なぜかモバイルプリンターに萌える俺

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


なぜかモバイルプリンターに萌える俺

 今回のネタはブラザーのモバイルプリンター「Pocket Jet PJ-663」。わりと最近発売された製品で、携帯用のA4対応熱転写(サーマル)プリンターだ。汎用的なプリンターだが、用途や価格からは業務用な香りが漂う。

ブラザーのモバイルプリンター「Pocket Jet PJ-663」。A4まで印刷できる携帯用/バッテリー駆動可能の熱転写プリンターだ

 ブラザーはずいぶん以前からモバイルプリンターを定番的に出していて、現在も5機種をラインナップしている。その一方でスマートフォン市場が拡大し、モバイルでのプリントアウト需要が高まりつつありそーな気がするけどそういうコトとは関係なく、拙者はなーんかモバイルでのプリントアウトっつーことに萌えちゃうのである。わりと最近までこんなの使ってたりもして。

 そこへ登場したのが上記の新型。じゃあ久々にモバイルプリンタ買うし!! と一瞬意気込んだのだが、PJ-663の実勢価格は6万円少々。無理。熱転写プリンタに6万は無理。でも携帯できるしUSBでもBluetoothでもIrDAでも使えるらしいしスマートフォンからの印刷も可能だったりするらしいし……てなわけで実機をお借りして試用してみた。

 とりあえずの結論を言えば、印刷速度もけっこー速く印字もキレイで何しろ抜群の携帯性。仕事でのモバイル印刷が必須なら上記の「業務用価格」はアリかもしれないなぁと思った。ともあれ、一般ユーザーにはあまり縁のない製品ではあるが、その実用性は魅力的だったりするので、以降、PJ-663の使用感などをレポートしてみたい。

余裕で持ち歩けるPJ-663

 PJ-663はモバイルプリンター。小型軽量であり電池内蔵でもあるので、ノートPCなどといっしょに持ち歩いて、出先でプリントアウトできまくりなのであるが、まず実機を見て驚くのがそのサイズ。幅25.5×奥行き5.5×高さ3cmで質量約590g(付属電池を含んだ実測値)。ややズシリと来る重みだが、サスガに小さい!! 携帯時の嵩張り感としては折りたたみ傘1本てな印象だ。

サイズは幅25.5×奥行き5.5×高さ3cm。質量は付属のニッケル水素二次電池を装着した状態で約590g。サクッとモバイルできますな

 プリンターとしては、前述のとおり熱転写(サーマル)式。A4までの用紙(感熱記録紙)に印刷でき、印字解像度は300dpi×300dpiで、給紙方式は手差しとなる。

 感熱記録紙を使うので、インク絡みの問題はなく、ヘッドが動くような機構もない。ので、このサイズが実現できたって感じであり、かつ、モバイル時に故障しにくいなどのメリットもある。なお、純正の用紙としてA4感熱紙(PA-C-412)やA4幅感熱ロール紙(PA-R-411)が用意されている。

 PCなどとの接続インターフェースは、Bluetooth、IrDA、USBに対応する。Bluetooth対応のスマートフォンなどからもプリントが可能だが、端末側がBluetoothプロファイルとしてBIP(Basic Imaging Profile)を持っている必要がある。ドキュメントをいったん画像としてスマートフォンに保存し、その画像をBluetoothでPJ-663へ転送(BIPプロファイル使用)してプリントするわけですな。

 ちなみに、ブラザーからはAndroid用の印刷アプリがリリースされており、アンドロイドマーケットから入手できる。

Android端末用の「画像ファイル印刷」のためのアプリ.jpg、.bmp、.pngなどの画像ファイルをプリントできるスマホ&PJ-663でお仕事!! ななななんかステキかも!!

 なお、PJ-663にはニッケル水素充電池が同梱されており、これが電源になる。充電は付属のACアダプタで行う。電池駆動ってわけだが、ACアダプタでも当然使える。また、別売の大容量リチウムイオン電池をセットしても使用可能。クルマのシガーライターソケットを電源とする別売カーアダプターもある。ので、AC、クルマ、ニッケル水素、リチウムイオンの4電源ってコトになりますな。

 バッテリー駆動時の連続印刷枚数だが、ニッケル水素電池使用時が約70枚、リチウムイオン電池使用時が約300枚となる。後述のように印刷速度はけっこー速いんだが、出先で70枚とか300枚とか印刷するシチュエーションはビミョーに考えにくい。多くのケースで十分な連続印刷枚数だと思われる。

けっこー速いし……なんか楽し~♪

 次に印刷速度。サーマルプリンタなので速さはあまり期待できないが、PJ-663の印刷速度は従来機種となるPJ-520/560よりも2倍速いんだそうだ。従来機は毎分3枚だったのが、PJ-663では毎分6枚印刷可能。1枚10秒。けっこー速いのかも!?

