ボッシュ謹製DIY指向の小型電動工具×3種

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


ボッシュ謹製DIY指向の小型電動工具×3種

 先日「あ~れ~!? ボクのIXOちゃんがナイ~!!」てな状態に。鋭意断捨離&整理整頓中にボッシュ(BOSCH)の便利バッテリー電動工具の行方不明が発覚した。ので「チャ~ンス!! 新型購入チャーンスっ!!」とか思って新型工具情報をアレコレ調査。すると数年ぶりに俺内部の電動工具回路に高電圧が加印されてショートして煙出て気絶したけど気づいたら机上にイカシたボッシュ最新製電動工具が3種類も置かれていたっていうか、下の写真のを買ったわけですよええ。

ボッシュの「XEO 2」。段ボールやカーペットなどに向くバッテリー式電動カッターですな。ネット通販にて4980円で購入したボッシュの「IXO 4」。バッテリー式ハンディドライバーの定番的存在。これで4代目ですな。Amazonにて4980円で購入したボッシュの「CISO」。バッテリー式の剪定(せんてい)ばさみ。園芸用電動工具なのであった。Amazonにて9519円で購入した

 これら3機種、共通点はバッテリー式の電動工具だということ。加えて、どれもがバッテリーとして3.6Vリチウムイオン二次電池を採用している。

 一昔前は、バッテリー式の電動工具と言えばニッケルカドミウム(Ni-Cd)二次電池を採用していた。そしてちょいと以前だと、ニッケル水素(ニッケルメタルハイドライド;Ni-MH)二次電池を使ったものが台頭しまくった。そして現在の主流がリチウムイオン二次電池採用のバッテリー式電動工具。ご存知のとおり、リチウムイオン二次電池は中途半端な継ぎ足し充電に強く、エネルギー密度も高く、自然放電もしにくいなど、ナニカと都合の良い特性を持った二次電池(充電すれば繰り返し使える電池)ですな。

 あと、これら3機種とも、DIY目的の電動工具であること。凄いパワーとか性能とかって感じではなく、ホビーや日曜大工やちょっとした家事に役立つレベルの機能/性能に抑えられている。本格的な電動工具と比べると機能/性能面で劣るものの、比較的に安価であり小型軽量でもあり携帯性にも優れている。
 さておき、以降、これら3機種の機能や使用感をレポートしてみたい。率直に、拙者が気に入った順として、「XEO 2」、「IXO 4」、「CISO」の順で見ていきたい。

個人的に感動した「XEO 2」

 まずは「XEO 2」。XEOと書いて「エックス・イー・オー」と読むようだ。そのまんまですな。ネット通販にて4980円で購入した。

 XEO 2は回転するブレード(刃)を持つ電動カッターで、「女性の手にもジャストフィットするハンディで持ちやすいデザインを採用」していて「ダンボール・皮革・プラスチック・生花などハサミやカッターでは切りにくかった素材がカンタンに切断可能」だそうだ。拙者がXEO 2を買った理由は、第一に「うわコレ超カッコイイ!!」と惹かれたからであり、第二に「段ボール箱を切ってコンパクトに捨てられるかも」と思ったからである。

バッテリーマルチカッターXEO 2では、6mm厚カーペット程度まで切断可能。バッテリーを含んだ質量は約400g回転する丸い刃でカットする。刃の下側に1回転毎に自動で刃を研磨するオートシャープ機能を搭載している重心のバランスがよく軽量に感じられる。赤い部分を握り込むと刃が回転する。充電は付属ACアダプタで行う

 使ってみた印象は、段ボール箱バラせまくりで超便利!!

 たとえば、ちょっと衝撃に弱い方面のハードウェアとかって、わりと頑丈な段ボール箱に梱包されてるじゃないスか。折り目以外を折ろうとするだけで一苦労、的な。それから重いもの硬いものを梱包する段ボールとかだと、これまた頑丈。内容物保護ってよりも箱の外部にダメージを与えないため?

