RAMマウントでガジェットを自由な位置に保持

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


RAMマウントでガジェットを自由な位置に保持

 今回のネタは米RAM Mounting Systems社RAMマウント。コレ、知ってる人は良く知ってるものの、無縁な人は全然知らないかもしれない、汎用的な固定器具だ。主にはGPSマップや携帯端末の固定用途に使われがちで、平面やパイプなどイロイロなトコロへ自由な向き&角度に端末類を固定できる、という器具なのである。

RAMマウントを使ってデジカメを固定した様子。吸盤の台座(ベースパーツ)を使って平らな面に固定できるRAMマウントの汎用防水ホルダーを使い、携帯電話端末を自転車のハンドルにを固定したところRAMマウントによりクルマのダッシュボードにiPhone 4を固定した様子。これも吸盤台座で固定している

 RAMマウントは拙者の記事などでもポチポチ登場しており、すなわち拙者はRAMマウント愛用者なり。たとえば「ん~この端末をクルマのこの辺にセットしたいなぁ」とか「このGPS便利なんだけど自転車にはどうやって装着すれば?」とか「一時的にこの位置にビデオカメラをこういう向きで固定したい」てなとき、いつもだいたいRAMマウントが大活躍してくれる。

 RAMマウントのように各種機器を汎用的に固定できる器具はいくつかあるが、拙者的にはRAMマウントの堅牢さと頑丈さが気に入っている。壊そうと思ってもそうそう壊れないほど堅牢であり、それゆえ各パーツはそれぞれ一生モノ。パーツを組み合わせて何らかのブツを保持させるが、保持させたときのガッチリ感、安定感は、ほとんど文句ナシというレベルだ。

 てなわけで今回はRAMマウントについて、基本的な使い方から便利なパーツ類あたりまでをご紹介したい。

RAMマウントはパーツを組み合わせて使う

 まずはRAMマウントの基本から。RAMマウントはボール状のジョイントにより自由な向きに可動/固定できるマウンティングシステムだが、基本的には4つのパーツ構成される。それぞれ、ホルダーパーツ、ジョイントパーツ、アームパーツ、ベースパーツだ。下の写真で概要がわかると思う。

RAMマウントはホルダーパーツ/ジョイントパーツ/アームパーツ/ベースパーツで構成されるマウンティングシステム。各パーツを自由に組み合わせて必要なマウントを作るんですなこの組合せの場合、アームの上下端(ジョイントパーツとベースパーツ)が可動する(2軸で動く)。アームパーツのハンドルを締め/緩めすることで固定/可動できる。固定力は強固RAMマウントは基本的に各パーツがバラバラで売られている。マウンティングシステムを構成するパーツを自分で選んで買うんですな。各パーツは非常に堅牢。簡単には壊れない

 RAMマウントは、どんなマウンティングシステムを「組む」か自分で考えて、それに必要なパーツを購入し、組み立てて使う。上の写真の場合、ベースパーツとして吸盤ベースを使っているが、これをバイクのハンドルに取り付けるためのベースに置き換えてもいい。iPhone 4専用ホルダーの部分をGARMIN nuvi 205W 専用ホルダーに置き換えてもいい。こんなふうに、必要に応じてパーツを選んで独自のマウンティングシステムを構築っていうか構成していくのがRAMマウントだ。

 こういった自由度に加え、堅牢さと安定感もRAMマウントの良さ。まずRAMマウントの各パーツ自体が堅牢。樹脂製と金属製があるが、どちらも意図して破壊しようとしてもなかなか壊れないくらい頑丈である。

 各パーツを組み合わせたときの保持力の高さも抜群。たとえばアームのハンドルをギュッと締めた状態で無理に関節の角度を変えようとすると、RAMマウントパーツのほーじゃなくて人間の手が痛むっていうかイカレると思われる。

 難点としては見た目がけっこーゴツいこと。それから各パーツの実勢価格が「えっこんなパーツがこの値段!?」的な高さであること。ツイデに言えば細部の作りは非丁寧っていうかワイルドで、使用上問題はないものの「高いんだからもーちょっとキレイに仕上げて欲しいニャ~」と思わせる品位だったりする。

標準的なアームパーツ。iPhone 4と並べると太すぎゴツ過ぎ!? 軽いわけでもない見えない部分の塗装ムラなんかもある。見える部分の塗装ムラなんかもあったりするジョイント部ボールパーツにバリがあったりする。バリ取りなんざぁ施されていない!?