 てコトで試してみたが、Microsoft WordやExcelで作った一般的なドキュメントを印刷するなら、体感速度的にはフツーっていうかなんか「遅さを感じさせない印刷速度」というイメージとなった。待たされずにプリントアウトを手にできる、的な。出先でちょいと見積もり書類を印刷するような状況下で、ストレスにはならない印刷速度だと思う。

 サーマルプリンタなのでもちろん白と黒のみの印刷物になる。印字解像度は300dpi×300dpiで、大雑把に言えば文字も図版もわりと精細にプリントされる。ドキュメントとして先方にお渡しするにおいて失礼にならない印刷品位だと感じる。

PJ-663での出力例。純正のA4感熱紙(PA-C-412)を使用したが、文字も図版も明瞭&精細にプリントされている

 つーか、ヤベっ、やっぱ楽しいわこういうモバイルプリンター。あんなときも、こんなときも、そんなときも、コレがあればプリントアウトできるじゃん!! 的な妄想とともに、PJ-663にワクワク感が!! 無闇に持ち出してドヤ顔でプリントアウトしていきたい!! 印刷結果よりもPJ-663で印刷するのが目的!! すなわち手段の目的化!! などと思いがちな拙者は、クロネコヤマトの人の腰に付いてるプリンター内蔵端末なんかも当然好きであり、じつは趣味でレジ用のレシートプリンターを買っ(以下略)。

 

萌えオプションも多々(違

 どーせなら、というわけでPJ-663関連の別売オプションも「全部」借りてみた。ので、それぞれの機能や使用感を見ていこう。

 まずは、Ni-MH充電池(PA-BT-500)。本体に1本付属する標準バッテリー(ニッケル水素電池)で、14.4V/360mAhの電池だ。質量は117g(実測値)。細身で軽量であり、PJ-663の電池交換は容易なので、予備電池としての携帯も現実的かもしれない。ブラザーダイレクトクラブでの価格は8400円。

Ni-MH充電池(PA-BT-500)は本体付属品と同じものPJ-663に内蔵されるニッケル水素二次電池ですなPJ-663は電池交換が比較的に容易だったりする

 次に、Li-ion充電池(PA-BT-600LI)。PJ-663と合体するリチウムイオン電池ですな。質量は262g(実測値)。前述のように、標準のニッケル水素電池使用時の連続印刷枚数は約70枚だが、このリチウムイオン電池を使うと連続約300枚の印刷が可能になる。なお、PJ-663と合体したときの質量は725g(実測値)だった。ブラザーダイレクトクラブでの価格は2万1000円。

Li-ion充電池(PA-BT-600LI)で連続約300枚の印刷が可能に合体時のサイズは約幅25.5×奥行き8.9×高さ3cmだった合体時の質量は約725g。けっこー重めのモバイル機材かも

 ちなみに、PJ-663とこのLi-ion充電池を合体させた状態でも、後述のロール紙ホルダーやロールプリンターケースと併用できる。各オプションがしっかりとシステマチックに作られているのであった。

 カーアダプター(PA-CD-600CG)やシリコンカバー(PA-RB-600)もある。前者はクルマのシガーライターソケットからの充電/給電を可能にするもので、後者はPJ-663の保護ジャケットだ。PJ-663に保護ジャケットを着せたときのサイズ/質量(実測値)は、サイズ約幅26.6×奥行き6.6×高さ4cmで、質量748gだった。ブラザーダイレクトクラブでの価格は、カーアダプタが3570円、シリコンカバーが6300円。

カーアダプター(PA-CD-600CG)。12V車用のアダプタですなシリコンカバー(PA-RB-600)はけっこー分厚いジャケットこんなふうに合体。耐衝撃性がかなり上がるように思う

 なお、PJ-663に上記のシリコンカバーを装着すると、前述のLi-ion充電池および後述のロール紙ホルダーやロールプリンターケースとの併用は不可能になる。

 さて、PJ-663には純正の用紙としてA4幅感熱ロール紙(PA-R-411)が用意されていると前述したが、これを使うために必要となるオプションがある。ロール紙を保持しておくためのロール紙ホルダー(PA-RH-600)ですな。それからPJ-663とロール紙が丸ごと入るロールプリンターケース(PA-RC-600)もある。ブラザーダイレクトクラブでの価格は、ロール紙ホルダーが3150円、ロールプリンターケースが6300円。

ロール紙ホルダー(PA-RH-600)。PJ-663で純正ロール紙が使えるようになるセットしたところ。なかなかカワイイ感じ。PJ-663にロール紙はかなり便利このようにリチウムイオン電池使用時でもロール紙ホルダーをセットできる
ロールプリンターケース(PA-RC-600)。ロール紙およびPJ-663を丸ごと収納可能PJ-663とロール紙を収納した状態。もちろんフタを閉めた状態でプリントできるPJ-663にリチウムイオン電池をセットした状態でもロールプリンターケースに入る

 ロール紙? ファックスじゃあるまいし、的に思いがちだが、PJ-663におけるロール紙は非常に快適だったりする。まず、毎度手差しで用紙をセットする必要がなくなる。さらにロールプリンターケースを使うと、用紙をセットする手間がなくなるのに加え、ロール紙のハンドリング(傷付けないようにするなど)に気を遣う必要もなくなる。写真のように、ロールプリンターケースには前述のリチウムイオン電池を装着したPJ-663を収めることができるので、ヘビーユーザーはこの組合せがグレイトだと思われる。

 てな感じのPJ-663。オプションまで含めるとプリンタ萌えする人にはたまらねえ製品となりますな、って萌えを狙って製造されているわけじゃねーし>拙者。ともあれ、モバイルで印刷する必要のある人には魅力的&実用的なプリンターだと言えよう。

 拙者はPJ-663をイジっていたら、A6サイズ印刷用のMW-260や、A7サイズ印刷用のMW-145BTといったさらに小型のモバイルプリンターに対する興味が再燃してしまった。わりと最近までMW-145BTの旧機種となるM Print MW-100eを使っていたが、ときどき超役立ってたんですよ。あと印刷する風情もカワイかった。

 A6印刷対応のMW-260あたりは非常に良さそうですな。A6はだいたいハガキサイズでA7はその半分だが、A7だとさすがに用途が限られる。が、A6だと活用幅が広がるし、十分モバイルできるサイズだ。そんな思いを含め、もしかしてモバイルプリンタってスマートフォン時代にこそ役立つ製品かも~という気がしている最近の拙者なり。

 

2011/8/1 06:00