 とにかく、こういった段ボールは処理しにくく、結局は折り目の部分で折り畳んで紐で結んだりして、なーんか当該ゴミ収集日まで玄関に邪魔な段ボールゴミがあり続けたり。「あーコレってホントに邪魔~」てな鬱憤からカッターやハサミで小さめに切って処理する……のもタイヘン。

 しかしXEO 2を使えばAmazonの薄手段ボール箱から頑丈気味な段ボール箱まで、ズビャビャッと切断できる。つーか拙宅にある段ボール箱で、XEO 2により切断できなかったものはナイ。ともあれXEO 2で段ボール箱をラクに処理できるようになった。どんな荷物が来てもOKって気分である。

 ちなみに、段ボールをカットする場合、切断速度は50cmを3~4秒で切るって感じだろうか。どの素材の場合も、XEO 2をやや前方に押す感じでカットしていくが、手や腕の力はあまり必要なくスムーズにカットできる。ので、荷物を開梱したその場で段ボール箱をカットする気になるのがイイ。「この箱……後で処理しよう」てのがなくなる。

 そしてさらに活躍してくれたXEO 2。「このくらい切れるんならアレも切れる!?」と思って試したのがブリスターパック。透明で中身が見える商品パッケージのアレですな。素材がPET(ポリエチレンテレフタレート)やPVC(ポリ塩化ビニル)だったりして、陳列にも向くし耐衝撃性も少々ありそうなあのパッケージだ。

 拙者はブリスターパックを開くのも捨てるのも嫌い。開梱しにくいし捨てるときも嵩張るからだ。開梱のしにくさには軽く殺意を抱くレベルのイラツキを感じる。捨てるときはムダに容積だけ大きく、段ボール箱と似たフラストレーションがたまる。

 で、このブリスターパックにXEO 2を使ってみた。まずは開封。XEO 2の刃をブリスターパックの端に巧く沿わせて使えば楽勝で開封できる。ちょー快適♪ なのだが、XEO 2は必ずしも真っ直ぐ切断できるってわけではなく、注意しないと斜めに切れたりするので、ブリスターパックの内容物によっては無難を取って万能バサミとかで開封したくなるかもしれない。また、立体的な凸凹部はやや強引にXEO 2を押し進めつつ切る必要がある。

 次にブリスターパックを切断しての廃棄。拙者は空ブリスターパックの嵩張り具合が非常にムカつくので、捨てるときはいつも万能バサミで適宜小さく刻んで捨てていた。けっこー手が疲れる作業であり、手抜きして手袋レスで行ってたまに指先を切ったりしていた。

 が!! XEO 2を使ったらも~ブリスターパックをバラすのがラク!! テンポ良く苦労僅少で目的の大きさまでカットできまくり!! ブリスターパックの曲面部分は若干切りにくいものの、捨てるための切断なので、やや荒っぽくかつ強引にXEO 2を押しつつ切り進めれば問題ナイ。このブリスターパックの切れ具合を見て「拙者のゴミ捨てライフはXEO 2により大きく変わった!!」と感動した。

 ちなみに、ブリスターパックが切れるので、PETやPVCを使ったやや硬めのパッケージ類はだいたい全部カットできる。拙者的に助かったのは、ロッド(釣り竿)のパッケージ。恐らくPETと思われる素材の厚め硬めの長細いパッケージなんだが、1.5~2mくらいあるので切断しないとゴミとして出せない。でも万能バサミで切るのはタイヘンそう……と思ってほったらかしていたら、部屋の片隅で束になってたまってしまった。

 で、この束をXEO 2で切ってみたら、もーどんどん切れるわけですよ!! そして7~8本あったPETなロッドパッケージが10分しないうちに普通サイズのゴミ袋に収まったのであった。ブリスターパックにせよこのロッドパッケージにせよ、XEO 2で切ると刃の位置と手の位置にある程度の距離があるため、素材の切り口が手に当たりにくくて良い。素材切り口で手を切るとか、素材が手などに引っ掛かって作業効率が下がるってことが少ないのだ。