 まあ前述のようにスゲく堅牢で恐らく一生モンのパーツ類であり、マウンティングシステムとしての安定感は抜群で、後述のように汎用性もじつに高い。ので、まあ、ゴツめで高めで仕上げキタナめでも、拙者的には許せちゃったりする。

専用ホルダーがあれば無問題

 自分で各パーツを揃えて構築するマウンティングシステムであるRAMマウント。パーツ選びが肝心だが、まずはどのパーツから選ぶか? もちろん、保持させるブツをホールドさせるホルダーパーツである。とりあえずは手持ちのホルダーパーツを並べてみよう。

iPhone 4専用ホルダー。このホルダーの背面にダイヤジョイント(1インチボールがついたダイヤモンド型のパーツ)をネジ止めして使うiPhone 4専用ホルダーを使って机上に固定してみた。ベースパーツを換えればさまざまなトコロにiPhone 4をガッチリとセット可能iPad用ホルダーもある。iPad/iPad 2兼用で、iPad 2をセットする場合はホルダー側にiPad 2グラつき防止のスポンジなどを接着する
GARMIN Oregonシリーズ用ホルダーにOregon 450TCをセットGARMIN GPSMAP 60シリーズ用ホルダーにGPSmap 60CSをセットRAM AQUA BOX(L)という汎用防水パックにGALAXY Sをセット

 ホルダーパーツには専用品や汎用品が多々あり、現在もその種類が増えつつある。他社製マウントシステムのホルダー部をRAMマウント化するアダプタなんかもある。どんなホルダーパーツが市販されているかは、ショップのウェブサイトを閲覧するのが手っ取り早い。RAMマウントを扱う有名なショップとしては、たとえばGPSストアPDA工房などがある。

 ちなみに、上記のホルダー類、そのホールド感はどうかと言うと、どれもガシッと端末をホールドしてくれる感じ。専用品の場合、もちろんだがピッタリと端末に合致し、グラつきガタつきは感じられない。不意に端末が外れて落ちてしまうようなことは無さそう……というかアリエナイと感じられる。

 で、目的のブツのための専用ホルダーが存在していれば、あとは無問題と言えよう。目的のブツが入る汎用ホルダーでもまあまあイケるであろーと言えよう。目的のブツを保持できるホルダー類がない場合は、ぶっちゃけた話、RAMマウントの堅牢さや端末保持における安定性を求められないので、RAMマウントを使う意味が薄いと思われる。

 あ。ところでナゼ「専用ホルダーがあればあとは無問題」とか言ってるのかと言えば、ホルダー以下のジョイントパーツ/アームパーツ/ベースパーツは、ほとんどのケースでどーにかなっちゃうからである。たとえばベースパーツなら平面にもパイプにもクルマのダッシュボードにも取り付けられるものが用意されており、さらに保持させる箇所にネジ止めという最終手段も残されている。さらには後述のパーツを使えば既存のカメラ用三脚などをRAMマウントシステムの一部として使える。

 ところで、変わり種ホルダーとして、三脚ネジ(雲台から出ているカメラ固定用ネジと同等のもの)を持つボールパーツことカメラホルダーというのがある。その名のとおりカメラの三脚ネジ穴にネジ込むとアームパーツに接続できるようになるパーツだ。

カメラホルダー。1インチボールの下にカメラの三脚ネジ穴にピッタリのオスネジが出ているたとえばデジカメの底面にこのように固定。ホルダー無しでカメラをホールドできるパーツだこんなふうに、三脚ネジ穴がある機器全てRAMマウント対応にしてしまうってわけですな

 写真のように、カメラの底部の三脚ネジ穴にカメラホルダーというパーツをセットすれば、カメラをRAMマウントアームパーツに保持させられる。すなわち三脚ネジ穴があるブツなら、このカメラホルダーパーツを使うだけで、サクッとRAMマウント対応にできるというわけだ。

