あの「GO-DAP」のiPhone 4対応版が登場
■あの「GO-DAP」のiPhone 4対応版が登場
本連載のバックナンバー『なるほど技あり!! なiPhone3G/3GS専用ジャケット』にてレポートした、ベンチャークラフトのGO-DAP GD-03。iPhone 3G/3GS用の外部バッテリー&ヘッドホンアンプとして使えるジャケットだが、このGO-DAPシリーズにiPhone 4用が加わった。GO-DAP Unit4.0である。
ベンチャークラフトの「GO-DAP Unit4.0」。iPhone 4用の多機能ジャケットだ。メーカ希望価格は3万5000円 | iPhone 4用の大容量外部バッテリー、ヘッドホンアンプ、さらに光出力モジュールとしても機能させられる | こちらはiPhone 3G/3GS用GO-DAP GD-03。ヘッドホンアンプや大容量バッテリとして機能するジャケットだ |
GO-DAP Unit4.0は、iPhone 4専用の多機能ジャケット。機能は大きく分けて2つある。大容量外部バッテリーとしての機能と、高品位なヘッドホンアンプとしての機能だ。
ただ、ヘッドホンアンプ部に含まれる機能として、iPhone 4内のデジタルサウンドをデジタルデータのまま光出力(S/PDIF)する機能がある。使い方によってはiPhone 4内のサウンドを最高のクオリティで鳴らせるかもしれない、ある意味最も注目すべき機能にもなる。サウンド方面にこだわる人にとっては「GO-DAP Unit4.0の最重要機能」とも言えそうだ。
てな感じで何かと多機能なGO-DAP Unit4.0。このテのモノが好きな俺なので早速実機を拝借!! 少々使ってみたところ、コレがなかなかイイ!! じつは前にGO-DAP GD-03(iPhone 3G/3GS用)をレポートしたときは、既にiPhone 4ユーザーだった俺。「コレのiPhone 4用があれば即買いなのに~」と思ったのは事実だ。
そこに来てGO-DAP Unit4.0!! なかなかイイ!! でもメーカ希望価格は3万5000円で悩ましい!! さらにiPhone 5が噂される昨今であり、いろいろな意味でますます悩ましいんだが、ともあれ以降、GO-DAP Unit4.0の機能や使用感をレポートしてみたい。
■iPhone 4が気持ちよく収まるジャケット
まず、GO-DAP Unit4.0にiPhone 4をセットしないと始まらないってコトで、ジャケットとしての使い勝手から見ていこう。
iPhone 3G/3GS用のGO-DAP GD-03は、GO-DAPに対してiPhoneを上から挿すように装着した。装着状態はわりと安定しているのでiPhoneが抜け落ちることはないと思うが、「挿しただけでロックなどがされているわけではない」のもまた確か。頭の片隅に「抜ける可能性がナイわけじゃない」てな不安が残った。
iPhone 3G/3GS用のGO-DAP GD-03には、iPhoneをスライドして挿してセットした | このように「挿しただけ」の状態。黒い部分が端末を保持するので安定はしている | 合体させた状態で使っても不安はない……のだが、気持ち的には若干不安が残った |
一方、GO-DAP Unit4.0の場合、率直なところ「これならiPhone 4が抜け落ちるわけがない」と安心できる構造。iPhone 4装着部はエラストマー樹脂製で、この樹脂が「iPhone 4を包み込んで確実にホールド」してくれる。
GO-DAP Unit4.0のiPhone 4装着部はエラストマー樹脂製。適度な弾力があり、iPhoneを包み込むように保持する | このようにiPhone 4を押し込むようにして装着する。iPhone 4の脱着はやや面倒だが、その分ホールド感が強い | このようにiPhone 4と一体化する。合体時の総重量は268g(実測値)だった。サイズはiPhone 4×2台という感じ |
GO-DAP Unit4.0のエッジがiPhone 4の画面よりほんの少し出っぱる | エッジにより、画面を下に向けて置いても画面に傷が付きにくい | ダークブラウンの金属部分はアルマイト処理のアルミ。高級感アリ |
iPhone 4との一体感が高く、画面以外の部分もしっかり保護されるようで、非常に気持ちイイ装着感ですな。合体時はiPhone 4×2台+α程度の容積になって厚くなるので、女性にとっては少々使いにくいかも!? ただ、合体時の質量は268g(実測値)で、さほど重い感じはしない。しっかりグリップしつつ持てるという観点からは、iPhone 4を操作しやすくなる側面もある。
