小曽木街道を北上し、埼玉県・飯能市へと出るというものだ。走行前日、PCのGoogleマップで大まかな走行ルートを参照した程度の下準備だが、わりとラクそーなルートである。

 とか思ったら青梅駅から小曽木街道に入った瞬間急坂であって消耗したが、その後は下り基調。非常にラクな走行ができてイイ気になっていたら微妙に道がわからなくなった。分岐点で「?」。飯能市に向かうんだが、どちらの分岐に進んでも飯能に行けるっぽい。そこでGALAXY Tab+マップアプリの力を拝借。

むむむ!! 迷い気味!! どちらに行っても飯能市に行けるようだが……GALAXY Tab+マップアプリで現在位置確認&地図参照で進むべき道がわかった一応ストリートビューも使えた。ま、あんまり大きな役立ち方はしないのだが

 てな感じで、ちょっとした迷いを即解消できて便利。てか、この「ちょっとした迷い」の状況で「たぶんコッチ」などと「勘で決める」と、スゲく迷ったりするんですよ拙者の場合。勘が悪いっていうか。GALAXY Tab+マップアプリなら、そんな危うさを完全に無くせてジョリーグッドと言えよう。

 走行中に出てくる好奇心や疑問も解消できたりした。たとえば、走っていて「あ、あそこの公園らしき場所、良さそうだな」とか思ったりする。が、遠くに見える公園だし快調に走っている最中だし、まあ帰宅してから調べるかな、的にスルーしてしまう。実際はスルーしてしばらくしたら公園とかの存在自体忘れちゃうんですけどね。ともあれ、その場で地図を参照できると、そーゆー細かな好奇心や疑問もビシッと処理できるんであった。

サイクリング中、橋の上で一休み下には綺麗な渓流が。釣れそうだニャ~橋の上で「なんて名前の川なのかなぁ?」てな疑問が
そこでGALAXY Tab+マップアプリ!! 現在位置把握成木川という名前らしい!! てなコトが判明するちなみにストリートビューも使えた

 このように、ある種の散策的サイクリングっていうかポタリングなどで、周囲地理に関することを速攻で調べられるのもGALAXY Tab+マップアプリの利便であり楽しさですな。拙者は今後、GALAXY Tabを携行してサイクリングしてフライフィッシングができそうな渓流を開拓しようと思う。

電池の保ちはバッチリだが……

 GPSマップとしてバッチリ使えたGALAXY Tab+マップアプリ。屋外での使用ということで、画面輝度最高に固定して使ったが、電池の保ちは問題無かった。4時間程度走行など行動したが、まだまだたっぷりのバッテリー残量があった。「時々立ち止まって地図を参照するだけ」だったからですな。

 不安要素としてはドコモデータ通信圏外だと使えないこと。住宅がほとんどないエリアとかに行っちゃうと通信できずマップ表示不能で、GALAXY Tabが単なるお荷物になるかもしれない。ので、やはり、使用前に「現地がデータ通信圏内なのかどうか」を確認しておきたいところ。必要に応じてオフラインでも地図を閲覧できるGPSマップアプリや、万が一のための紙地図を用意するのがいいかも。GALAXY Tab+マップアプリに頼りきっちゃうのはマズいってことですな。

 あと、フロントバッグに実装するにしても体に吊すとしても、落車したらGALAXY Tabが壊れる可能性があること。あるいは振動で故障するかもしれない。そのあたりはやはり自己責任で。

 ともあれ、なんと言うか、探索~偵察という冒険気分での未開拓エリアへのサイクリングにおいて、心強い助っ人になってくれそうなGALAXY Tab+マップアプリ。GALAXY Tab(というかAndroid端末)で、道の勾配までバッチリわかる地図サービスことルートラボも使えれば最高なんだが、ルートラボはまだAndroid端末には対応していないようだ。なお、拙者はサイクリング中にiPhone 4を携帯し、あらかじめ設定しておいたルートをルートラボで参照したりもする。

GPSマップでありGPSナビでない理由

 ここまでお読みくださった方で「GPSマップだけ? GPSナビを試さないのはナゼ?」と思われた方もあると思う。ので、ちょっと蛇足だが、ご説明をば。

 拙者的な結論を言えば、自転車にはカーナビのようなGPSナビゲーションシステムはマッチしないと思うのだ。目的地だけ設定すれば、そこまで誘導してくれる「自転車GPSナビ」がいくつかあったりするが、拙者の走り方では役立ってくれにくい。

 結局、拙者は自転車を「目的地まで行くための乗り物」として考えてナイ感じですな。「楽しみながら走るためのもの」で、そうするために目的地が必要になっただけとも言えよう。

 むしろ、通過するルートが非常に大切なのだ。楽しいルートであるべき。楽しくないルートじゃダメなんである。自転車GPSナビが設定した道だとダメなことが少なくない……ていうかダメなことが多い。

 たとえば、爽快な気分でニコニコして走りたいのに、案内されたルートがクルマだらけの国道だったらイヤなのである。あるいは、上り坂で苦しみたくない(あるいは苦しみたい)のに、急坂ばかり(あるいは平坦な道ばかり)のルートじゃダメなのである。

 でも自転車GPSナビにルート探索させると「ユーザーが通りたい道」は考慮してくれないのだ。だが正確な現在位置および周辺地図を参照する必要があるから、自転車GPSナビではなくて、自転車GPSマップなのである。

 ただ、自転車GPSナビを全然使わないわけではない、っていうか使う。が、そこで使うルートは、あらかじめ自分で細かく設定したもの。上記のルートラボなんかでルートを決め、それをiPhone 4で参照しつつ走ったり、ルートデータをGARMINのハンディGPSマップに転送して使ったり。とにかく、ルート設定をGPSナビ任せにすると上記の「好ましくないルートを通らされるハメになる」から、行きたいルートを自分で設定しておいて、現場では「予定のルートから外れないようにするためにナビさせる」というわけだ。

 ……でも、ユーザーの好みを考慮してくれる自転車GPSナビが出てきたら超使うかも!! 坂が好きとか嫌いとか、景色重視とか、自転車のタイプとか、休憩場所の好みとか、そーゆーのまで考慮してくれるなら積極的に使いたいと思うっていうか今スグ買う!! みたいな。

2011/2/28 06:00