ベースパーツとアームパーツ

 目的のブツを保持できる専用/汎用ホルダーが見つかったら、あとはベースパーツとアームを選ぶだけ。ベースパーツは、平面やパイプ、クルマのダッシュボード、自転車やバイクのハンドルなどに固定する「RAMマウントシステムの基礎部分」である。

ハンドルバーマウント。自転車のハンドルなどに装着するためのボール付きベースパーツですな。太さ約25~28mm程度の丸パイプに取り付けられるUボルトベース。U字金具を使って丸いパイプに固定するためのボール付きベース。太さ約15~32mmの丸パイプに取り付けられるVベース。金属ストラップにより丸パイプなどに取り付けるボール付きベース。約25~50mmの丸パイプに取り付けることができる
クランプベース。クランプで対象を挟んで固定するボール付きベース。丸パイプは約20~35mmに対応。幅50mm程度までの板にも対応ロック機構を持つ吸盤式のベースパーツ。平滑な面になら非常に強力に吸着する。写真にあるボール付きダイヤジョイントは別売拡張ジョイントプレート。ボール付き/穴あき/アルミ製ベースパーツ。ほかのベースパーツでは固定不能な場合、コレを工夫して使う

 ベースパーツはほかにも多々存在する。「拡張ジョイントプレート」のようなボールと穴あきプレートが合体したタイプのベースパーツは、固定箇所に直接ネジ止めしたり、あるいはインシュロックのような樹脂バンドで固定したり、ほかの穴あきパーツやボールパーツ(ダイヤジョイントなど)と合体させたりと、アイデア次第で工夫できるようになっている。

 そしてアームパーツ。これはベースパーツ(のジョイント部)とホルダーパーツ(に装着したジョイントパーツ)をつなぐための「腕」ですな。多くの場合、ジョイント部は「直径1インチのボール」となっている。またボール表面はラバーコーティングが施されている。アームでこの1インチボールを掴み、ホルダー部とベース部を接続する。またこのボール部は可動する軸となり、高い自由度で角度や向きを動かして固定することができる。

標準的なアームパーツ。1.75インチと3インチを並べてみたアームのハンドルを締め/緩めることで固定/可動が可能フレキアーム。両端がダイヤパーツのフレキシブルなアームだ

 アームには金属製やプラスチック製があり、長さも何種類かある。またフレキアームのようなボールパーツを使わないでベース部とホルダー部を直結するアームも何種類かある。

 アームを使わない方法もあり、たとえば「クイックリリースハンドルバーマウント」と呼ばれるキットを使えば、ハンドルなどパイプに直接ホルダーを取り付けられ、ワンタッチで取り付け取り外しが可能になったりする。

 三脚(雲台)の上にRAMマウントシステムを構築したい場合、拡張ボールというパーツを使うと良い。拡張ボールはボルトとロックワッシャーでどこかに固定するための1インチボールだが、このパーツのネジ穴がちょうど三脚の(雲台から出ているカメラ固定用の)ネジと合致する。

拡張ボール。1インチボールにネジ穴がついたパーツだ。ネジ穴は雲台のカメラ固定ネジとピッタリ合致するこのように一般的な三脚(雲台)に固定できる。三脚をRAMマウントシステムのベースとして使えるようになるあとは好きなようにRAMマウントシステムを展開。前述のカメラホルダーと組み合わせるとイロイロ応用可能

 拡張ボールを使うと世間一般のほとんどの三脚(雲台)を、RAMマウントシステムのベース部として活用できるようになるわけですな。ただ、本来は雲台にセットするためのパーツでなはいため、ほかのベースパーツのようには強固な固定ができないかもしれない。たとえば「雲台に強く固定したツモリの拡張ボールが知らない間に緩んでいた」なんてコトも起きる。

 てな感じで各種のブツをいろいろな箇所にシッカリと固定できるRAMマウント。最近ではGALAXY Tabをセット可能な汎用のタブレットホルダーが登場したり、スマートフォン全般に使えそうなバネ式X型グリップ搭載の汎用クリップホルダーが出てきたりで、まだまだ発展しそうなシステムだ。

 まあほかにもこういった組合せて使えるマウントシステムがあったりはするが、モノ自体の強度と保持の安定性を第一に求めるなら、やはりRAMマウント。興味~必要のあるかたはゼヒ一度チェックしてみて欲しい。

2011/6/6 06:00