ちなみに合体時でもiPhone 4の全てのボタン類が使える。またカメラ部も塞がないので問題なく写真撮影などを行える。
左側面にはバッテリーインジケーターおよび関連ボタンがある。合体時でもiPhone 4の各ボタンを問題なく操作できる | 下部には充電やシンクのためのUSBコネクタ、GAINスイッチ、リセットスイッチがある。iPhone 4の音は前面から出る | 本体上部にヘッドホンアンプのためのスイッチやボリュームが並ぶ。カメラ部を塞がない構造のため、写真撮影も行える |
エラストマー樹脂の上からでもボタン類はフツーに押しやすい。iPhone 4のスピーカーを塞がないようにし、かつ、前面から音が出る小さなギミックもナイス。てな感じで、まずはジャケットとして使いやすいGO-DAP Unit4.0であった。
■容量1580mAの外部バッテリー
GO-DAP Unit4.0は容量1580mAのリチウムイオンポリマーバッテリーを内蔵している。このバッテリーをヘッドホンアンプの駆動に使ったり、iPhone 4への充電に使ったりすることができる。もちろん、ヘッドホンアンプを使いつつiPhone 4に充電ってコトも可能だ。
ちなみにバッテリーへは付属ケーブルでUSB充電する。ACアダプタなどは付属せず、一般的なPCのUSBポートやUSB給電可能なACアダプタなどが使える。なお、メーカーによれば「1000回の充電に対しても容量変化は約10%程度の劣化しかしない高性能バッテリーを採用した」とのこと。
USB充電のみ可能。状態や電池残量をLEDで確認できる | BATTERY/ASRボタンを押すと電池残量をチェックできる | スイッチをAMP→iにするとアンプを使いつつiPhoneへ充電できる |
容量1580mAという容量を純粋にiPhone 4のための電力に使ったとして計算すると、待受時間で最大283時間程度、通話時間で最大6.3時間程度、パケット通信で最大5.25時間程度、音楽再生で最大37時間程度、ビデオ再生で最大9.4時間程度、iPhone 4のの利用時間を延長できることになる。
ただ実際はヘッドホンアンプとして機能させないとiPhone 4への給電も行われないので、アンプのためにも電力が使われるぶん、そこまでの利用時間延長にはならないと思う。とは言っても、iPhone 4のバッテリー容量(1420mAhと言われている)を考えれば「倍程度のバッテリー容量になる」ので、外部バッテリーとしてもけっこー役立ってくれそうだ。
プチ余談だが、GO-DAP Unit4.0はiPhone 4への給電やiTunesとの同期の方法(状態/スイッチ位置)がややわかりにくい。本体上部のトグルスイッチ位置によって給電やシンクなどの挙動が変わる……というか、目的の挙動になるようにセットできる。以下にその一覧を載せてみたい。
スイッチ位置 | Unit4.0にiPhone 4装着時 | Unit4.0単体 | |
USB接続 | あり | なし | あり |
AMP | Unit4.0充電 | アンプ機能 | Unit4.0充電 |
AMP→i | Unit4.0充電 | iPhone4充電/アンプ機能 | Unit4.0充電 |
SYNC/OFF | iPhone4充電/iTunesと同期 | Unit4.0機能OFF | Unit4.0機能OFF |
USB接続アリ/ナシでiPhone 4への充電などに関わる挙動が変わるあたり、やや複雑に見える。ただ実際には、iPhone 4充電中は画面上にそのアイコンが現れるし、GO-DAP Unit4.0への充電中はLEDが点灯する。唯一、iTunesと同期させる場合のみGO-DAP Unit4.0をオフにする必要があることさえ押さえておけば、上の表を見ずともわりとスンナリ使える。
■高品位なヘッドホンアンプとS/PDIF出力
GO-DAP Unit4.0はこだわりのオーディオファンからの熱い注目を浴びたりしている。てのは高品位なヘッドホンアンプを搭載しており、さらにはiPhone 4内のサウンドをそのままデジタル(S/PDIF,光)出力できる機器としても機能するからだ。