 それから「もしかしたらXEO 2だけでペットボトル解体できる!?」と思ってトライした──飲み口部分から刃を入れて切り進んだら、飲み口部分キャップネジの厚みに阻まれて刃が前進しなくなった。しかしゴーインに推し進めたらペットボトル解体に成功した。常識的に作業するなら飲み口部分ではないところに切れ目を入れ、そこからXEO 2を入れてカットするのがいいですな。

 ほか、硬め素材方面では、2mm厚のカッターマット(補強の硬質素材のないもの)まで(やや無理したが)どうにかカットできた。段ボールを始めとして厚紙や何枚か束ねたコピー用紙なんかも切れる。

 XEO 2では切りにくいものもある。たとえば上記の2mm厚カッターマットはギリギリ切れる厚み/硬さで、それ以上だとたぶん無理。また、Tシャツのような布素材とか紙1枚とか紐とかは切れるものの刃に絡んだりして切りにくく作業効率が悪い。

 でも結局、かなり硬いモノとか薄い/柔らかいものとかは、これまでどおり強靱な万能バサミやカッター、あるいはフツーのハサミを使って切ればいいってコトですな。「切りにくいと言われればそうなんだけど、まあカッターとかハサミでどうにかなってるから……」的なシーンにおけるXEO 2は「くぅ~こんなに便利ならもっと前から使っとくんだった!!」と痛感させやがる逸品だと思う。

フツーに便利なバッテリードライバーIXO 4

 次に「IXO 4」。小型のバッテリー式電動ドライバーで、IXOは「アイ・エックス・オー」と読む。Amazonにて4980円で購入した。

バッテリードライバーIXO 4質量はバッテリー込みで300g使用時はビット付近の黄色LEDが点灯
HEX6.35mmの一般的なビットを使用できるあらかじめ10種類のビットが付属している専用充電台で充電。ACアダプタは台に内蔵

 拙者はこのIXO 4の旧機種(IXO 2や初代IXO)を使ってい(て無くしたと思ったので最新型のIXO 4を買ったら案の定古いのが速攻で出てき)たんだが、ぶっちゃけ、初代IXOと最新のIXO 4の違いはそーんなに多くも大きくもないように思う。

 初代IXOのレポートはこちらにあるが、最新版のIXO 4は、初代IXOに黄色LEDランプや別売アタッチメント対応の先端部……くらいかもしれない。電動ドライバーとしての基本的な性能はそーんなに変わっていないような気がする。

 残念なのは、初代からもう3つも機種を重ねたのに、IXO 4本体内にはクラッチ機構的なものが搭載されないこと(ただしトルクアダプターを使えば締め付け力を調節可能)。要は、単体で使うと、どんなネジもIXO 4の最大の能力で締めつけてしまう。ので、ややデリケートなネジなどを締める場合、ユーザー側の意識した手加減が必要になる。

 たとえばアルミのPC用シャーシのネジを締める場合、IXO 4だとちょっと強く締めすぎちゃうことがある。ヘタするとネジ山を破損するか、ネジ頭をナメちゃうかも。IXO 4、サイズ的には自作PCなどのホビーユースにイイ感じだが、パワー的にはややワイルドさに過ぎるもしれない。

 逆に、こんなに小さいのに十分強力にネジ締めや穴開け(ドリルビット使用)ができるあたりはナイス。シロートが家のなかでネジ締め穴開けをするレベルなら、だいたいほぼ全部、IXO 4だけでまかなえるように思う。扱いやすさやパワー、それから後述のアタッチメントまで含め、組み立て家具なんかのネジ締めには最適ですな。

 初代IXOなどと比べて良いのは、LEDランプでネジなど対象を照らせることと、先端部に別売のアタッチメント(アダプター)を装着できること。LEDランプについては白色じゃないのが残念だが、作業中にネジ頭などを照らして確認できるのは実用的だ。狭い箇所のネジ締めなどをする場合は別売のアタッチメントも便利。アタッチメント自体の脱着も容易なので使う気になる。