まずヘッドホンアンプとしてだが、iPhone 4内の音声(デジタルデータ)をそのままGO-DAP Unit4.0のDACへ送ってアナログ信号化し、これをGO-DAP Unit4.0内のアンプで増幅した後、ヘッドホンへと送り出しているとのこと。つまり、音楽がデジタルデータのままiPhone 4内蔵DACをバイパスし、GO-DAP Unit4.0内だけで処理される。
ちなみにGO-DAP Unit4.0に使われているDACはAKMのAK4353。AK4353によりアナログ化された信号を増幅するオペアンプはJRCのMUSES8820Eとなっている。また、ヘッドホン出力ゲインは、本体下部のディップスイッチによるHi/Loの2段回で切り替えられ、Hi側にすればいわゆる高級&高感度なヘッドホンなどもドライブすることができる。
で、ヘッドホンアンプとしての使用感だが、結論から言えば、「iPhone 4からのサウンドがかなり大きくに変化する」と感じた。いくつかのヘッドホンを使ってみたが、共通して感じるのは「アコースティック楽器やボーカルの音の輪郭は鮮明になること」や「高音周辺の響きにツヤが出るように聞こえること」だ。濁りがなくなってそれぞれの音が明確になる感じ。耳とヘッドホンの間にあった薄膜が取れたように、音全体がより鮮明になって聞こえてくる感覚とも言えよう。
とは言ってもそういった音の感じ方は使うヘッドホンにもよるし聴く人の感覚にもよる。GO-DAP Unit4.0はまだ発売前だが、一部店舗で限定数店頭モニター販売が行われていたり、実機での試聴が可能な店舗もある。以下に店舗リストを掲載しておくので、GO-DAP Unit4.0に本格的な興味を抱いた方は、ぜひお気に入りのヘッドホンと良く聴く曲を入れたiPhone 4を持参して試聴してみてほしい。
◆GO-DAP Unit4.0試聴可能店舗(一部店舗で購入可能)
・eイヤホン秋葉原店/試聴実機アリ、限定数店頭モニター販売中
・eイヤホン大阪本店/試聴実機アリ、限定数店頭モニター販売中
・フジヤエービック/試聴実機アリ、現在は販売なし
それからS/PDIF出力。今回は適合する機材がなく試せなかったが、GO-DAP Unit4.0からはデジタルオーディオ信号(S/PDIFフォーマット,オプティカル,48kHz/16bit)を取り出せる。つまり、iPhone 4内のデジタルサウンドを、何ら加工せず、外部のオーディオ機器に送って聴くことができるのだ。なお、S/PDIF出力端子はヘッドホンジャックと共通で、光出力時に使用するケーブル/端子は3.5mmの丸型TOSLINK(S/PDIF)となる。
ヘッドホン端子からS/PDIF光出力も出ている。iPhone 4内のサウンド(曲)をデジタルデータのまま外部に出力可能 | アンプ機能をオンにしていると実際に光出力が見える。ただし危険なのでこの光を直接目に当てないよう、要注意 | S/PDIF光入力対応のアンプなどオーディオ機器とつなげば、iPhone 4を純粋にサウンドストレージとして活用できる |
光出力、仕様的にスゴいですな。要はiPhone 4を「iPhone 4というオーディオ機器」ではなく「高品位サウンドのストレージ=オーディオコンポーネントの一部として違和感なく使える」ようになるわけで、たとえば光入力対応の高級オーディオアンプなどとつないで活用できる。というかGO-DAP Unit4.0、オーディオファンの間では既にそういう使われ方がされているのだそうだ。
具体的には、GO-DAP Unit4.0のS/PDIF出力を、iBasso D12などのヘッドホンアンプに入れ、ヘッドホンアンプにそこに好みのヘッドホンを接続して聴く、など。GO-DAP Unit4.0とiPhone 4を高品位な音源として使い、ヘッドホンやヘッドホンアンプは自分の好みのものを使う、というスタイルだ。一見、機材が多数あって煩雑に思われるものの、しかし、モバイルで超高音質を追求する方法と考えれば合理的なスタイルとも言えよう。
てな感じで、iPhone 4保護用ジャケット、大容量外部バッテリー、手軽に使える高品位ヘッドホンアンプ、さらにはS/PDIF出力用アダプタとしてまで機能するGO-DAP Unit4.0。iPhone 4とスマートに合体し、しかもここまでマニアックに使える機材はちょいとナイかもしれない。作りも非常に良いので、ぜひ一度実機に触れてみてほしい。
2011/10/3 06:00