IXO 4の先端部ゴムはこのように外せて、別売のアタッチメントを装着できる右から、スミヨセアダプター、アングルアダプター、トルクアダプターアングルアダプターを使えば、IXO 4を寝かせた状態でネジ締めなどが可能

 各アタッチメントだが、スミヨセアダプターは面が集合しているような狭い場所のネジ締めなどに、アングルアダプターはIXO 4と直行する方向へのネジ締めなどに、トルクアダプターはIXO 4の締め付け力(トルク)を10段階で調節できる。

 個人的に嬉しかったのがトルクアダプター。IXO 4(およびIXO 3)の締め付け力を「弱めることができるアダプター」で、要は外付けのクラッチ機構だ。これを使えば前述の「IXO 4を単体で使った場合はデリケートなネジを傷めることがある」という問題を回避しやすくなる(完全になくせるわけではない)。パワフルなネジ締めもやや力を加減したいネジ締めもと、IXO 4に活用幅を求めるなら必須のアダプターですな。

 なお、IXO 4はわりと多くの一般的なビット(HEX6.35mm)を使えるバッテリー式の電動ドライバーだ。ネジ締め/緩めもOKだが、ビットを別途購入すれば電動ドリル的にも応用できる。多目的に使える電動工具だし比較的に安価で扱いやすいので、わりと多くの人の利便につながると思う。

電気の力で枝をカットするCISO

 最後に「CISO」。ちょいと珍しいバッテリー式の電動剪定ハサミ。小枝とかをチョキチョキ切るハサミですな。CISOと書いて「シー・アイ・エス・オー」と読みそうなモンだがじつは「シーソ」と読む。Amazonにて9519円で購入した。

 拙者的結論から言えば、拙者にはCISOは不要だった。CISOは電気の力で直径14mm程度までの枝をカットできる剪定ハサミだが、拙者の場合はそのあたりの太さは手動剪定バサミで余裕でカットできるのである。

 もちろん、何本も剪定しまくりだと握力がなくなってきたりするので、こういった電動の剪定バサミは有り難いと思う。のだが、あまり太い枝は切れないのに加え、ミョーに本体が大きめなので小回りが利かず、カットする速度は1秒に1本と微妙に遅めなので「手でやったほーが手っ取り早い」とか感じがちな拙者なのである。

バッテリーせん定ばざみCISO。女性の手にはちょい大きいサイズ赤いレバーをハサミ同様に操作する。質量はバッテリー込みで590g枝質や状態によるが、直径14mm程度までの枝なら切断できる

 が、握力があまりない人、ハサミを握る動作をすると手や腕が痛む人、手や手首の関節に疾患があるなどしてハサミをうまく握れない人などなら、このCISOは救世主となるケースが少なくないように思う。てのは結局「14mmくらいまでの枝を、ほとんど力を入れることなく、サクッと切断できる」からだ。

 操作としては、赤いレバーを手前に引けばハサミが閉じ、戻せばハサミが開く。ハサミと同様の操作だが、赤いレバーの引き/戻しにはほとんど力が要らない。が、14mmくらいの枝をジョキッと切断可能。そんなコトが可能な、片手で持てるバッテリー式電動工具ってほかに……あるのかな?

 ともあれ園芸などが好きな方はぜひチェックしてみてほしいバッテリー式電動剪定ハサミである。……けど、上記の販売価格ってどーなのかな~、とかも若干思う拙者であった。

 蛇足だが、最後の最後に、上記3機種のパッケージを。3機種どれも、それぞれカワイくて捨てにくい缶ケースに入っている。これらはそのまま工具保管用缶ケースとして使える。

XEO 2のパッケージとなっている缶IXO 4のパッケージとなっている缶CISOのパッケージとなっている缶

 

2011/6/20 06:00